太宰の名作、遂に映画化。何故、彼女は放蕩夫を愛し続けたのか—? 男女の本質を描く、大人のラブストーリー!

2009年/日本/カラー/??分/ 配給:東宝

2009年10月10日公開 全国東宝系ロードショー

(C)2009 フジテレビジョン パパドゥ 新潮社 日本映画衛星放送

公開初日 2009/10/10

配給会社名 0001

解説


何故、彼女は放蕩夫を愛し続けたのか─?
今までになかった、男女の本質を描く、深みある大人のラブストーリーの誕生!
酒飲みで多額の借金をし浮気を繰り返すなど放蕩の限りを尽くすが、小説家として秀でた才能と何故か憎めない魅力を持つ男・大谷と、そんな夫・大谷に翻弄されながらも明るくしなやかに生きていく妻・佐知の愛の物語。
舞台は戦後の混乱期。日本の行く末が楽観できない状況の中、男たちは急激な価値観の変化、道徳の崩壊に上手く対応できずに戸惑いました。一方、女たちは混乱の中でも、前を向いてたくましく生きようとしました。現代の日本女性は、社会での居場所を確立し、自分の力で物事を切り開いていく強さを獲得しました。しかし、それと引き換えに、昭和20年代の女性が持っていた〈あるがままの状況を受け入れる“しなやかさ”〉を失ってしまったのではないでしょうか。夫のために様々な苦難に襲われる佐知は、周囲からは不幸に見えるかもしれません。しかし、彼女は決して悲観しません。大谷の弱さ、優しさ、そして一筋の誠実さを理解して、彼に寄り添い、彼を大きく包み込んでいきます。そんな佐知の姿は、今の日本女性の目に新鮮に、清々しく映ることでしょう。 男女がそれぞれ持ち合わせている本質〈男の繊細さ〉〈女のしなやかさ〉を描く『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』は、酸いも甘いもすべてひっくるめた極上の大人のラブストーリーなのです。
何故、佐知は放蕩夫・大谷を愛し続けたのか─? 映画を観終わった後、その答えがわかるでしょう。そして、佐知と大谷が本当の夫婦になっていく姿に爽やかな感動を覚えることでしょう。

松たか子&浅野忠信×監督・根岸吉太郎×脚本・田中陽造
日本映画界最高峰のスタッフ・キャストが集結!!

主人公・佐知に、「ラブジェネレーション」「HERO」など高視聴率ドラマ、そして『隠し剣 鬼の爪』『THE 有頂天ホテル』『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』『HERO』など話題の映画に出演し、舞台でも存在感のある演技を見せつけ、多彩な輝きを放ち続ける女優・松たか子。自由奔放な小説家の夫に振り回されながらも、懸命に生きる妻を明るく演じます。満を持しての長編映画初主演。スクリーン初の妻役で新境地を見せてくれることでしょう。夫・大谷役に、日本映画界を牽引し続け、アカデミー外国語映画賞にノミネートされた『モンゴル』に主演するなど国際的に活躍する浅野忠信。無頼で放蕩、まさに太宰を彷彿させる大谷を繊細かつ大胆に演じます。さらに、室井滋、伊武雅刀、広末涼子、妻夫木聡、堤真一ら豪華実力派俳優が顔を揃えました。脚本は、『ツィゴイネルワイゼン』『セーラー服と機関銃』の田中陽造。太宰治の傑作短編小説「ヴィヨンの妻」を題材に、松たか子をイメージして、5年の構想をかけて書き下ろしました。台本を読んだ松は、「『ヴィヨンの妻』の世界は日本人として避けられないような気がしています」と、自身の代表作にすべく静かに燃えています。監督は、『遠雷』『絆‐きずな‐』『雪に願うこと』『サイドカーに犬』など国内外で高い評価を得ている根岸吉太郎。原作が持つ魅力を最大限に引き出すことに長けている、日本映画界を代表する監督です。さらに『スワロウテイル』『キル・ビル Vol.1』『冷静と情熱のあいだ』『ザ・マジックアワー』の種田陽平が美術を、『隠し剣 鬼の爪』『武士の一分』『シルク』の黒澤和子が衣裳を担当します。
日本映画界最高峰のキャスト・スタッフが集結して、静謐で美しく贅沢な映画を作り上げていきます。

2009年は太宰生誕100年の太宰YEAR!
時代が変わっても人々を惹きつける太宰文学。 閉塞感のある今だからこそ、
前向きな女性を描く傑作短編小説「ヴィヨンの妻」を映像化する!!

数々の名作が今も人々に愛され続け、2009年に生誕100年を迎える太宰治(1909〜1948)。本好きの人ならば、一度は太宰の本を手にしたことがあるはずです。そうでなくても「走れメロス」などの作品を教科書で読んだという人を含めれば、大多数の日本人が太宰治の文学に親しんでいると言えるでしょう。「人間失格」は新潮文庫だけで累計600万部を売上げるロングセラー作品です。何故、太宰がこれだけ愛されるのでしょうか? それは、どの時代の人も、太宰が描く“人間”の苦悩に共感し、魂を揺さぶられるからなのでしょう。退廃的でデカダンなイメージの一方、太宰文学の特徴として挙げられるのが、〈細やかな女性の心理描写〉や〈皮肉とユーモアに溢れた表現〉です。ひときわその才能を感じられるのが、「ヴィヨンの妻」です(「ヴィヨン」とは高い学識を持ちながら悪事に加わり、逃亡・入獄・放浪の生活を送ったフランスの中世末期の近代詩の先駆者フランソワ・ヴィヨンのこと)。太宰の弟子・小山潔は「私はこの作品を読むたびに、いつもホッとして、重荷が下りたような気持ちになる。そして生きて行く勇気を与えられる」と評しています。混沌の中にあっても、明るくたくましい主人公の女性の姿は、読む人に爽快感を与えます。閉塞感のある今だからこそ、太宰の傑作短編小説「ヴィヨンの妻」が人々に“生きる希望”を与えることができるのではないでしょうか。
脚本の田中陽造は、この「ヴィヨンの妻」をベースに、「思ひ出」「灯篭」「姥捨」「きりぎりす」「桜桃」「二十世紀旗手」など他の太宰作品のエッセンスを取り込み、さらにオリジナリティーを加えて、映画『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』の台本を完成させました。本作では、大谷と佐知を太宰作品に関連するワード、〈桜桃〉と〈タンポポ〉になぞらえています。〈桜桃〉は短編の1つのタイトル。〈タンポポ〉は短編「二十世紀旗手」の一節にある「タンポポの花一輪の信頼が欲しくて、チサの葉いちまいのなぐさめが欲しくて、一生を棒に振った。」からの引用。痛みやすいけれど甘みがあって愛される〈桜桃〉が大谷、どんな環境にも対応して成長し、誠実な美しさを持った〈タンポポ〉が佐知です。
太宰生誕100年の記念の年に、唯一無二の太宰映画が誕生します。

ストーリー

戦後、混乱期の東京—。
ある夜、酒代を踏み倒した上に、その飲み屋から五千円という大金を盗んで逃げ出した放蕩者の小説家・大谷(浅野忠信)を追いかけて、飲み屋夫婦の吉蔵(伊武雅刀)と巳代(室井滋)が大谷の自宅までやってきた。夫・大谷と飲み屋夫婦の言い争いに、妻の佐知(松たか子)が割って入った瞬間、大谷はその場から逃げ出してしまう。

翌朝、佐知はなんとか警察沙汰だけは許してもらおうと、吉蔵と巳代が営む飲み屋・椿屋へ出向く。そこで、思いがけず「お金は私が綺麗におかえし出来そうですの」と明るく言い切ってしまう。窮地にあっても不思議な生命力を発する佐知。夫が踏み倒した過去の酒代の肩代わりに、佐知はその日から椿屋で働くことになる。水を得た魚のように、生き生きと働く佐知。佐知の美しさ、明るさに惹かれて、椿屋はお客でいっぱいになる。お客からチップをもらった佐知は、自分に魅力があると気付き、あっけらかんと「私、お金になるんですね」と言い放つ。外の世界に出て、佐知はどんどん輝きを増していった。

大谷は、お酒を飲み歩き、借金を作り、浮気を繰り返し、たまに家に帰ってくると、何かに追いかけられているようにわめき、佐知に救いを求める。そして魂が抜けたようにふらりと出て行くのであった。小説家の仕事はしているが、家にお金を入れることはほとんどなかった。

家ではあまり会うことのなかった夫と、椿屋では会うことができるようになった佐知。佐知は、そのことがとても嬉しく、幸せだった。佐知がそのことを大谷に話すと、大谷は「女には、幸福も不幸もないものです。男には、不幸だけがあるんです。」と返すのだった。

椿屋で働く佐知の前に、佐知に対して好意を持つ真面目な工員・岡田(妻夫木聡)や、かつて佐知が思いを寄せていた弁護士・辻(堤真一)が現れる。佐知の心は揺れる—。
そんな佐知の気持ちを知ってか知らずか、大谷が親しくしていたバーの女・秋子(広末涼子)と姿を消してしまう……。

何故、佐知はどんな状況でも、明るく振舞うことができるのか—?
何故、佐知は放蕩夫の大谷を許し、一筋に愛し続けるのか—?

スタッフ

原作:太宰治「ヴィヨンの妻」
監督:根岸吉太郎
脚本:田中陽造
製作:亀山千広 山田美千代 田島一昌 杉田成道
エグゼクティブプロデューサー:石原隆 直井里美 酒井彰
プロデューサー:前田久閑 木幡久美 菊地美世志
アソシエイトプロデューサー:稲葉直人

撮影:柴主高秀
照明:長田達也
録音:柿澤潔
美術監督:種田陽平
美術:矢内京子
編集:川島章正
音楽:吉松隆
スクリプター:岩倉みほ子
衣裳デザイン:黒澤和子
衣裳:古藤博
ヘアメイク:倉田明美
装飾:鈴村正
フードスタイリスト:飯島奈美
助監督:橋正弥
製作担当:岩下真司 斎藤健志
ラインプロデューサー:宮崎慎也

製作:フジテレビジョン パパドゥ 新潮社 日本映画衛星放送
制作プロダクション:フィルムメイカーズ
配給:東宝

キャスト

松たか子
浅野忠信
室井滋
伊武雅刀
光石研
山本未來
鈴木卓爾
小林麻子
信太昌之
新井浩文
広末涼子
妻夫木聡
堤真一

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