忘れられてゆく茅葺き民家、その未来への願いとは!

2007年/カラー/DV&16㎜/90分 配給:ポレポレ東中野

2008年5月31日(土)〜 ポレポレ東中野にて東京地区劇場公開!

公開初日 2008/05/31

配給会社名 0381

解説


『土徳-焼跡地に生かされて』の監督、青原さとしが、故郷・広島に居を移し二年かけて仕上げた渾身のドキュメンタリー映画。
青原は、1988年から2002年までの14年間、民俗学者・宮本常一の流れを汲む民族文化映像研究所(所長・姫田忠義)に在籍し、古民家建築をめぐる映像記録作業に編集・演出助手として5作品関わっている。
世界遺産の白川郷の合掌造り、川崎日本民家園の移築工事の記録…。
そして同所独立後、新潟県松之山町(現・十日町市)の木羽(コバ)屋根技術を記録した
『雪国木羽屋根物語』(松之山教育委員会委嘱・2004年)も製作。
映画『藝州かやぶき紀行』は、青原がこれまで経てきた古民家建築の知見が集大成された作品であり、藝州かやぶき民家の技術、歴史、生活、自然、そしてそれをめぐって築かれた「出稼ぎ文化」を浮き彫りにした作品といってもいい。
自分の生まれ故郷であり、そこに生活してきたが故になしえたドキュメントの結晶である。

ストーリー



自然の草木だけを使い、人類が太古から暮らしてきた住まい、茅葺き民家。茅(カヤ)とは、ススキ、チガヤ、イネ、ムギなどイネ科植物、草屋根材料の総称を言う。
広島県東広島市の西中国茅葺き保存研究会・上田進さんが、広島県の山間地から瀬戸内海まで幅広い領域の茅葺き民家を案内する。
安芸高田市の茅葺き民家に暮らす100歳を越えるのおばあさんは、集落すべて茅葺きだった時代を懐かしみ、庄原市の小さな集落・鍛冶屋床の老夫婦は、夏は涼しく冬は暖かいと茅葺き民家の良さを語る。東広島市の大芝島のおばあさんは、船で茅屋根材料を運んだことをなつかしそうに語る。茅葺き民家は、どこか郷愁すら感じさせる。
かつては広島市内の都市周辺ですら軒をつらね、各集落には、茅葺き職人が多数いて、村人共同で屋根を守ってきた。また、明治時代後期から昭和30年代までに、広島の茅葺き職人が、関西、山口県、北九州などに大量に出稼ぎにいき「芸州屋根屋」という名を広め隆盛を極めたいわれている。
しかし近年、茅葺き民家は、急激に消滅の途をたどり、現在、県内には、人が実際に暮らす茅葺き民家はわずか二百棟、茅葺き職人は数人。農山漁村の人口激減と高齢化、宅地造成化、ダム開発による集団離村…。非情なまでの時代の流れによって、いまや風前の灯火となった。
映画では東広島市志和堀唯一の茅葺き職人・石井元春さんが行う茅刈り、茅ヘギ、茅葺き、ハサミ入れなど屋根葺き替え作業の全工程を主軸に、県内各地の職人や生活者の証言を綴り「芸州屋根葺き技術」の全体像をさぐる。後半、50年以上前に芸州屋根屋が出向いた出稼ぎ先・山口県、北九州、京都、滋賀県など広範囲に訪ねその実像に迫っていく。そこに浮かび上がってくる農村で育まれた人の営みの広大なひろがり。
忘れられてゆく茅葺き民家、その未来への願いとは!

スタッフ

構成:青原さとし
撮影:青原さとし
音楽:ゴトウイズミ
語り:青原さとし

キャスト

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