原題:Living the Silent Spring

『花はどこへいった』から3年… 坂田雅子監督最新作 ベトナム、アメリカ——いまだ癒えぬ枯葉剤の傷痕

2011年/日本語、英語、ベトナム語/カラー/HDV/日本/87分/ 配給:シグロ

2011年9月24日(土)から10月21日(金)まで岩波ホールにて4週間限定上映!他、全国順次公開

©2011 Masako Sakata / Siglo

公開初日 2011/09/24

公開終了日 2011/10/21

配給会社名 0035

解説


1962年にレイチェル・カーソン(*1)が著した『沈黙の春』は、当時隆盛を誇った農薬の危険性を予言し、DDTが禁止されるきっかけとなった。一方、その頃ベトナムでは、ジャングルにひそむゲリラの隠れ場所をなくすため、米軍による枯葉剤散布がはじまった。枯葉剤は農薬と同じ成分を持つが、人体や自然環境に多大な影響を及ぼす、猛毒のダイオキシン(*2)が含まれていた。

当時のアメリカ政府が「人体に影響がなく、土壌も1年で回復する」と説明していた枯葉剤は400万人ものベトナムの人びとに直接散布され、その被害は戦後35年を経たいまも続く。当時ベトナムに駐留していた米軍兵士も枯葉剤を浴び、帰還兵の多くがいまだにその影響に苦しみ、被害は彼らの子供や孫の世代にまで及んでいる。

帰還兵の娘、ヘザーは片足と指が欠損して生まれた。父の戦場であったベトナムを訪ねたヘザーは、両国の被害者が繋がっていくことの大切さに気づく。本作は、枯葉剤の刻印を背負ったベトナム・アメリカ、双方の子供たちの困難と勇気を描き、レイチェル・カーソンの予言的言葉に再び耳をかたむけることの大切さを訴える。

*1レイチェル・カーソン(1907〜1964)
アメリカの作家で海洋生物学者。1962年に出版した「沈黙の春」(新潮社より刊行/原題:Silent Spring)において、殺虫剤などの「合成化学物質」の無分別な大量散布(使用)は、生態系を乱し、生物環境の大規模な破壊をもたらし、人間の生命にも関わることになると警告した。本書は社会に大きなインパクトを与え、世界が環境問題に目を向けるきっかけとなった。

*2 ダイオキシン
ごみの焼却処理や、化学物質の製造過程で発生する化学物質。人体や環境に有毒で、遺伝子に損傷を与えるとされている。ベトナム戦争で散布された枯葉剤にはダイオキシンが含まれていたため、直接、被曝したベトナム人だけでなく、散布に従事したアメリカ人帰還兵、その家族にも被害が出ており、今も多くの人が重い病気や障害で苦しんでいる。

ストーリー




スタッフ

企画・監督:坂田雅子
製作:山上徹二郎
編集:ジャン・ユンカーマン
ナレーション:加藤登紀子
撮影:ビル・メガロス、山田武典、
   坂田雅子、ロバート・シーモン
整音:小川 武
音楽:グエン・タイン・トゥン、難波正司

宣伝:原田 徹
宣伝デザイン:小笠原正勝、秋山京子

写真:Philip Jones Griffiths / Magnum
資料映像:米国公文書館、
    Thought Equity Motion / CBS News
     Jerome Kanapa

ベトナム語翻訳:武田玲佳

製作事務局:佐々木正明、西 晶子、
      奥野尚子、長沢義文、石田優子

協力:ベトナム枯葉剤被害者の会(VAVA)
   グエン・ミン・イ、ハ・ティ・マック、
   ツーズー病院、シンクワイヤ、
   岩波ホール、宮田 興、吉岡雅春
   石原大史、西世賢寿、大重裕二

キャスト

クイン・トゥとファン・クック・フイ
グエン・タイン・タムと家族
ホアン・チャン・ルンと娘ルエン
ヘザー・A・モリス・バウザー
グエン・ヴァン・リエンと家族
シャロン・L・ペリー
シャリテイー・キース=ライカード
ジーン・ステルマン教授
アーノルド・シェクター教授
ド・ドゥック一家
チュオン・ティ・トゥイとキエウ
レ・ティ・ミとグエン・ヴァン・チュオイ
モナ・エドワーズ
ホアン・ヌ・マオと家族
フォン・タン医師
グエン・ホン・ロイ
チャン・ティ・ホアン
グエン・タイン・トゥン
ツーズー病院 平和村の子供たち

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