原題:Shadows of the Night

80年代のアングラ劇団で活躍した二人の役者 『新宿梁山泊』の孤高のヒーロー 岡島博徳 『風の旅団』のファナティックな悪役 田中冬星 世界を舞台に国際合作映画、写真集などで不思議な魅力を発揮してきた星乃 舞 3人の異色俳優が絡み合う迷宮トライアングル!!!

2009/日本/77分/16:9 製作・配給:銀影社 宣伝・配給協力:S.I.G.

2009年11月7日よりアップリンクXにてレイト&イブニングロードショー決定!

公開初日 2009/11/07

配給会社名 1107

解説


Can you say this world is beautiful?

映画「夜の影」(Shadows of the Night)は《絶望の個人史》を描いたものである。

そして私は絶えず、苛立ちを抑えきれずに困惑している。
作家ジョージ・マクドナルドは小説「リリス」の中で、“カラス”にこう言わせている。
「残念ながら人間はね、自分で決めただけの自由しか無いんだよ!」
そう、残念ながら、人間の殆どは「呪縛」に捕われている。人種・国籍・宗教・病気・奇形・組織……自分“達”と誤認している「形」と少しでも異なる者を、排除する事でしか、自分の優位性を保てなくなってしまった様な気がする。
下らない。全く。「個」の存在そのものが、あらゆる「集団」の中で揺らいでいる。

人間は皆、己れの「意思」で決めてしまった「領域」から、一歩も踏み出す事は出来ないのだろうか?
呪縛に支配された己自身を映す鏡は、もはや現代社会には存在し得ないのだろうか?
本当に?
「人は、他人の中でしか息が出来ない」
原爆開発者の一人、ロバート・オッペンハイマーが、人生の後半で残した言葉である。

個が社会の果てで(片隅ではない。いつだって「果て」なのだ)這い廻っている。
皆が逃げ続けているのだ。一体、何から? 何故?
夫々が絶望しつつも、もがき、のたうち、求め、彷徨っている。死ぬ迄は。
我等は、一片の破片に過ぎぬかも知れない。
けれど、破片は寄り添おうとするものだ。
出会いを契機に「物語」が始まってしまえば、誰もが期待に胸弾ませながら夢を見る。
その物語の結末が、例え、何処に辿り着こうとも。

世界は滅びる運命にある。だから呆れる程の「悲鳴」が、我等の耳に届くのだ。
それでも、私は信じたい。人間の意志の力を。宇宙の未来を。

もしかしたら世界は、ただ美しいだけかも知れない。
 田中冬星

ストーリー



街の麻薬を取り仕切るボス(岡島 博徳)にコカインの売買を強要されながら、希望の無い日々を送るマリア(星乃 舞)。彼女の唯一の慰めは、風を黒髪に受けながら自然の中を歩き回る事と、町外れに建つ小さな教会で祈り続ける事だった。
 そんな憂鬱な日常の脇で、組織の車が襲撃され、現金が奪われる。運び屋の男女は殺された挙句、車ごと燃やされたのだ。
 翌日、教会からの帰り道、マリアは廃墟に血塗れで横たわる痩せた男(田中 冬星)を見付けた。
マリアのボスが、かつてベルリンで痩せた男を殺し損ねたと言う事実も知らず、自分の隠れ家に連れ帰り男を優しく介抱するマリア。
彼女の夢魔は、勝手に暴走を始めるのであった…

スタッフ

監督・製作:田中冬星
脚本:田中冬星、鈴木章浩、中村慶子
撮影:辻智彦
編集:北野雄二、田中冬星
音楽:北野雄二
照明:宮下昇
録音:山崎大輔
メイク:森美沙子
スチール:中野愛子

キャスト

星乃 舞 
岡島 博徳
田中 冬星

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