希望の国
原題:The Land of Hope
NIPPON CONNECTION 2013::http://www.nipponconnection.com トロント国際映画祭2012ワールドプレミア・NETPAC賞受賞
2012年/日本=イギリス=ドイツ=台湾合作/カラー/133分/ 配給:ビターズ・エンド
2013年03月07日よりDVDリリース 2012年10/20(土)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー!
(c)2012 The Land of Hope Film Partners
公開初日 2012/10/20
配給会社名 0071
解説
衝撃作を生み出し続けてきた園子温監督のネクストステージーー
ある家族の生き様と尊厳の物語
『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』『恋の罪』など、現実の事件を題材にした作品の数々で、“性”や“暴力”といったタブーに挑み続けてきた鬼才・園子温。新作を発表するごとに世界の映画祭を席巻し、『冷たい熱帯魚』で第67回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門出品、『恋の罪』で第64回カンヌ国際映画祭監督週間出品、そして前作『ヒミズ』で主演の染谷将太、二階堂ふみに第68回ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)をもたらした彼が、今回テーマとして選んだのは現在の日本が直面する最大のタブー“原発”だった。
未曽有の事態に巻き込まれた3組の男女が辿る「絶望」「共生」「希望」
舞台は東日本大震災から数年後の20XX年、長島県。酪農を営む小野泰彦は、妻・智恵子と息子・洋一、その妻・いずみと満ち足りた日々を送っていた。あの日が来るまでは。長島県東方沖を襲ったマグニチュード8.3の地震と、それに続く原発事故は、人々の生活をたちまち一変させる。原発から半径20キロ圏内が警戒区域に指定される中、強制的に家を追われる隣の鈴木家と、道路ひとつ隔てただけで避難区域外となる小野家。だが、泰彦はかつてこの国で起きた未曾有の事態を忘れていなかった。国家はあてにならないと言い、自主的に洋一夫婦を避難させ、自らはそこに留まる泰彦。一方、妊娠がわかったいずみは、子を守りたい一心から、放射能への恐怖を募らせていく。
「これは見えない戦争なの。弾もミサイルも見えないけど、そこいらじゅう飛び交ってるの、見えない弾が!」
その頃、避難所で暮らす鈴木家の息子・ミツルと恋人のヨーコは、消息のつかめないヨーコの家族を探して、瓦礫に埋もれた海沿いの町を一歩一歩と歩き続けていた。
やがて、原発は制御不能に陥り、最悪の事態を招いてしまう。泰彦の家が避難区域となり、強制退避を命じられる日も刻一刻と迫ってきた。帰るべき場所を失い、放射能におびえる人々。終わりなき絶望と不安の先に、果たして希望の未来はあるのだろうか?
時代を切り取り、人間のあり方に迫る社会派エンタテインメントの傑作誕生
東日本大震災直後に撮影された前作『ヒミズ』で、「3.11」後の希望を謳いあげた園監督が、あの日から1年以上を経た本作で暴き出すのは、震災後の日本が直面した過酷な現実の姿だ。実際に被災地で取材を重ね、そこで見聞きした事実をもとに描かれる今回の物語は、フィクションでありながら、未曾有の事態に巻き込まれた人々の“情感”を克明に記録する。かつて今村昌平や大島渚ら、日本の巨匠たちがえぐり出したように、この映画は社会を鋭く切り取ることで、そこに暮らす人々の“生”や“尊厳”を鮮やかに描写している。クリント・イーストウッドやスティーブン・スピルバーグらの名を挙げるまでもなく、社会問題を通じて人間のあり方に迫るその手法は、もはや世界標準であるとすら言っていい。原発事故を題材に、多くのメディアが報じながら、実際には伝えきれなかった人間の心に迫る、社会派エンタテインメントの傑作が誕生した。
日本映画界を支える名優たちの熱演
園子温の描き出す、激しく力強い筆致と全編にあふれる詩情
主人公の泰彦には、60年代以降の日本映画で多くの作品にその足跡を残してきた名バイプレイヤー・夏八木勲。彼の妻・智恵子に、『ツィゴイネルワイゼン』を始め、さまざまな映画で名演を披露してきた大谷直子。息子の洋一には日本のインディペンデント映画に欠かせない俳優のひとり・村上淳が扮し、その妻・いずみを園作品の常連でもある神楽坂恵が演じている。また、隣に住む鈴木家の父と母にでんでんと筒井真理子、その息子と恋人に清水優と梶原ひかりが扮し、小野家と関わる周囲の人々として菅原大吉、山中崇、河原崎建三らが出演。セリフや出番の少ない役柄ながら、園監督の呼び掛けに応えて、伊勢谷友介、吹越満、大鶴義丹、田中哲司らが出演しているのも見逃せない点のひとつだ。
本作は園監督の才能に惚れ込んだイギリス、台湾の製作会社から出資を得て、日本=イギリス=台湾の共同製作作品として完成した。ここには、園作品がこれまで映し出してきた過激な性や暴力は微塵も見当たらない。マーラーの交響曲第10番第一楽章「アダージョ」の妙なる調べとともに、静謐で美しい映像がとらえるのは、震災後の新たな日常と懸命に格闘する家族のひたむきなたたずまいだ。激しく力強い筆致と、全編にあふれる詩情の中、そこで三組の男女が辿る“絶望”“共生”“希望”の未来。おそらく多くの人が、かつてない衝撃を覚えるだろう。誰も見たことのない、社会派・園子温のネクストステージに。
ストーリー
日本のある村。小野泰彦(夏八木勲)は妻(大谷直子)、息子の洋一(村上淳)とその妻(神楽坂恵)とともに暮らしている。のどかで美しい風景のなかで、酪農を生業としている小野家は、つつましいながらも幸せな生活を送っていた。
隣家の息子(清水優)は 家業を手伝わずに恋人(梶原ひかり)と遊びまわっては父親(でんでん)と母親(筒井真理子)に叱られてばかりいる。
ある日、大地震が起き、彼らは避難を強いられることになる。
だが、小野家は愛着を持った 家をなかなか離れることができない。
その渦中でいずみの妊娠が発覚。洋一といずみが 子供を守るためにとった行動は……。
スタッフ
脚本・監督:園 子温
撮影:御木茂則
照明:松隈信一
美術:松塚隆史
装飾:石毛 朗
録音:小宮 元
整音:深田 晃
編集:伊藤潤一
助監督:吉田 聡
制作担当:竹岡 実
VFXディレクター:馬場 革
スクリプター:貞木優子
キャスティング:杉山麻衣
小道具:SAORI
衣裳:川崎健二 新井正人
ヘアメイク:本田真理子
プロデューサー:定井勇二 國實瑞恵 汐巻裕子
ラインプロデューサー:鈴木 剛
共同プロデューサー:Adam Torel James Liu
挿入曲:マーラー 交響曲第10番 第一楽章「アダージョ」 (Naxos Japan)
Ohashi Yoshinori 「7 colors of rain」「tenboudai」「poetry」 FROM 『borderless』
製作:『希望の国』製作委員会
共同製作:Third Window Films
Joint Entertainment International
配給:ビターズ・エンド
宣伝:メゾン
写真:黒田光一
プレス編集協力:門間雄介
キャスト
小野泰彦……夏八木勲
小野智恵子……大谷直子
小野洋一……村上 淳
小野いずみ……神楽坂恵
鈴木ミツル……清水 優
ヨーコ……梶原ひかり
志村(町役場職員)……菅原大吉
加藤(町役場職員)……山中 崇
産婦人科医……河原崎建三
松崎……浜田 晃
田中(警官)……大鶴義丹
寺山(警官)……松尾 諭
島田(避難する住民)……吉田祐健
橋本(避難する住民)……並樹史朗
ガソリンスタンドの店員……米村亮太朗
水島(避難所の人)……吹越 満
谷川(避難所の人)……伊勢谷友介
TVの中の司会者……手塚とおる
トークイベントのゲスト……田中壮太郎
三島(洋一の同僚)……本城丸裕
荒井(洋一の同僚)……深水元基
林(洋一の同僚)……大森博史
ひろみ(妊婦)……占部房子
検問所の警官……井上 肇
TVの中の官僚……堀部圭亮
海辺の父親……田中哲司
鈴木めい子……筒井真理子
鈴木 健……でんでん
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