2007年/イギリス映画/シネマ・スコープサイズ/上映時間2時間 配給:ヘキサゴン・ピクチャーズ

2009年10月31(土)より TOHOシネマズ シャンテにてロードショー(全国順次公開)

(C)2006 Becoming Jane Films Limited, Scion Films Premier (Third) Limited Partnership and UK Film Council All Rights Reserved

公開初日 2009/10/31

配給会社名 0871

解説



映画『ジェイン・オースティン 秘められた恋』の誕生

 
2003年、伝記作家のジョン・スペンスは、世界中のジェイン・オースティン・ファンを驚かせた。一生独身を貫いたジェインが、激しい恋を経験していたと発表したのだ。一般的な伝記では言及されていない恋だが、スペンスは独自の調査を続け、手に入れた証拠をもとに新たな視点から、伝記「Becoming Jane Austen」を書いた。これまでの伝記ではジェインは、クリスマス休暇でハンプシャーを訪れたトム・レフロイに1795年に出会ったが、それ以降、二人は一度も会っていない、と言うのが定説だった。だがスペンスは、その説を覆した。さらに、「二人の関係は非常にシリアスで、以前の伝記作家達が描いたような、短い、火遊びのような恋ではなかった」とも書いている。
 

スペンスの伝記を読み、直ちにジェインとトムのロマンチックな出会いに魅了された脚本家のサラ・ウィリアムズは、エコッス・フィルムズのダグラス・レアとロバート・バーンスタインにアプローチをした。二人の反応は、素早かった。「一般的にはほとんど知られていないが、若き日のジェインにとってトムとの恋愛は、その後の彼女の人生に大きな影響をあたえたほど非常に重要な事実である」と、バーンスタインは言う。「トムとの恋を経験したことで、ジェインが最も偉大な女性作家の一人となったのではと思って、是非、映画にしたいと企画したんだ」 
 

歴史考証コンサルタントとして映画製作に参加することになったスペンスは、豊かな知識と、刑事のような捜査活動から得た事実をフルに活用した。「僕の役割は、映画と言うフィクション物語の中で使われる歴史的素材の精度を、物語の制約がある中で、出来るだけ高めることだった」
 

スペンスは、次の3点が事実であったという。

1) ジェイン・オースティンとトム・レフロイは、トムがハンプシャーに住む叔父と叔母を1795年のクリスマスに訪ねた時、出会っている。当時トムとジェインはともに二十歳だった。 

2) ジェインは短期間ながら、1796年8月にロンドンを訪れ、当時トム自身も暮らしていた、トムの叔父の家に滞在した。

3) トムは、法律家として働くために1798年末にアイルランドに戻り、学友の妹と結婚し、その後、娘の名前をジェインと命名した。
 
ウィリアムズがいくつかの草案を書いた後、プロデューサーたちは2004年、豊かな詩的資質に恵まれ、ロマンチックな感受性を描けることで知られるケヴィン・ウッドを脚本家として、新たに雇い入れた。「ジェインがイギリス文学界の中でもトップを争う天才であり、トム・レフロイとの関係が、彼女の作品形成に決定的な影響を与えたことは確かだ。彼女は、結婚前の女性を主人公に、繰り返し、魅力的だが頼りにならない青年を描いている。それが実体験に基づくものであるのは、大きな発見だ」とウッドは言う。

ジュリアン・ジャロルド監督の参加

2005年、ジュリアン・ジャロルドが監督として雇われ、『キンキーブーツ』を完成させた後、ジャロルドは本格的に、このプロジェクトに取り掛かった。彼はジェイン・オースティンの全作品を読み直し、多くの伝記を参考にしたが、一番基本となったのはもちろん、ウッドの脚本だった。
 
「ケヴィンの脚本はウィットと知恵に富んでおり、ラブ・ストーリーが中心だが、トムが初めて登場する冒頭のシーンなど、これまでのオースティン映画には描かれていない出来事が多く登場していて、僕には、それも魅力だった」とジャロルドは言う。「お固い中年の未婚の女性という、美術館から借りてきたようなこれまでのジェインのイメージとは異なる、リアルなジェイン像を描きたかった」
 
その後『ジェイン・オースティン 秘められた恋』は、アイルランドのウィクロウ、ダブリン、ミースで、2006年の3月から5月の三ヶ月間、ロケーション撮影が行われ完成した。

ストーリー


ジェイン・オースティン(アン・ハサウェイ)は、言葉を巧みに操り、知的であり、ウィットに富んだ物語で、世界に輝きをもたらした作家として知られている。その彼女の人生に、情熱とロマンスが訪れていた。20歳のときにトム・レフロイ(ジェームズ・マカヴォイ)と出会い、ジェインは恋に落ちる。二人の間には、ジェインが描く物語以上にリアルでロマンチックな関係が築き上げられていた。

1795年当時のイギリス社会では、愛のための結婚は、愚か者がすることだった。階級を尊重する世界を回転させているのは、金だった。オースティン夫妻(ジェームズ・クロムウェル、ジュリー・ウォルターズ)たちも、二人の娘の結婚について、経済的な問題ばかりを気にしていた。だが、下の娘のジェインは、違っていた。独立心に恵まれた、元気ハツラツ20歳のジェインは世の中の、階級や資産を超えたところに価値があると考えていた。ジェインは、愛のために結婚するつもりだった。
 
両親は、財産があり家柄も良い夫こそが、ジェインに最も相応しいと考えた。そこで、白羽の矢を立てた相手が、ウィズリー氏である。彼は、まわりに強い畏敬の念を抱かせるほど裕福な地元の名士である、レディ・グレシャム(マギー・スミス)の甥だった。両親の必死の努力にもかかわらず、ジェインはウィズリー氏との結婚に同意しない。
 
そんな中、ジェインは若いアイルランド人のトム・レフロイに出会う。彼はロンドンで法律を学ぶ法学生で、ジェインの兄ヘンリーに伴われ、彼女が暮らすハンプシャーにやって来た。トムは、ハンサムで知的だが貧しかった。さらにトムは、洗練されていない地方の人々を蔑視していた。だが、その思いもジェインに出会って覆される。彼女は、トムが想像していた以上に優れた才能に恵まれ、恐ろしいまでに強い独立心を持っていた。
 
狭いハンプシャーの村の中で二人は、さまざまな場所で顔を合わせるようになる。二人は、森の中で言葉の刃をぶつけ合い、舞踏会で共に踊り、クリケットの試合では、ジェインがトムの鼻をくじき、トムはジェインに「トム・ジョーンズ」を読むようにと、本を手渡す。そんな二人が恋に落ちるは、自然の成り行きだった。
 
だが、誰もがそんな二人をじっと見ていた。ジェインの従兄弟のエリザや姉のカサンドラ(アンナ・マクセラ・マーティン)は、二人が親密に接し過ぎだとジェインに忠
告する。レディ・グレシャムは、ジェインに冷たい視線を向け、ウィズリー氏はジェインの周りを、ただおろおろと動き回ることしかできなかった。トムの叔父のラングロイス判事(イアン・リチャードソン)は、甥のトムの未来と才能に、個人的に、財政面での援助をしている。判事は自分の援助を無駄にするつもりはなく、オースティン夫妻も、愛する娘を判事になんとか売り込もうとするが、報われることはなかった。
 
こうしてジェインとトムは、心を決めなければならない状況に追い込まれていく。トムは、駆け落ちをしようとジェインに持ちかけるが、その結果が、大きな不幸を招くのは誰の目にも明らかだった。ジェインの家族は貧しいため、駆け落ちすればジェインが困窮して、家族の恥となる危険は大きかった。一方、アイルランドに住むトムの家族も、経済的にも、自分たちの将来すら、彼に頼り切っていた。二人で逃げたならば、何もかもを失うことになる。家族も、友人も、そして運命も。二人は、当時の社会の分別と感性をすべて傷つけてまでも、二人だけの一歩を踏み出せるのだろうか?

スタッフ

キャスティング・ディレクター:ゲイル・スティーブンスCDG
ヘア&メイクアップ・デザイナー:ヴェロニカ・ブレブナー、
衣装デザイナー:イマー・ニー・ヴァルドウニグ
音楽:エイドリアン・ジョンストン
編集:エマ・E.ヒコックスACE
プロダクション・デザイナー:イブ・スチュワート
撮影監督:アイジル・ブリルド
製作補:ジェームズ・フリン モーガン・オースリヴァン ジェームズ・セイナー
エグゼクティブ・プロデューサー:ニコル・フィナン ジェフ・アベリー ジュリア・ブラックマン ティム・ハスラム
脚本:サラ・ウィリアムズ ケビン・フッド
プロデューサー:グラハム・ブロードベント ロバート・バーンスタイン ダグラス・レイ
監督:ジュリアン・ジャロルド

キャスト

アン・ハサウェイ
ジェームズ・マカヴォイ
ジュリー・ウォルターズ
ジェームズ・クロムウェル
マギー・スミス
ロウレンス・フォックス
アンナ・マックスウェル・マーティン

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