結び目
決してひとつになれない。はずだった。
2010年/日本/カラー/HD/91分 配給:アムモ
2010年09月24日よりDVDリリース 2010年6月26日よりシアター・イメージフォーラムにてレイトショー
(C)2009 アムモ
公開初日 2010/06/26
配給会社名 0376
解説
生徒と教師という立場でありながら、禁断の関係を結んでしまった絢子と啓介。あれから14年。互いに家庭を築き、別々の道を歩んできた二人だったが、ある日運命の再会をはたしてしまう。大人になった少女は過去を責めるかのように男を追い詰めるが、秘めた情念が封印を解かれたとき、ふたりの愛は火を噴くような激しさで奔(はし)り出す——。
本作は息もつけない緊張感の中から、噎せ返るような官能美が匂いたつ斬新なラブストーリーだ。緻密な心理描写によって男女の奥深い業を鮮やかにえぐり出し、妻と夫、愛と性、現在と過去——さまざまな“結び目”の相貌(かたち)を浮き彫りにしている。教師と生徒の恋愛、不倫といった背徳的なモチーフを扱いながらも、根底に流れるのは女性たちの強さ、逞しさ、美しさに対する心からの賛美。究極の心理サスペンスでありながら、ほろ苦くも甘美な、大人のための恋愛映画である。
主演の絢子役に、劇団「黒色綺譚カナリア派」主宰であり、演出・脚本・役者とマルチな活躍を見せる赤澤ムック。火柱のような激情を内に秘めた人妻を体当たりで演じ切り、鮮烈な映画初主演を飾った。絢子への想いに狂う元国語教師・啓介に『CHARON』『ポチの告白』の川本淳市。不器用で弱い男を、物静かなたたずまいと繊細な演技で熱演、新境地を開拓している。啓介の妻、茜役に『愛のむきだし』『ソフトボーイ』の広澤草。愛らしく健気な笑顔の下に、女の強さとしたたかさを秘める難役を、抜群の演技力で演じきった。この他、絢子の夫、雁太郎に『ニセ札』『アウトレイジ』の三浦誠己、認知症を患う絢子の義父に『火天の城』『いつか読書する日』の上田耕一、さらにはテレビや映画、舞台と幅広く活躍している辰巳琢郎が特別出演するなど実力派が脇を固めている。
監督は30代男のほろ苦い青春を描いた『童貞放浪記』や脚本作『真木栗ノ穴』などで高く評価された小沼雄一。エキセントリックなまでに燃え上がる男女の愛を端正なタッチで描き出し、格調高い珠玉の恋愛ドラマへと昇華させている。オリジナル脚本を手掛けたのは、『僕がこの街で死んだことなんかあの人は知らない』で第11回大伴昌司賞を受賞、08年、『イサク』でピンクシナリオコンクール入選をはたした港岳彦。撮影は『青〜chong〜』『リアル鬼ごっこ』などを手がけた早坂伸。本作ではニコンデジタル一眼レフカメラD90の動画撮影機能「Dムービー」での全編撮影に挑戦し、瑞々しく美麗な映像世界を創り上げている。音楽を担当したのは『一万年後・・・・。』『スリップ』の宇波拓。独自の美しさを帯びたスコアが作品の緊張感を高め、エンディングでは至福の解放感を与えている。
ストーリー
何の変哲もない地方都市。結婚して地元に帰ってきた絢子(赤澤ムック)は、認知症を患い、満足なコミュニケーションもとれない義父・将司(上田耕一)の世話で1日を終える。夜は疲れた身体を引きずりながら、夫・雁太郎(三浦誠己)の相手をする。どこか満たされない、永遠に続くかのような単調な日々。
そんなある日、洋服を預けにいったクリーニング店で思いがけない人物と再会する。啓介(川本淳市)——。14年前、中学生だった絢子と禁断の恋に落ちた元中学教師。純粋な気持ちから端を発した関係だったものの、小さな町でこの噂はすぐに公となり教師をクビになった。いまでは腕のいいクリーニング職人として、妻の茜(広澤草)と共に第2の人生を歩み、ささやかな幸せを実感する毎日。
過去を封じ込め、息を潜めるようにして生きてきたふたりの日常が、その日を境に大きく変化する。冷静を装おうと思えば思うほど激しくなる胸の昂まり。触れたくても触れられないもどかしい想い。啓介は仕上がった絢子のニットに、赤いリボンを忍ばせる。それはかつて逢瀬を重ねた森で、自分が待っていることを知らせるために絢子が樹に結んでいた、ふたりが愛し合っていた証しの品。「今のわたしは、あの男がつくったんだ」——。そう確信した絢子の中で何かがはじけ、甘美な記憶が暴力的な衝動へと変わる。それに啓介も応じ、彼らの理性は完全に崩壊していく。溢れんばかりの情念が臨界点を越えたとき、ふたりは過去を越えた新たな官能に達するのだった……。
スタッフ
監督:小沼雄一
脚本:港 岳彦
撮影:早坂 伸(J.S.C.)
プロデューサー:小田泰之
音楽:宇波拓
キャスト
赤澤 ムック
川本 淳市
広澤 草
三浦 誠巳
上田 耕一
辰巳 琢郎
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