艦内に残された酸素は1時間。彼らは、最後の作戦に出た。

2009年/シネスコ/ドルビーデジタル/119分 配給:東宝

2010年03月21日よりDVDリリース 2009年6月13日(土)全国東宝系ロードショー

(C)2009「真夏のオリオン」フィルムパートナーズ

公開初日 2009/06/13

配給会社名 0001

解説


原作は、池上 司の「雷撃深度一九・五」(文春文庫刊)。第二次世界大戦中の海上を舞台に、米海軍駆逐艦と日本海軍潜水艦という互いに顔を合わすことのない状況の中、ファイトマン・シップで戦い抜こうとする男たちの姿を、熱くスリリングに描いた戦争サスペンスです。この物語をベースに、今や国民的人気作家となった福井晴敏が脚色として初参加、新たな人間ドラマとスペクタクルなアクションシーンを書き下ろして、大胆にして緻密な再構築を果たしています。「64年前の楽譜が時を越えて、人々の心を繋ぐ」という、福井によるオリジナル・アイデアが盛り込まれたことで、映画の持つスケール感はさらに広がり、かつて誰も見たことがない、そして誰もが見たくなる壮大なアクション・ロマンへと生まれ変わりました。監督は、『地下鉄(メトロ)に乗って』『山桜』『深呼吸の必要』など、優れた人間ドラマの演出に定評のある篠原哲雄。緊迫感溢れるドラマを引き立てるサウンドトラックは、日本のみならず各国で注目を集めるコンポーザー・岩代太郎が手掛けます。撮影にあたり、東宝スタジオ内に「イ−77潜水艦」の巨大セットを建造しました。また、海外ロケによる戦闘シーンでは、日本映画初となる破格の協力態勢を得て実際にアメリカ海軍が使用していた駆逐艦での撮影を敢行、本物にしか生み出すことが出来ない迫力ある映像を創り出していきます。

本作の熱い想いをフイルムに結実すべく、キャスト陣にも最高に理想的な顔ぶれが集結しました。主人公イ−77潜水艦・艦長、倉本には人気実力とも若手ナンバーワン俳優の玉木 宏。倉本の無二の親友で、僚艦イ−81潜艦長・有沢を、トップ・アーティストとして活躍するケミストリーの堂珍嘉邦が俳優としてスクリーンに初登場します。また、益岡 徹、吉田栄作、吹越 満、平岡祐太、鈴木 拓(ドランクドラゴン)らが倉本を支える個性溢れる幹部潜乗員を演じ、さらに、黄川田将也、三浦 悠、森 廉、奥村知史、太賀ら注目の若手俳優らが勢揃いするなど、既存の戦争映画のイメージを一新する鮮烈でエネルギッシュな演技を披露することとなります。

いままで日本で製作されてきた「戦争映画」は、死に向かう兵士たちの姿を、どこかヒロイックに描いてきたように思われます。命を賭して愛する者を守る姿には、確かに感動的なものがあります。しかし、映画『真夏のオリオン』は、戦火に散った命に敬意を捧げながらもそれを美化するのではなく、死と直面してもなお「生きようとする」若者たちの信念と強い意志こそを描いていくのです。愛する者たちの想いを胸に、「決して諦めず、生き抜こうとする」主人公たちの姿を通して、過酷な現実に立ち向かう人間の強さと勇気、そして生きてゆく喜びと誇りを伝えると共に、「戦争」という過ちの歴史を見つめ直し、人種、階級を越えた人間同士の絆を問うことこそが、本作がなによりも訴えたいテーマです。

第二次世界大戦下の紺碧の海で繰り広げられる、潜水艦と駆逐艦のスリリングな攻防。そして過酷な戦況で、生きるための選択を強いられていく男たちの迫真のドラマ。そのすべてを包み込むかのように、美しい旋律(メロディ)が人々の哀しみや憎しみを浄化していきます。『真夏のオリオン』は、人が人を愛することの強さと美しさと重さを、時代を超えて語り継ぐ壮大なロマンなのです。
観るものの胸を躍動させる、最高のエンタテインメントが誕生します。
どうぞ、ご期待ください!

ストーリー





現代— 雨の降る海辺の町。
倉本いずみは今、ひとりの人物を訪ねようとしていた。彼女の手には、英文で書かれた手紙が携えられている。アメリカから届いたその手紙は、こうはじまっている。
『あの夏、私の祖父が何を失い、何を手にしたのか—。それを知りたくて、こうして手紙を書いています』
差出人の祖父は、かつてアメリカ海軍で駆逐艦の艦長として日本と戦い、輝かしい戦歴を誇った。にもかかわらず、終戦後は一度としてあの戦争の思い出を語ったこともなく、当時の品も一切手元に残さなかったという。しかし、その祖父の遺品の中に、ただひとつ大切に保管されていたもの。それが手紙に同封されていた楽譜であった。古びた手書きの楽譜には、いずみの祖母・有沢志津子のサインがあった。
いずみは過去を紐解くために、かつて日本海軍で潜水艦長を務めた祖父を知るただひとりの存命者・鈴木を訪ねてきたのだ。海が一望出来る展望台で鈴木老人と対面した彼女は、こう問いかける。
「日本とアメリカは戦争をしていた……それって殺し合っていたってことですよね? なのに、どうしてこの楽譜が戦っていた相手の手に渡ったのか、なぜ60年以上も大事にしまわれてきたのか……」
「難しいことは何もない」そう言ってから鈴木老人は、いずみの疑問に答えるかのように遠い昔の記憶を語りはじめた。
「私たちはみんな一生懸命だった。ただ、それだけです。でも、あの夏、倉本艦長と共にした二週間を、私は忘れたことはありません」
いずみの眼下に広がる雨の向こうの海に、64年前の夏。1945年8月の紺碧の海原が広がり始めた —

第2次世界大戦末期、沖縄南東海域—豊後水道沖。
日本海軍は、米海軍の燃料補給路を叩くためイ—77をはじめとする潜水艦を配備していた。日本の戦局は日に日に悪化を辿り、米軍の本土上陸が近い今、この作戦は最後の防衛ラインともいえた。
イ—77の艦長・倉本孝行(玉木 宏)は、同作戦に参加するイ—81の艦長・有沢義彦(堂珍嘉邦)とは海軍兵学校からの親友であり、その妹・志津子とも互いに想いを寄せ合う仲であった。いつ戻るとも知れぬ作戦への出航前、志津子は倉本に手書きの楽譜を手渡した。イタリア語で『真夏のオリオン』と題されたその曲は、志津子が作ったもので、そこには倉本に宛てたメッセージが書き添えられていた。
『 — オリオンよ、愛する人を導け』
この季節、海上からオリオンが見えるのは夜明けのほんのわずかな時間だけ。真夏に輝けば、それはこの上ない吉兆だと、船乗りの間では語り継がれている。志津子は倉本への想いをそのオリオンの輝きに託したのであった。
倉本たちが迎え撃つのは、米海軍駆逐艦パーシバル。艦長のマイク・スチュワートは、米海軍きっての歴戦の勇士であり、日本軍の人間魚雷「回天」の攻撃で弟を失くしたことで、さらなる闘志を漲らせていた。
スチュワート艦長は、大胆かつ周到な知略で日本側の二重三重の防衛ラインを切り開き、ついに倉本たちの前衛に配備された有沢の潜水艦イ—81と対峙した。
日本海軍きっての潜水艦艦長として数々の駆逐艦を沈めてきた有沢もまた、スチュワート艦長の裏をかく戦術で応戦するが、スチュワート艦長の奇策の前に防衛ラインを突破されてしまう。
残された希望は、倉本たちイ—77の乗員たちに託された。
そして、イ—77と駆逐艦パーシバルは、互いの策敵範囲に相手の機影を捉えた。
おおらかな笑みを絶やさず、あたかもチェスの駒を進めるが如く一手一手冷静に相手の動きを読み、一転大胆な決断で敵の意表を突く倉本。対するは、豊富な戦歴をもとに一切の楽観と予断を排し、確実な勝利を手中に収めるまで執拗に、そして非常なまでの冷徹さで機雷を投下するパーシバル艦長。二人の艦長は、限られた本数の魚雷と機雷を武器として、持ち得る限りの知力と体力の限りを尽くして戦い続ける。
三昼夜にも及ぶ激戦の果てに劣勢に立たされたイ−77は甚大な損傷を受け、まさに万策尽きたと思われた。
イ—77に同乗していた人間魚雷「回天」の特攻隊員たちは、倉本に出撃を乞う。しかし倉本は、はやる特攻隊員を抑え説き伏せた。
「いいか、俺たちは死ぬために戦ってるんじゃない。生きるために戦ってるんだ。人間は、兵器じゃないんだ」
若き潜乗員たちの命を預かる倉本は、この戦局を切り抜けるために重大な決断を迫られる。志津子の想いが込められた『真夏のオリオン』の楽譜を胸に、倉本は起死回生の一手に賭けて最後の戦いに臨んでいく。

命を賭した戦いの中でも、生きる希望を決して失わないイ—77潜水艦艦長、倉本孝行。
水面下の敵を徹底的に追い詰める駆逐艦パーシバル艦長、マイク・スチュワート。
1945年8月— 互いが知力と体力の限りをつくした最後の戦いの熱い火蓋が切られた。
紺碧の海で繰り広げられた男たちの誇り高き戦いが、今、64年の時を越えて語り継がれていく。

スタッフ

原作:「雷撃深度一九・五」 池上司・著(文春文庫刊)
映画化原作:「真夏のオリオン」福井晴敏・監修 飯田健三郎・著(小学館文庫刊)
監督:篠原哲雄
脚本:長谷川康夫 飯田健三郎
NYユニット監督:岡田俊二
音楽:岩代太郎(サントラ盤・バップ)
主題歌:「願い星〜I wish upon a star〜」 いつか(エイベックス・イオ)

撮影:山本英夫
照明:小野 晃 
美術:金田克美 
装飾:尾関龍生 
編集:阿部亙英 
視覚効果:松本 肇 
録音監督:橋本文雄

製作統括:早河 洋 島谷能成 
製作:上松道夫 吉川和良 平井文宏 亀井 修 木下直哉 宮路敬久 水野文英 吉田 鏡 後藤尚雄 
企画:亀山慶二 小滝祥平 
エグゼクティブプロデューサー:梅澤道彦 市川 南 佐倉寛二郎 
プロデューサー:小久保 聡 山田兼司 芳川 透

製作:テレビ朝日 東宝 博報堂DYメディアパートナーズ バップ 小学館 木下工務店 デスティニー 日本出版販売 朝日放送 メ〜テレ 朝日新聞社
製作協力:北海道テレビ 青森朝日放送 東日本放送 福島放送 新潟テレビ21 北陸朝日放送 山口朝日放送 瀬戸内海放送 愛媛朝日テレビ 九州朝日放送 長崎文化放送 熊本朝日放送 大分朝日放送 鹿児島放送 琉球朝日放送
製作プロダクション:デスティニー + クロスメディア 
配給:東宝

キャスト

倉本孝行 : 玉木 宏
有沢義彦 : 堂珍嘉邦
坪田 誠 : 平岡祐太
     
中津 弘 : 吹越 満
     
桑田伸作 : 吉田栄作
     
田村俊雄 : 益岡 徹


黄川田将也
太賀
松尾光次
古秦むつとし
奥村知史
戸谷公人
三浦 悠
山田幸伸
伊藤ふみお
鈴木 拓(ドランクドラゴン)

鈴木瑞穂

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