カメリア
原題:Camellia
わたしの釜山は、泣いている。
第15回釜山国際映画祭 クロージング作品
2010年/韓国・日本・タイ/カラー/143分/ 配給:東映
2011年10月22日、全国順次ロードショー
© 2010 BALCON / SIDUS FNH
公開初日 2011/10/22
配給会社名 0004
解説
1996年に創設され、いまやアジアで最も注目される映画祭に成長したといっても過言ではない韓国の釜山国際映画祭。その映画祭と、会場である釜山広域市では長年、釜山を舞台にした映画をつくりたいという思いがあった。2009年、両者の思いは〈釜山プロジェクト〉として具体的に動き出した。
オムニバス映画『カメリア』の舞台は釜山、テーマは「愛」。その2条件の中で監督たちに自由に撮影してもらう。監督は釜山国際映画祭と縁のある3人の映画監督を選び出した。
その3人とは、映画『怪盗ブラック・タイガー』などで日本でも知られるタイのウィシット・サーサナティアン、日本の行定勲、韓国は『地球を守れ!』でモスクワ映画祭ほか各国映画祭で賞に輝く実力派チャン・ジュナン。個性の違った3監督が、それぞれの釜山をスクリーンに映し出す。
サーサナティアン監督の「IRON PUSSY」は、1970年代の釜山にやって来たタイのスパイの悲恋物語。女装してスパイ活動をするアイアン・プッシー(ミシェル・シャオワナサイ)と韓国人のジホン(キム・ミンジュン)との結ばれぬ愛をコミカルに描く。暑い国出身の監督ならではの豊かな色彩に彩られた物語は、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさがある。
圧倒的な完成度で魅了するのは、行定監督の『Kamome』だ。映画をこよなく愛する昔気質の撮影監督が、不思議な少女と出会い、ほのかな恋心を抱くファンタジー。少女を演じた吉高由里子の透明感ある美しさと、撮影監督を演じた名優ソル・ギョングの視線、仕草、涙といった演技の一つひとつが心に沁みる。観光名所としての顔とは異なる夜の釜山の町並みは、どこか懐かしくやさしい気持ちにさせてくれる。日本人監督ならではの情緒が滲んだ作品に仕上がっている。
未来都市・釜山では記憶の売り買いができるー。チャン・ジュナン監督はそんなSFタッチの『LOVE FOR SALE』を撮り上げた。主演は釜山出身のカン・ドンウォンと、ソン・ヘギョ。ドンウォンが軍に入隊して間もなく1年になるだけに、本作はファンにとってはうれしいプレゼントに違いない。ストーリーも最近のドンウォン作品にはない恋愛モノだけに、ファンには見逃せない1本となっている。
個性溢れる監督たちがとらえた釜山を通して、私たちはどんな釜山を発見することができるだろうか。
ストーリー
本作は、釜山の現在、過去、未来を舞台にした3つのラブストーリーで構成されている。過去を描いた”アイアン・プッシー”は、タイの服装倒錯者で秘密情報員のアイアン・プッシーがスパイとして派遣され、正体不明の韓国人男性と恋に落ちる物語。現在を描いた”かもめ”は、映画を撮影中の韓国人が、時間と空間を超越しながら若い女性と恋に落ちる物語。”ラブ・フォー・セール”は、愛の記憶が商品のように売買されている未来の釜山を舞台に、記憶を盗んだ人物を追いかける男性を描く、運命的なラブストーリーだ。
「IRON PUSSY(アイアン・プッシー)」
朴正煕大統領が暗殺された1979年の釜山。タイの必殺仕事人ことアイアン・プッシー(ミシェル・シャオワナサイ)は、ふだんは飲食店で働く冴えない板前のオヤジ。だが、ひとたび呼び出しがかかれば、オシャレでレトロシックな装いの、華麗なる女スパイに変身して任務をこなす。この日、指令を受けたプッシーはスタイリッシュな頭巾つきのコートを纏い、ディスコへ向かう。そこでイケメンの男、ジホン(キム・ミンジュン)と出会い恋に落ちるが、さらなる指令は「大悪党を処刑しろ」。ターゲットは非情にもジホンその人だった……。
「Kamome(カモメ)」
映画の撮影で釜山にやって来たパク・ヨンス(ソル・ギョング)は大御所の撮影監督。わがまま女優にうんざりしながら撮影していた彼は、ふと、カメラの向こうに人影を見て中断してしまう。機嫌を損ねた女優によってその日の撮影は中止。ヨンスは後輩を誘って飲み屋に繰り出すが、雑踏で靴を履かずに町を漂う少女(吉高由里子)とすれ違う。再び少女に出会ったヨンスは彼女を店に招き入れ、彼女のために靴を買いに走る。カモメと名乗るその少女が気になって仕方がない彼は結局、一晩中、少女と一緒に釜山の町を歩き回り、夜の海に向うが・・・・・・・。
「LOVE FOR SALE(ラブフォーセール)」
近未来の釜山では、脳から愛の感情と記憶を取り出し保存することが可能となっていた。そのため、愛を脳から取り出し、それを売り買いするビジネスが大盛況。他人の愛で本物の恋愛を体験できるとあって、だれもがこぞって愛を欲しがっていた。ジェイ(カン・ドンウォン)はかつてラブビジネスを牛耳る組織に、愛するボラ(ソン・ヘギョ)との仲を引き裂かれ、殺されかけた。一命を取り留めて生還した彼は、組織の人間に復讐を果たしながらボラを助け出すため「大宮殿」と呼ばれる一大組織へ潜入を果たす。
スタッフ
『アイアン・プッシー』
監督:ウィシット・サーサナティアン
プロデューサー:イ・ヒャンチョル
プロデューサー:プラーン・ターダーウィラワット
撮影監督:ナルポン・チョーカナーピタック
『かもめ』
監督:行定 勲
製作総指揮:ヤン・シオン
プロデューサー:リュ・スチョル
撮影監督:福本 淳
『ラブ・フォー・セール』
監督:チャン・ジュヌァン 張駿桓
プロデューサー:イ・スンジン
撮影監督:アレックス・ホン
照明:チェ・チョルス
キャスト
『アイアン・プッシー』
マイケル・シャオワナーサイ
キム・ミンジュン
『かもめ』
ソル・ギョング
吉高由里子
『ラブ・フォー・セール』
カン・ドンウォン
ソン・ヘギョ
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