原題:LA PIEL QUE HABITO/THE SKIN I LIVE IN

巨匠アルモドバルが辿り着いた最高傑作であり、究極の問題作。

第69回ゴールデングローブ賞 最優秀外国語作品賞ノミネート
第64回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品
★ワシントンDC映画批評家協会賞外国語映画賞受賞 ★フロリダ映画批評家協会賞外国語映画賞受賞
★インディアナ映画ジャーナリスト賞外国語映画賞受賞 ★フェニックス映画批評家協会賞外国映画賞受賞

2011年/スペイン/120分/カラー/アメリカンビスタ/ドルビーデジタル
配給:ブロードメディア・スタジオ

2012年5月26日(土)TOHOシネマズシャンテ、シネマライズ他全国ロードショー

Photo by José Haro El Deseo

公開初日 2012/05/26

配給会社名 0551

解説


空前絶後のオリジナリティに満ちあふれ、
カンヌ映画祭で衝撃と熱狂を呼び起こした
巨匠ペドロ・アルモドバルの新たなる冒険

 天才的な形成外科医ロベル・レガルは、神をも恐れぬ男だった。12年前に最愛の妻を失った悪夢のような出来事をきっかけに、あらゆる良心の呵責から解き放たれた彼は、倫理的に危うい遺伝子実験に没頭し、妻を救えるはずだった“完璧な肌”の研究に心血を注いできたのだ。その実験が最終段階に差しかかった頃、ロベルは監禁した“ある人物”の肉体に開発中の人工皮膚を移植し、ベラ・クルスという亡き妻そっくりの美しき女性を創り上げていくのだった……。
 『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』『ボルベール〈帰郷〉』の“女性賛歌3部作”を始め、深遠にしてバイタリティ豊かな愛の物語を次々と世に送り出し、希代のストーリーテラーの地位を揺るぎないものとしたペドロ・アルモドバル。このスペインの巨匠が放つ『私が、生きる肌』は、昨年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映され、そのかつて誰も観たことのないオリジナリティに満ちあふれた映像世界が、センセーショナルな衝撃と熱狂を呼び起こした最新作である。そのただならぬ興奮は全米の賞レースにも飛び火し、いよいよ多くの熱狂的なアルモドバル・ファンが待ちわびる日本への上陸を果たす。

“完璧な肌”を創る禁断実験に没頭する
天才医師と、囚われの身の美しきヒロイン
あなたは、これを愛と呼べるか—

 めくるめく官能と戦慄に彩られた『私が、生きる肌』は、謎めいたひとりの女性の姿とともに幕を開ける。本作のヒロインたるその女性ベラは、全裸と見まがうしなやかな肢体に肌色のボディ・ストッキングをまとい、ヨガの瞑想に耽っている。病院と研究所を兼ねた郊外の豪邸にベラを幽閉した医師ロベルは、いかなる秘密を隠し持っているのか。いったいベラは何者で、どのような宿命のもとでロベルとめぐり合ったのか。
 こうした疑問を矢継ぎ早に投げかける本作は、現代から過去へとさかのぼり、まったく予測不可能な形で幾つもの驚くべき真実を提示していく。いつものようにアルモドバルが練りに練ったシナリオをベースに紡がれる物語は、スリリングにして艶めかしいミステリー・ノワールとして進行し、激しくも屈折したラブ・ストーリーへと発展。やがて観る者は、比類なきほど異様な運命をたどる主人公ロベルと囚われの美女ベラの関係に、目と心を奪われずにいられない。はたしてこれは究極の愛のみが為せる奇跡か、それとも欲望と狂気に駆られた悪魔の所業か。すべての答えは、この問題作のあまりにも数奇な全貌を見届けた観客に委ねられている。
 初期作品の倒錯的なエロス&バイオレンス、先鋭的なファッション感覚を鮮やかに甦らせたアルモドバルは、それらのエッセンスを『ライブ・フレッシュ』『オール・アバウト・マイ・マザー』以降の熟成した語り口と見事に融合。さらに『顔のない眼』『フランケンシュタイン』『めまい』といった往年の名作へのシネフィル的目配せも織り交ぜ、まさしく映画作家アルモドバルの約30年に及ぶ華々しいキャリアの集大成的な作品となった。

ペドロ・アルモドバル×アントニオ・バンデラス
22年ぶりに復活した黄金コンビと
熟練スタッフが生んだ官能的な映像世界

 アルモドバルの1982年作品『セクシリア』でデビューし、スペインを代表する国際的スターへとのぼりつめたアントニオ・バンデラスが、1989年の『アタメ』以来、巨匠との久々のコラボレーションを復活させたことも大きな話題である。情熱的なラテンのセクシー男とのイメージが強い大物俳優が、愛に狂わされた異色のキャラクターを体現。ポーカーフェイスの裏に渦巻く激情を鬼気迫る存在感で伝え、観る者を終始圧倒し続ける。
 女優の魅力を輝かせることにも長けたアルモドバルが、新たなミューズに指名したのはエレナ・アナヤ。『この愛のために撃て』での妊婦姿の大熱演も記憶に新しい彼女が、本作の最も重要なモチーフである“肌”を惜しげもなく晒し、リスクを伴う難役を堂々と演じきった。そして『オール・アバウト・マイ・マザー』の名女優マリサ・パレデスが、本作の“観察者”というべきマリリアに扮し、母親の複雑な心情を表現しているのも見逃せない。
 スタッフには撮影のホセ・ルイス・アルカイネ、美術のアンチョン・ゴメス、音楽のアルベルト・イグレシアスなど、アルモドバル作品の常連が集結し、鬼才ジャン=ポール・ゴルチエが衣装に参加。また本作にはフランスの作家ティエリー・ジョンケのミステリー小説「蜘蛛の微笑」という原作があり、アルモドバルの手で大胆な脚色が施され、新たな物語に生まれ変わっている。

ストーリー


〈2012年、トレド〉
 のどかな風景が広がる郊外に、ロベル・レガルの大邸宅がひっそりと建っている。世界的な形成外科医であるロベルは、鉄の門と石塀に囲まれたこの屋敷に何人かの患者たちを受け入れながら、長年に渡って研究活動を行っている。ロベルは最先端のバイオ・テクノロジーを駆使した人工皮膚開発の権威でもあった。
 大邸宅の2階にある広大な一室には、ベラという若く美しい女性が幽閉されている。なぜか通常の衣服を着用せず、素肌の上に特殊なボディ・ストッキングをまとっている彼女は、液晶テレビが備え付けられた簡素な部屋の中で黙々とヨガに取り組んでいる。1階のキッチンの監視モニターでベラの様子を観察し、食事などの世話をするのはブラジル移民の初老のメイド、マリリアの役目だった。
 そんなある日、カーニバルの熱狂に沸くマドリッドから、奇妙な虎のコスチュームに身を包んだ青年がマリリアを訪ねてくる。その招かれざる珍客のお尻のアザを目の当たりにしたマリリアは動揺を隠せない。彼こそは長らく音信不通だった息子セカだった。久々の再会を喜ぶ母子だったが、監視モニターに映るベラの姿に目をとめたセカは、すぐさま凶暴な野獣の本性を剥き出しにする。マリリアを椅子に縛りつけ、2階に駆け上がったセカは、危険を察して逃げようとしたベラを捕獲し、ボディ・ストッキングを荒々しく引きちぎる。セカはベラにある女性の面影を重ね、猛然と劣情を募らせるが、ベラはなぜ自分がセカを興奮させてしまうのか理解できない。凄まじい暴力の痛みからベラを救い出したのは、帰宅したロベルがセカに放った銃弾だった。
 ロベルがセカの死体を始末している間、マリリアはベラに告白を始める。ロベルとセカは異父兄弟だが、当の本人たちは複雑な出生の事情をまったく知らない。セカが貧しいならず者として育った一方、ロベルは大富豪レガルの息子として引き取られ、マリリアはレガル家のメイドとしてずっとロベルの成長を見守ってきたのだという。
 そしてロベルの人生が重大な転機を迎えたのは12年前のこと。最愛の妻ガルがセカと駆け落ちし、交通事故で全身に大火傷を負ってしまったのだ。ガルはロベルのひたむきな看護でからくも命を取り留めたが、窓ガラスに映った“燃えかす”のように変わり果てた自らの姿に絶望し、幼いひとり娘ノルマの目の前で投身自殺。それ以来、ロベルは何かに取り憑かれたかのように、瀕死の愛妻を救えたかもしれない“完璧な肌”の研究に没頭するようになり、その画期的な人体保護機能を備えた人工皮膚を“ガル”と命名した。
 マリリアの告白を聞き終え、幽閉室に戻ったベラは、ベッドの中でロベルに優しく抱きすくめられる。このうえなく愛しい恋人同士のように振る舞いながらも、どこかぎこちないロベルとベラは、いつ、どこで、どのようにめぐり合ったのか。マリリアやセカがありし日のガルに瓜ふたつと見なしたベラの本当の素性は、いったい誰なのか。すべては6年前のある恐ろしい事件にさかのぼる……。

スタッフ

監督:ペドロ・アルモドバル
原作:ティエリ・ジョンケ
脚本:ペドロ・アルモドバル
美術:アンチョン・ゴメス
音楽:アルベルト・イグレシアス

キャスト

アントニオ・バンデラス
エレナ・アナヤ
マリサ・パレデス
ヤン・コルネット
ロベルト・アラモ

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□IMDb
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http://youtu.be/5g9vySZI3q4
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