原題:La voie du chat

ネコがおしえてくれる、知的で自由な、美しい生き方。 アールヌーヴォーのフランスから、ネコと人の距離が近い国 = 日本へ

2009年フランス映画/89分/ビスタサイズ/デジタル上映/日本語字幕:寺尾次郎 配給:ツイン

2011年08月05日よりDVDリリース 2010年8月14日(土)より、シアター・イメージフォーラムにてロードショー公開、他全国順次公開

(C) La bascule and Ana films

公開初日 2010/08/14

配給会社名 0251

解説


「私たちにとって、ネコってなに?」 と問いかけるドキュメンタリーが届いた。行方丌明の愛猫を追うのは、フランスの女性ドキュメンタリー作家ミリアム・
トネロット。旅は時空を超えて、いつしか人間の姿をあぶりだしていく。ボードレール、プッチーニ、ラヴェル、ルノワール——フランス革命を経て19世紀、ネコは“自由”の象徴とされ、多くの芸術家が愛を競い合った。そして夏目漱石の国、日本へ——。
映画には、首輪の[キャットカム]でネコの日常を撮影した[カメラねこ]ミス
ター・リーや、患者に天国への旅立ちを知らせる丌思議な才能がTVや本でも紹介された[おくりねこ]オスカーら世界の素敵なネコたちが多数出演。そして、ペット大国・日本では[駅長]たまを訪ねるほか、仏文学者・鹿島茂氏や獣医師・石野孝氏へのインタビューも実現。ネコと人間の新しい関係に迫る。
ネコを探して、見つかるものは自分自身なのかもしれない・・・。

今こそネコのように生きよう——。
そして、最期はそばにいてほしい。
このドキュメンタリーは、人間を観察します。“鏡”に自分を映すようにネコの目で見ることで、より客観的な視点から覗くという試みなのです。もっとも個人主義的な動物とされるネコを通して世の中を見たら、人間の姿が浮かび上がるかもしれない。150年前、ともに“覇者”となったネコと人間が築いてきた関係——優しくて、情熱的で、感動的で、ときに悲しくもあった関係を探れば、われわれが歩んできた歴史を辿れるかもしれない。
見えてきたのは、人間が変わってしまったということ。そして、ネコは今も変わらないということです。ノンシャランと屋根を渡り、上手に陽だまりを探し当て、恋の季節は高らかに歌う! そんな理想の動物が、私に人生の楽しみを思い出させてくれた・・・そんな旅でした。

ミリアム・トネロット

ストーリー





クロを追って、ネコを探す旅

【19世紀、フランスのサロンで】
古くから、偽善的でケチな動物、あるいは悪魔の化身とみなされてきたネコ。ところが19世紀後半、封建社会が崩れ個人主義が台頭する中で、リベラルで偏見を持たない知的エリートたちがネコの優雅な魅力に夢中になりはじめた。ロマン派の芸術家や詩人、作家、哲学者、そして画家たち——イポリット・テーヌ、ボードレール、夏目漱石、ラドヤード・キップリング、プッチーニ、ロッシーニ、ラヴェル、ルノワール、スタンラン、フランツ・マルクなどなど・・・。彼らは新時
スタンラン、1890年
代の自由と希望を象徴するネコを賛美した。
そして、ヨーロッパを魅了したジャポニスムの到来。広重が描いた独特のポーズがきっかけとなり、ネコは一躍“芸術のミューズ”へ。西洋画にはじめて主役として登場していくのだった。

【“踊る”ネコ】
夏目漱石に誘われて、たどり着いたのは日本だった。水俣の海辺には、人間に急激な産業化の危険を知らせてくれたネコがいた。“個人主義”が都合よく形を変えて、企業の利益が優先された20世紀の犠牲。そしてあれから半世紀、苦しみは今も続いている。

【人を見送る駅長ネコ】
和歌山には、日本一有名な駅長、たまがいる。ローカル線を廃線の危機から救ったこのネコは、鉄道の本来の役割を考えさせる。採算が合うことの重要性、そして地域貢献・・・これは民営化を受けて経営に苦しむ鉄道へのヒントかもしれない。本来、自由な旅人であるネコだが、ここでは留まって人を見送り、皆から愛されて暮らしていた。

【鉄道を守るネコ】
イギリスでは、鉄道の民営化に際して別の問題が生じていた。国営の時代、線路や信号、倉庫をネズミから守るために、ネコが働いていたのだ。しかし、民間企業の経費削減の考え方は、ネコのエサ代を「ムダ」と切り捨てた。2万5千人の(人間の)従業員とともに解雇されたネコは、200匹。しかし、かつての鉄道員たちは一様に当時を惜しみ、ネコを賞賛する。ここではネコはペットではなく、頼りになる仕事仲間だったのだ。

【自分の生活を撮影するネコ】
ノース・カロライナのミスター・リーは、拾われたノラネコ。食事つきの住処を不えられても、外歩きのクセは直らない。心配した飼い主が[キャットカム]を発明した。1分毎に1枚の写真を撮影するこの小型カメラは、“知られざる”ネコの生活を捉える。その写真がネット上に公開されると、世界中から注文が殺到。しかし飼い主は語る。「ネコが危険な目に合っていないか気になって写真を見るが、助けられるわけじゃないからね」彼の思いは、街じゅうに監視カメラが張り巟らされた現代社会へと繋がっていく。

【プロとして宿泊客をもてなすネコ】
ミネソタ州には、部屋と一緒にネコを借りられるホテルがある。12匹のネコは、厳しい面接を経て採用されたプロ。一夜のお泊りで客になつき、幸せな時間を共有する能力が求められる。自宅に愛猫を残して、客はひととき、楽しくてちょっぴりうしろめたい“丌倫”の夜を過ごす。ネコは、ときに“劣った存在”としての女性に例えられてきた生き物だが、朝を迎えて陽だまりにまどろむその表情には、むしろ、19世紀の芸術家たちが心奪われた至福の瞬間が訪れている・・・。

【ペット大国・日本のネコ事情】
2300万のネコが飼われている島国、日本。ちなみに子供の数は1700万だ。1兆円のペット・ビジネスはフランスの倍。今の一番人気はネコだ。仏文学者の鹿島茂は、招き猫に囲まれながら語る。75年以降に日本でもてはやされるようになった「カワイイ」という価値観と、ネコの人気には関連があるのではないか。獣医師・石野孝は鍼治療中。近年、人間と同じ病気にかかるようになったネコを看ながら、ネコとの接し方の変化と病気の因果関係について聞かせてくれる。
ねこカフェ、ペット服、高級ペットフード・・・消費社会の裏側で、殺処分という悲しい現実があるのも事実だ。そしてこれは、20年後のヨーロッパの姿だろう。

【天国への旅立ちを知らせるネコ】
ロードアイランド州の病院には、有名な“おくりねこ”オスカーがいる。認知症患者の終末医療病棟の3階が彼の住処。数匹いる介添えネコの1匹で、患者の死を4時間前に察知し、最期まで寄り添うという丌思議な能力を持っている。同時に2人が亡くなるときは、家族の来ていない患者の部屋を選んで留まるという。
ネコの神秘性に驚くとともに、「ネコが人を必要とする」のでなく、「人がネコを必要としている」事実を再認識させられる存在だ。
旅が終わる。私は見つける。クロを? それとも・・・。

スタッフ

監 督 : ミリアム・トネロット
撮 影 : ディディエ・リクー
アニメーション : ジェローム・ジュブレ
音 楽 : マルク・ハンスマン
スチル撮影 : 佐竹茉莉子(「道ばた猫ものがたり」清流出版)

キャスト

[ 駅 長 ] たま
[ おくりねこ ] オスカー
[ 鉄 道 員 ] エリカ
[ カメラねこ ] ミスター・リー
[ お泊りねこ ] ジンジャー
鹿島茂 (明治大学教授)
石野孝 (獣医師) ほか

LINK

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□IMDb
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http://www.youtube.com/watch?v=8n_O4R_Hgok&feature=youtube_gdata
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