コッポラの胡蝶の夢
原題:YOUTH WITHOUT YOUTH
2007年/アメリカ・ドイツ・イタリア・フランス・ルーマニア/カラー/124分/ 配給:CKエンタテインメント
2009年03月27日よりDVDリリース 2008年8月30日、(渋谷Q-AXシネマ改め)、渋谷シアターTSUTAYAにてロードショー
(C)2007 American Zoetrope, Inc. All Rights Reserved
公開初日 2008/08/30
配給会社名 0028
解説
10年の沈黙を経て、巨匠フランシス・F・コッポラから届いた挑戦状
眠れる映画界の巨匠の創作意欲を目覚めさせたのは、現代ルーマニア文学の巨匠が残した一編の幻想奇譚だった——。
『ゴッドファーザー』3部作、『地獄の黙示録』と映画界に偉大な功績を残しながら、長年、映画の撮影現場から離れていたフランシス・フォード・コッポラ。当時、66歳にして欲求不満だったという彼は、ミルチャ・エリアーデが円熟期に著した「若さなき若さ(Youth Without Youth)」に出会い共感、すぐさま映画化を決意する。それが『レインメーカー』以来、10年ぶりとなる監督・脚本作『コッポラの胡蝶の夢』だ。人生の最終章に再生する魂を得た一人の男ドミニクの数奇な運命を通じて、観る者を摩訶不思議な世界へと誘う。
人生の最終章に再生する魂を得た一人の男が、ヨーロッパへと旅する幻想奇譚
物語の始まりは第二次世界大戦前夜のルーマニア。言語学者ドミニクは、人生の折り返し地点をとうに過ぎながらも、自身の研究を全う出来ないことに焦りを感じていた。頭に浮かぶのは、かつて愛した女性ラウラのことばかり。孤独な死を待つだけの日々に耐え切れず、自殺を決意した復活祭の夜、彼は落雷に直撃される。やがて奇跡的に一命をとりとめた彼の肉体と頭脳は驚異的に若返り、さらに超常的な知的能力を発揮。その謎をめぐって時代の黒い影が忍び寄る中、彼はラウラに生き写しの女性ヴェロニカに出会う……。
主演は、俳優を夢見る10代の頃からコッポラ監督との仕事を熱望していたという実力派ティム・ロス。26歳から101歳までのドミニクを、知性と孤独を湛えて熱演する。ドミニクの愛を一身に受けるヒロインに抜擢されたのは、ルーマニア出身のアレクサンドラ・マリア・ララ。『ヒトラー 〜最期の12日間〜』に続き『コントロール』でも強い印象を残し、2007年のヴァラエティ誌では「今年注目の欧州系俳優10人」にも選ばれたスター候補生だ。そのマリア・ララと『ヒトラー 〜最期の12日間〜』で共演したブルーノ・ガンツが脇を固めるほか、日本でも人気の高いマット・デイモンがカメオ出演している点も見逃せない。
巨匠コッポラのもとに集まった、国際色豊かな精鋭たち
パーソナルな映画づくりの原点に戻るべく、ハリウッドから遠く離れたルーマニアで84日間にわたって撮影された今作。コッポラは当地の才能を多く起用しているが、中でも撮影のミハイ・マライメア Jr.は期待に見事に応え、第23回インディペンデント・スピリット賞の撮影賞にノミネートされた。その他、音楽に『耳に残るは君の歌声』のオスバルド・ゴリホフ、ヘアメイクデザインに『アイム・ノット・ゼア』、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのピーター・ソード・キングなど、国際色豊かなスタッフが顔を揃えている。
ストーリー
1938年、戦雲が近づくルーマニア。復活祭の夜に、年老いた一人の男がブカレスト北駅に降り立つ。ピアトラネアムツから来た男の名は、ドミニク・マテイ。最愛の女性ラウラと別れてまで、すべてを捧げた研究も全うできない人生に絶望する言語学者だ。彼は自分のことを誰も知らない場所で、自殺するつもりでいた。ところが突然の雨による落雷に打たれ、目を覚ましたのは病院のベッドの上。即死同然の全身火傷を負いながら、彼は奇跡的に一命をとりとめたのだ。
主治医のスタンチュレスク教授が驚くほどの回復力を発揮し、10週間後にはすっかり健康を取り戻すドミニク。しかも30〜40代にしか見えないほどに肉体が若返っていた。巨大な電気エネルギーによる体組織の再生——それは同時にドミニクの知的能力を驚異的に増大させ、さらに新しい人格=“もう一人の自分”の出現を可能にしていた。ドミニクは教授にだけ真実を一部告白し、架空の身元を作ってもらおうと考える。保安部に目をつけられることを恐れたからだった。
庭に野バラの茂る別の病院に移った彼は、短期間にさまざまな言語をマスターしていく。今や彼の存在はヒトラーの強い関心の的となり、彼を誘惑する女性情報員まで現れる。ゲッベルスの側近であるルードルフ博士が、「百万ボルト以上の電流の感電によって、人は突然変異を起こす」との仮説を立てていたためだ。やがて偽名を手に入れたドミニクはゲシュタポの目を逃れ、スイスのジュネーブに亡命する。
祖国ルーマニアがドイツと同盟を結んだ翌年。ドミニクに対するゲシュタポの尾行は止んではいなかった。1942年、執筆活動をつづけながら、ときにカジノで生活資金を稼ぐ彼に、米政府の使者を名乗るライフ誌の特派員が接近。またある晩はパーティで、故スタンチュレスク教授について研究中だという、モンローと名乗る男に声を掛けられる。だが実は、彼こそがヒトラーに仕えたルードルフ博士だった。
終戦後のスイス山間部。ドミニクはかつて愛したラウラに生き写しの女性、ヴェロニカから頂上への道を尋ねられる。嵐が来そうだから危ないと警告したものの、友人のドライバーはそのまま車を走らせてゆく。その後、落雷を確認したドミニクがタクシーで捜しに出かけると、案の定、車は落雷に遭っていた。ドライバーの女性は死亡。一方、岩に閉じ込められていたヴェロニカはショックから記憶喪失に陥り、何故か古代言語を話すようになっていた……。
スタッフ
監督・脚本・製作:フランシス・フォード・コッポラ
原作:ミルチャ・エリアーデ著「若さなき若さ」(住谷春也訳/作品社刊)
製作総指揮:アナヒド・ナザリアン、フレッド・ルース
撮影:ミハイ・マライメアJr.
美術:カリン・パプラ
ヘアメイク:ピーター・ソード・キング、ジェレミー・ウッドヘッド
衣装監修:アディナ・ブクル
衣装:グロリア・パプラ
視覚効果:UPPプラハ
編集:ウォルター・マーチ
音楽:オスバルド・ゴリホフ
音声録音:ミハイ・ボゴス
音響:ピート・ホーナー
第2班監督:ローマン・コッポラ
助監督:アナトル・レギントウフスキー
共同制作:マサ・ツユキ
プロダクション・マネージャー:アドリアナ・ロタール、ドイナ・ドラグネア
キャスティング:フローリン・ケヴォーキアン、カレン・リンゼイ=スチュワート
アート・ディレクター:ミルチャ・オニソル、ルクサンドラ・イオニカ
照明:マリウス・ベルク
特殊効果:ダニエル・パヴレスク
キャスト
ティム・ロス
アレクサンドラ・マリア・ララ
ブルーノ・ガンツ
アンドレ・ヘンニック
マーセル・ユーレス
アレクサンドラ・ピリチ
エイドリアン・ピンティー
フローリン・ピエルジクJr.
ゾルタン・バトク
アナマリア・マリンカ
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