2010年/カラー/ビスタサイズ/DTSアナログステレオ/103分 配給・宣伝:アステア

2010年4月10日ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

(C)2010『苦い蜜』製作委員会

公開初日 2010/04/10

配給会社名 0820

解説


ザ・ビートルズ幻の貴重盤、盗難事件。1年後現れた探偵。いま、14人の人生が複雑に交錯する…!!

●かつての名作にあったような、ミステリー仕立ての人間ドラマを!
CG(コンピュータ・グラフィックス)を活かした超大作や人気テレビドラマの劇場版もいいが、時代の速度に翻弄されることなく、もっと落ち着いて、かつて夢中になった『第三の男』や『12人の怒れる男』、ヒッチコックのサスペンスのような作品を味わいたい……という映画ファンにうってつけの作品が登場した。それが『苦い蜜〜消えたレコード〜』である。それぞれの事情を抱えて生きる大人たちが、たまたま集ったビートルズ・バーという“人生の交差点”で起こった事件。この映画を観た者は、二転三転する犯人捜しの興味と共に、登場人物の誰かに共感し、静かな感動を得て、劇場を後にするに違いない。

●それはザ・ビートルズの幻の貴重盤が紛失したことから始まった……。
 事件の舞台は、シックな英国調でまとめられたビートルズ・バー「リボルバー」。そのオープニング・パーティのメインイベントは、この日のためにと、有名芸能プロの社長でもあるバーのオーナーが集めたザ・ビートルズのLP14枚のコレクターズ・アイテムを飾ったディスプレイの除幕式だった。ところが最も貴重盤とされる「ブッチャー・カバー」が消えていた。犯人らしき人物は現行犯で捕まるが、オーナーはショックのあまり倒れ、2ヵ月後に死亡してしまう。その1年後、今度は小説で新人賞候補となった「リボルバー」のマスターのために、店の常連客が一堂に会した。そこに探偵を名乗るひとりの男が現れる。彼の口から語られた“もうひとつの物語”は、店に集った14人の本当の姿を浮かび上がらせ、1年前の事件の真相を暴いてゆく……。

●21世紀に甦った“大人の密室群像劇”の仕掛け人は?
 この練り上げられた密室劇の仕掛け人は、亀田幸則。永らく建築デザインの世界でイラストレーターとして活躍する一方、各企業のプロモーションビデオを手がけ、劇団「御成門」を立ち上げて数々の舞台を作・演出してきた期待のマルチ・クリエイターである。映画に関しては、「淀川長治氏の『日曜洋画劇場』で育った。本格的な人間ドラマにしか興味がない」と公言する亀田監督が、今の時代にこそこういう映画を!と挑んだのが本作。同監督は脚本も担当し、「脚本をきっちり構築したうえで、ワンテイクで挑み、俳優の持ち味を最大限に生かす」という演劇的な手法を貫いて、緊張が緩むことのない高度な密室劇を完成させた。

●映画、演劇、テレビ、音楽各界から、監督こだわりの多彩な俳優陣が集結。
演劇的手法だからこそ、亀田監督がこだわったのが14人のキャラクターを演じる俳優陣。それぞれの年代なりの実人生を反映し、派手さやカッコよさよりも、個性を際立たせることができるメンバーを揃えなければならない。探偵役に抜擢されたのは、ドラマ・映画・舞台にと多方面で活躍の金子昇。彼によって心理を暴かれる13人には、元テレビ局の大物プロデューサーに『沈まぬ太陽』の田中健、出版社編集長に実力演技女優の池上季実子、芸能プロダクション次期社長に「はぐれ刑事純情派」の重鎮・島田順司。ほかに「十津川警部シリーズ」の中西良太、「ふぞろいの林檎たち」の高橋ひとみ、グラビアアイドルから数々のドラマへとステップアップを続ける原幹恵、ミュージカル「テニスの王子様」で人気を博した鎌苅健太、元クレイジーキャッツの犬塚弘、元ザ・タイガースの森本タロー、格闘家であり不良牧師としてカリスマ的な人気のアーサー・ホーランドなど、いずれも映画・演劇・テレビ・音楽・スポーツほかの各界で異彩を放つ顔ぶれ。まさにこだわりのキャスティングとなった。森本がザ・タイガース時代を彷彿とさせるミュージシャン役でエンディングに主題歌を歌い、音楽を担当しているのも聞き逃せない。

ストーリー







 ひとりの青年が、携帯電話に夢中になって、行商のおばさんにケガを負わせた女子高生を咎めにいき、警察につかまってしまう。そのとき一部始終を見ていて青年をかばった男がいた。それが鈴木社長(古今亭志ん弥)と柚木(原西忠佑)との出会いだった。
 数年後——。
 事件が起きたのはビートルズ・バー「リボルバー」のオープニング・パーティの日だった。沢田(森本タロー)率いる「スーパースター」のメンバーによるライブが最高潮に達したころ、バーのオーナーである芸能プロ“サッカ・コーポレーション”の鈴木社長に代わり、専務取締役の佐藤(島田順司)があいさつに立つ。お披露目するのはこの日のために鈴木社長が集めた、ザ・ビートルズのオリジナルLP全14枚で、その希少価値から高価なコレクターズ・アイテムとなっている「ブッチャー・カバー」と呼ばれるアルバムも入っていた。ステージ上にはその14枚がズラリと並んでいる……はずだった。しかもよりによって「ブッチャー・カバー」がない! 騒然となる招待客のなかから、その「ブッチャー・カバー」のLPを佐藤に差し出す柚木がいた。柚木は「俺は盗んでねえよ!」と捨てゼリフを吐くが、ただでさえ貴重でケタ外れに高価なアルバムがその場に2枚もあるはずがない。柚木はいわば“現行犯”として、事件の犯人にされる。鈴木社長はショックのあまり発作を起こして倒れてしまう。
一年後——。
いつものようになじみの常連客が顔を揃える「リボルバー」だが、その日はいつもとどこか違っていた。マスターの久保(中西良太)が書いた推理小説「苦い蜜」が“ミステリー大賞新人賞”候補となり、今夜その審査結果が発表されるのだ。編集長の上田(池上季実子)とその部下の堺(住吉晃典)は久保の受賞を信じて疑わない。「リボルバー」の元従業員である高木(高橋ひとみ)もそれを楽しみに待っているし、高木と入れ替わりで店の看板娘となったいずみ(原幹恵)もウキウキとした気分でいる。オープニングでバンドを率いて演奏した沢田、沢田と仲良しで推理小説ファンの植木(葉月パル)も、にぎやかし気分マンマンの様子。“目玉オヤジ”とあだ名される謎の老人(犬塚弘)も、店の片隅でみんなの様子を横目に見ながらちびりちびりと酒を飲んでいる。
少し遅れてやってきたのは、元テレビ局の大物プロデューサーである和田(田中健)だった。続いて、いまや芸能プロダクションの社長となった佐藤がマネージャーの滝川(渋谷琴乃)を連れて訪れる。売り出し中の所属タレント加納(鎌苅健太)を和田に売り込み、なんとかブレークのきっかけをつかもうとする“和田詣で”のためだった。こうして「リボルバー」には、それぞれの思惑を抱えた年齢も職業もバラバラな男女12人が集まった。
そこへ久保の友人であるNY帰りの前田(アーサー・ホーランド)に連れられて、見知らぬ男が姿を現す。三影(金子昇)と名乗る男の職業は探偵。彼は、鈴木社長のコレクションを盗んで自殺したと噂される柚木の友達で、一年前の事件の真相を探ろうとしていた。「柚木はコレクションを盗んではいないし、自殺もしていません」——確信を持って発言する三影に、その場に居合わせたメンバーは戸惑いを隠せない。なぜ一年も前の事件の真相をいまさら探ろうとするのか? 現行犯だった柚木が盗んでいないという、その根拠はなにか? 自殺したはずの柚木の死の真相は? 居合わせたメンバーは謎めいた男の登場に戸惑いながらも推理小説を読むように謎解きを楽しみ、しだいに夢中になっていく。
鈴木社長のザ・ビートルズのLPコレクションの一枚一枚には、それぞれを贈るはずの相手に向けた手紙が添えられていた。事件の鍵を握る“十三通目の手紙”の行方は? そこに書かれていたのは、どんな文章だったのか? LPと一緒に盗まれたというパーティ準備金300万円の行方は? 病床の鈴木社長が口にしていたという「パラソル・チョコレート…」という言葉の意味は?   
つぎつぎに三影が突きつける疑問によって、二転三転する犯人捜し。居合わせた14人の間には一緒に事件の推理をすることで、知らず知らず仲間意識のようなものが生まれ始めていく。だが、その過程で、ある者は精神的に追い詰められ、表の顔からは想像できなかった裏の顔を露わにするのだった。
迷走する推理劇は予想もつかない紆余曲折をたどるが……。

スタッフ

監督・脚本:亀田幸則

エグゼクティブプロデューサー:山川泰弘
プロデューサー:岡野敏子/村上八千代
ラインプロデューサー:小高勲

撮影:伊東伸久
照明:守利賢一
録音:沼田和夫
美術;藤原慎二
スタイリスト:鈴木智子
ヘアメイク:吉森香織
編集:張本征治、邉見和子
助監督:足立内仁章

音楽プロデューサー:森本タロー
主題歌:森本タローとスーパースター「深愛」

企画・制作:株式会社渡邊油化/株式会社和作美
宣伝協力:株式会社オスカープロモーション
製作:『苦い蜜』製作委員会
配給・宣伝:アステア

キャスト

三影(探偵):金子昇
出版社編集長・上田:池上季実子
元テレビ局プロデューサー・和田:田中健
“リボルバー”マスター・久保:中西良太
“リボルバー”元従業員・高木:高橋ひとみ
芸能プロ社長・佐藤:島田順司
目玉オヤジと呼ばれる老人:犬塚弘

芸能プロマネージャー・滝川:渋谷琴乃
“リボルバー”従業員・いずみ:原幹恵
新人アーティスト・加納:鎌苅健太
“リボルバー”常連客・沢田:森本タロー
“リボルバー”常連客:植木:葉月パル
マスターの友人・前田:アーサー・ホーランド
上田の部下・堺:住吉晃典

芸能プロ前社長・鈴木:古今亭志ん弥
鈴木の部下・柚木:原西忠佑
パーティーの司会者・みずほ:阪田瑞穂

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