原題:Dans la ville de Sylvia

2007 年ヴェネチア国際映画祭 正式出品 2007 年トロント国際映画祭 正式出品 2007 年バンクーバー国際映画祭 正式出品 2007 年ニューヨーク・フィルム・フェスティヴァル 正式出品 2008 年東京国際映画祭 正式出品

フランス公開:2008 年9 月10 日 スペイン公開:2007 年9 月14 日

2007 年/カラー/スペイン、フランス合作/ 85 分/ 35 mm/ヴィスタ(1:1.85)/ DOLBY DIGITAL/日本語字幕:齋藤敦子 配給:マーメイドフィルム、紀伊国屋書店

2010年8月7日(土)より 渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開!全国順次

© Eddie Saeta s.a./Chateau-Rouge Production

公開初日 2010/08/07

配給会社名 1149/0237

解説


 「ミツバチのささやき」(‘73)や「エル・スール」(‘83)で我が国にも多くの信奉者がいるビクトル・エリセ監督が“今のスペインでもっとも優れた映画作家”と断言し、2008 年東京国際映画祭で旋風を巻き起こしたホセ・ルイス・ゲリンの「シルビアのいる街で」が遂に登場。劇場公開が本邦初となるゲリン監督は1960 年スペインのバルセロナ生まれ。ドキュメンタリーとフィクションの境界線上で野心的な映画製作を続ける彼にとって本作は6 本目の作品となります。小津安二郎とF・W・ムルナウを敬愛するゲリンは昨年の東京国際映画祭においてもジョン・フォード監督の傑作「静かなる男」(‘52)にオマージュを捧げたドキュメンタリー「イニスフリー」(‘90)を出品。映画史に関する幅広い知識と古典に対する奥深い愛情をあわせもつ本物の映画作家であることを私たちに証明しました。

 6 年前に愛しあった女性シルビアの面影を求めて想い出の地をさまよう画家志望の青年を主人公に、アルフレッド・ヒッチコックの「めまい」(‘58)を想起させるオブセッションの恋物語を緻密に計算された音と映像で構成し、今だかつて誰も見たことのない斬新な手法の作品に仕上げた本作は、映画表現の新たな地平を提示したものです。中世の街並みと先端技術の粋を集めた鉄道が違和感なく同居し無国籍な風情をかもしだすフランスの古都ストラスブール。この地で全篇ロケーションを敢行し、人々のざわめきや市電の通過音等、街のノイズをオーケストラのように奏でる見事な音響設計とガラスの反射や市電の窓からとらえた移動する風景の光溢れる美しい画面の連鎖が、見るものをどことも知れぬ異空間へと誘ってくれます。

ストーリー


朝、ホテルの一室。彼はベッドの上で考え事をしていた。
やがてホテルを出て地図を片手に街を歩き出す。
カフェに座り、女性客に声をかけるが無視されてしまう。
給仕人が飲み物を運んできたが彼の不注意で中身をこばしてしまった。
翌日、演劇学校の前にあるカフェで。店の奥に座り客を観察し、ノートにデッサンをしている彼。
ノートの余白に“シルビアのいる街で”とフランス語で書く。
カフェの喧騒、市電の通りすぎる音、ジプシー音楽風の物悲しいメロディーをバイオリンで弾く女たち。
彼はガラス越しに美しい女の姿を見つけハッとする。カフェを出て行く女。彼は慌てて彼女のあとを追った。
中世風の美しい街並みで繰り広げられる追跡劇。
彼は女にシルビアと声をかけたが何の反応もない。
やがて女は市電に乗った。
あとを追い自分も市電に乗り込む彼。
とうとう女に声をかけた。
「バー“飛行士”で6 年前に会ったシルビアだよね。
あの時君がナプキンに書いてくれた地図を今でも持っているよ。」
女の返事はそっけないものだった。
「私はこの街に1年前に来たばかり。人違いよ。」
彼は自分の間違いが信じられなかった。
女は「ずっと尾けられていて気味が悪かった。
あなたをまくためにわざわざ遠回りして市電に乗ったのだ。」と彼のおこないを非難した。
「最低だ」とつぶやき女に謝る彼。
やがて女は市電を降り、彼は1 人残された。
夜。想い出のバー“飛行士”で孤独に過ごす彼の姿。
翌朝彼はまたカフェに姿を現した。
やがて店を出た彼は市電の駅にたたずむ。
通り過ぎる市電の窓越しに見え隠れするたくさんの人々。
ガラスに反射するいくつもの人影。彼のノートが風でめくれていく。
女の後ろ姿、ブロンドの長い髪が美しく舞っている。
駅でたたずむ彼の前を何度も市電が通り過ぎていった。

スタッフ

監督:ホセ・ルイス・ゲリン
脚本:ホセ・ルイス・ゲリン
製作総指揮:ルイス・ミニャーロ、ガエル・ジョーンズ
製作主任:アンヌ・ベネット、ニコ・ヴィヤレーホ
撮影:ナターシャ・ブレイア
美術監督:マイテ・サンチェス
音響:アマンダ・ヴィヤヴィエーハ
編集:ヌリア・エスケーラ
音響編集:マリソル・ニエヴァス
録音:リカルド・カサルス

宣伝:VALERIA、bonaparte
配給協力:(社)コミュニティシネマセンター
後援:スペイン大使館、セルバンテス文化センター東京
バイオグラフィー執筆:梅園房良

キャスト

彼:グザヴィエ・ラフィット
彼女:ピラール・ロペス・デ・アジャラ
ターニヤ:ターニア・ツィシー

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