原題:7 Days in Havana

生きていくって、美しい。

2012年カンヌ国際映画祭 正式出品作品

2012年5月30日フランス公開

2012年/フランス、スペイン/スペイン語、英語/129分/カラー/アメリカン・ヴィスタ/ドルビーデジタル/デジタル上映 提供・配給:コムストック・グループ、アルシネテラン 後援:キューバ共和国大使館 特別協力:セルバンテス文化センタ—東京、東京日仏学院 協力:ハバナクラブ(ぺルノ・リカール・ジャパン) 配給:アルシネテラン

2012年8月4日、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国公開予定

© FullHouse/MorenaFilms

公開初日 2012/08/04

配給会社名 0013

解説


歴史遺産と多様な文化、美しい光と色彩に満ちたハバナの街
そのエキゾチックで奥深い魅力を刻み込んだ珠玉のアンソロジー

“カリブ海の真珠”とも呼ばれるキューバの首都ハバナは、希に見るほどのユニークな個性に満ちあふれた国際都市として世界中の観光客を魅了し続けている。文豪アーネスト・ヘミングウェイがこよなく愛したことでも知られるこの美しき街は、世界遺産に登録されている旧市街地など多様な様式の歴史的建築物が建ち並び、ノスタルジックな旅情を誘ってやまない。カリブ海を臨む白浜のビーチ、ナイトスポットを活気づける本場のキューバ音楽とダンス、陽気でバイタリティあふれるラテンの国民性……。こうしたキューバ=社会主義国というイメージからかけ離れたハバナの街の多面的で奥深い魅力を余すところなく収めた珠玉のアンソロジー、それが『セブン・デイズ・イン・ハバナ』である。

国際的に活躍する7人の監督が参加したこのプロジェクトは、独立した7つのエピソードで成り立っている。ハバナを初めて訪れたアメリカ人青年の体験記「ユマ/月曜日」では、この街の摩訶不思議さに翻弄されながらも忘れえぬ一夜を過ごす主人公の心の移ろいをユーモアたっぷりに描出。「ジャム・セッション/火曜日」では、海外からやってきた著名映画監督と地元タクシー運転手の間に芽生えた友情劇が、気ままな即興音楽のように奏でられていく。

これら外国人の視点を採用したエピソードに加え、家事やふたつの仕事をこなす中年女性の大忙しの一日を綴る「甘くて苦い/土曜日」、おんぼろアパートを教会に改装しようとする老婆の奮闘劇「泉/日曜日」など、ハバナ市民の日常に深く切り込んだ逸話も収録。そこには経済的な困窮などのさまざまな苦難や突発的トラブルにもめげず、一瞬一瞬のかけがえのない喜び、よりよい明日への希望を探し求める庶民のほろ苦くも逞しい人生模様が、このうえなくいきいきと刻み込まれている。

個性派俳優ベニチオ・デル・トロが監督デビュー!
名だたる7つの才能が紡ぎ上げた、魔法のような“ハバナの7日間”

ハバナの市民生活にどっしりと根づいたエモーショナルな音楽に彩られた映像世界は、各エピソードを手がけた監督たちの個性と相まって、7エピソードすべてに豊かな詩情が吹き込まれている。まずオープニングを飾る「ユマ/月曜日」のメガホンを執ったのは、アメリカ映画界きっての個性派俳優ベニチオ・デル・トロ。『チェ』2部作で革命家チェ・ゲバラを演じたことでもキューバと縁ある彼にとって、これが記念すべき商業映画監督デビュー作となる。

さらにアルゼンチンから『檻の中』のパブロ・トラペロ、スペインから『アナとオットー』のフリオ・メデム、パレスチナから『D.I.』のエリア・スレイマン、フランスから『パリ20区、僕たちのクラス』のローラン・カンテ、『カルネ』『アレックス』のギャスパー・ノエといったそうそうたる才能が参加。地元キューバからも『苺とチョコレート』(トマス・グティエレス・アレアとの共同監督)や『バスを待ちながら』の名匠フアン・カルロス・タビオが名を連ね、「甘くて苦い/土曜日」の演出を手がけている。  キャストにも要注目の顔ぶれが揃った。「ユマ/月曜日」で主人公のアメリカ人青年に扮するのは、『キッズ・オールライト』や全米大ヒット作『ハンガー・ゲーム』などの話題作が相次ぐ次世代スター、ジョシュ・ハッチャーソン。「ジャム セッション/火曜日」では、『アンダーグラウンド』の鬼才エミール・クストリッツァが“ハバナ映画祭に招待されたクストリッツァ監督”という本人役をひょうひょうとした味わいで演じている。「セシリアの誘惑/水曜日」には、『グッバイ、レーニン』のダニエル・ブリュールがハンサムなクラブ・オーナー役でお目見えする。
眩い光と鮮烈な色彩がきらめくハバナの街を、時にリアルなドキュメンタリーのように、時にファンタスティックな寓話のように描き上げた至福のアンソロジー。観る者の胸を弾ませ、そっと心を癒してくれる、魔法のような“ハバナの7日間”がここにある。生きていくって、素晴らしい。

ストーリー








月曜日 − 『ユマ(EL YUMA)』 − ベニチオ・デル・トロ

空港に降り立つアメリカ人のテディ。迎えにきたドライバーの誘いで、海岸通りのマレコンやコロニアル建築、古きよきアメ車に奔放な音楽といういわゆるキューバの一歩奥の庶民の生活を覗くことに。スペイン語ができない彼はただの傍観者だ。彼らの生活に関わることなく、目の前の彼らの“豊かな”生活を眺めていく。“オバさん”の家庭料理のフライドバナナにも、奔放な娘のセックスの誘いへの反応も薄い。バーに連れて行かれても言葉ができないため、出逢いは空振りばかり。そこで彼は唯一会話に乗ってくれた長身の女性をホテルへ誘う。そしてホテルにやってきた彼女を部屋に案内しようとするや、フロントで制止され、彼女の身分証の提示を求められる。そこでスタッフに耳打ちされたが、彼女の方へ振り返ると…。

火曜日 − 『ジャム・セッション(JAM SESSION)』 − パブロ・トラペロ

クラブのバーカウンターで受け取った酒をあおりながら、ひどく酔っ払って店から出てくる中年男。彼の名はエミール・クストリッツァ。国際的に有名な東欧セルビアの映画監督だ。ハバナ映画祭に出席するためにキューバを訪れたのだが、地元に残してきた妻とは電話で揉めており、情緒不安定になっているらしい。雇われたタクシー運転手の男は、なんとか彼を車に押し込んで宿泊先のホテルに向かう。だが、部屋の中でも泥酔したまま倒れており、目も当てられない状態だ。
そして映画祭の会場。クストリッツァは大きな拍手に迎えられながら、タキシード姿でステージに上がり“珊瑚賞”を受賞する。だが華々しい場を降りると、これから公式ディナーに送って行くという運転手にこう吐き捨てた。「行きたくない。俺のクソみたいな人生や映画を喜ぶ奴らに会いたくない。二度殺されるようなものだ!」
ようやく丸一日、面倒な有名人に付き合わされた仕事が終わり、運転手は「“放電”しにいく」と言って仲間うちのホームパーティーに向かう。クストリッツァもついていくと、運転手は素晴らしいトランペット奏者で、バンドとジャム・セッションを始めた。クストリッツァは彼の演奏と、場の温かい雰囲気にすっかり魅力されてしまう。
夜が明け、朝が来て、再び車の中。運転手は自分の小さい愛娘を連れ、帰国するクストリッツァを空港まで送って行く。あの憂鬱だった映画監督の表情はずいぶん晴れやかなものになっていた。

水曜日 − 『セシリアの誘惑(CELIA’S TEMPTATION)』 − フリオ・メデム

ハバナで歌手をしているキューバ人のセシリアは、スペインからやって来たクラブ・オーナー、レオナルドと情熱的な1週間を過ごした。そして、明日の昼便でマドリードへ戻る彼から、夏に開催するコンサートのため、彼女をスペインに招きたいという提案を受ける。
だが、彼女の心は揺れ動いていた。セシリアには、同棲を続けてきた野球選手の恋人、ホセの存在がある。彼は今夜の試合に勝ち、マイアミ行きの船でセシリアと共にアメリカへ渡ろうと考えていた。でも、夢見るばかりで行動できないホセのことを、セシリアは誰よりもよく理解している。長年、一緒に暮らしてきた部屋を見つめながら葛藤するセシリア。
レオナルドはマドリード行きの飛行機のチケットを用意して、セシリアに告げる。一緒に新しい生活を始めよう、と。
「野球選手なんて忘れてスペインで歌え!」
地元クラブのオーナーの声が耳に響く中、彼女は遂に最後の決断をするが——。

木曜日 − 『初心者の日記(DIARY OF A BEGINNER)』 − エリア・スレイマン

パレスチナ人のES(エリア・スレイマン本人役)は、キューバのある指導者のインタビューを行う仕事でハバナにやってきた。インタビューの日時まで手持ちぶさたなESはタクシーをチャーターし、ハバナの町を気ままに見て回る。スペイン語も話せず、現地の友人もいない彼は、「帝国主義に対する革命の同志」であるはずのキューバ人の、実際には享楽的で開けっぴろげな生態を目の前にし、ただ立ち止まり、傍観し続ける……。

金曜日 − 『儀式(RITUAL)』  − ギャスパー・ノエ

真夜中、ハバナのビーチで若者たちが音楽をかけながらダンスを楽しんでいる。そんななか、一人の少女、ヤミルスラディのもとに、女の子が近寄ってきた。二人は身体を寄せて踊るうちに気分が高まってキスを交わす。そして翌朝。裸になってベッドに横たわる二人を、ヤミルスラディの両親が怒りに震えながら見下ろしていた。娘にかけられたふしだらな呪いを解くため、両親は娘を呪術師のもとへと連れて行き、古くから伝わる清めの儀式を受けさせる……。

土曜日 − 『甘くて苦い(DULCIE AMARGO)』 − フアン・カルロス・タビオ

母親のミルタは精神科医であり、病院での診察以外に週一回テレビにも出演するほどに活躍しながら、一方では家の中でお菓子つくりもして家計を支えている。キューバは「いろいろな仕事をして、とにかく生きていく」国なのだ。夫がアル中気味のせいか、もしくは失業中のためにそうなったのか。彼女は夫に家事を手伝わせ、ムチャをしないようにと怒鳴りながらも絆のかたい家庭を守っている。一方、外で暮らしているセシリアが突然「荷物をとりにきただけ」と帰宅。「なにかあるわ」と母親独特の勘を働かせるミルタ。しかし彼女が多忙な一日を終えてテレビ出演している間に事件は起きる。

日曜日 − 『泉(LA FUENTE)』 − ローラン・カンテ

「アレクシス!リビ!アントニオ!」 今日は日曜、安息の日。だが、海に近いマレコン通りのおんぼろアパートには住人たちを召集するマルタの声が轟く。朝の6時だ、何事だと、寝ぼけ眼が訴えても聞く耳持たずでマルタはがなりたてる。「全員、降りてきて」
 しぶしぶ、ぞろぞろ狭い部屋に集う面々。男も女も老人も子供も顔を見合わせ首を傾げる。が、お構いなしで号令がとぶ。「(川の女神)オチュンのためにパーティを開く。気まぐれじゃない。夕べ夢に聖母が現れ優しいお顔で仰った。5年もパーティをしていないって。彼女の頼みだ。パーティだ。部屋に泉を造って聖母を祭る。水を入れ魚を放つ——」
 訳のわからぬままに動き始める住人たち。不思議なものだ。いざとなると不可能を可能にする思いつきがそれこそ泉のように湧いてくる。レンガは3週間中断している劇場の工事現場から持ってこよう。ペンキは埠頭にブラジル製のがあったはず。袖の下?それもなんとかなるだろう。突貫工事に住人たちの土壇場のパワーが炸裂する……。

スタッフ

脚本:レオナルド・パドゥーラ・フエンテス
撮影:ダニエル・アラーニョ、ディエゴ・デュッセル
編集:トーマス・フェルナンデス、ベロニク・ランジュ、アレックス・ロドリゲス

月曜日 − 『ユマ(EL YUMA)』
監督:ベニチオ・デル・トロ
火曜日 − 『ジャム・セッション(JAM SESSION)』
監督:パブロ・トラペロ
水曜日 − 『セシリアの誘惑(CELIA’S TEMPTATION)』
監督:フリオ・メデム
木曜日 − 『初心者の日記(DIARY OF A BEGINNER)』
監督:エリア・スレイマン
金曜日 − 『儀式(RITUAL)』
監督:ギャスパー・ノエ
土曜日 − 『甘くて苦い(DULCIE AMARGO)』
監督:フアン・カルロス・タビオ
日曜日 − 『泉(LA FUENTE)』
監督:ローラン・カンテ

キャスト

月曜日 − 『ユマ(EL YUMA)』
出演:ジョシュ・ハッチャーソン、ウラジミール・クルス、デイジー・グラナドス、オテロ・レンソリ
火曜日 − 『ジャム・セッション(JAM SESSION)』
出演:エミール・クストリッツァ、アレクサンダー・アブレウ
水曜日 − 『セシリアの誘惑(CELIA’S TEMPTATION)』
出演:ダニエル・ブリュール、メルヴィス・エステベス、レオナルド・ベニテス
木曜日 − 『初心者の日記(DIARY OF A BEGINNER)』
出演:エリア・スレイマン、セバスチャン・バリオ
金曜日 − 『儀式(RITUAL)』
出演:オテロ・レンソリ、クリステラ・ヘレラ、ドュニア・マトス
土曜日 − 『甘くて苦い(DULCIE AMARGO)』
出演:ミルタ・イバラ、ホルヘ・ペルゴリア、メルヴィス・エステベス、ベアトリス・ドルタ
日曜日 − 『泉(LA FUENTE)』
出演:ナタリア・アモーレ、オテロ・レンソリ、アレクシス・ヴィダル

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