2008年/日本/カラー/114分/ 配給:ゼアリズエンタープライズ+ティ・ジョイ

2008年10月21日よりDVDリリース 2008年5月17日、シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか全国ロードショー 

©「丘を越えて」製作委員会2008

公開初日 2008/05/17

配給会社名 0040/0534

解説


<ときがきらめき、ひとがきらめく>

「真珠夫人」の人気作家であり、芥川賞・直木賞の創設者でもある菊池寛。“時代のパトロン”菊池とその周囲の人々が織りなす、何もかもが新しさに満ちていた時代の物語。原作は、東京都副知事でもあり、昭和をテーマに著作を展開する猪瀬直樹。菊池寛賞受賞の言葉の達人、今野勉が脚本を手掛け、「火火」の名匠高橋伴明がメガホンをとる。本作は、菊池寛生誕120年、没後60年に贈る文芸大作である。

「真珠夫人」「父帰る」のベストセラー作家で、文藝春秋社社長でもある菊池寛の私設秘書となった葉子。社長室では菊池が帯をずり落としそうにしている。新しく創刊した雑誌「モダン日本」編集部では朝鮮の貴族出身の美青年・馬海松(まかいしょう)が葉子を挑発する。葉子の心にふたりの男の思いが入り込んでくるー。
日本にサラリーマンが誕生し、飛行機が空を飛び、地下鉄が開通し、映画館が立ち並び、大工場ができはじめる。自動車や洋服や、女性が仕事をすることがとても珍しかったころ。普及し始めたラジオからは、舶来のジャズやチャールストン、流行の昭和歌謡が流れ、人々を魅了する。銀座通りを闊歩するモボ、モガたち。大衆文化が花開き、流行・風俗・ファションが人々の生活の一部となっていった昭和初期。現代を生きる私たちの生活や文化の原型がこの時代に誕生する。

映画「丘を越えて」は、そんな何もかもが新しさに満ちていた時代を生きたふたりの男とひとりの女の物語。「文藝春秋」「オール讀物」を創刊し、日本の大衆文化の創造に乗り出す“時代のパトロン”菊池寛。江戸情緒を残す下町育ちの貧しい娘から、東京・銀座近くの近代的なビルで働く女性へと変貌を遂げ、女流作家への夢、そして恋にも素直に立ち向かう葉子。「モダン日本」の編集者として働きつつ、いずれは母国の社会と文化の変革をと野心を燃やす馬海松。押し寄せる新しい時代の波に体全体でぶつかり、体ごと呑み込まれつつ、いくつもの丘を男と女は越えて行く……。

西田敏行、西島秀俊、池脇千鶴、余貴美子という日本映画界屈指の名優たちと、監督・高橋伴明、脚本・今野勉、原作・猪瀬直樹、主題歌・つじあやのと豪華クリエーターが結集し、ファッション、言葉遊び、音楽ととことんこだわって作り上げた文芸大作。挿入歌として流れる原盤の「丘を越えて」ほか、「君恋し」「アラビヤの歌」など昭和歌謡の傑作の数々と、当時の面影を残すロケセットでの撮影や美術、衣裳へのこだわりが、観客を華麗なワンダーランドへと誘い込む。

ストーリー

<時はモダン。男と女はいくつもの丘を越えていく>

江戸情緒の残る東京・竜泉寺町に育った細川葉子(池脇千鶴)は、女学校を卒業して働き口を探し、知人の紹介で文藝春秋社の面接を受ける。不況の折、採用の枠はなかったが、葉子は文藝春秋社の社長であり著名な作家でもある菊池寛(西田敏行)の目に留まり、個人秘書としての仕事にありつく。

下町育ちの葉子に、菊池の世界はまばゆい光に彩られている。銀座の街、パッカード、帝国ホテル、ダンスホール、菊池にからむ女性たち…。矛盾をまるごと抱え込んだような巨人、それでいて破格の人情家でもある菊池に憧れつつ、葉子は若い美男の編集者、馬海松(西島秀俊)にも惹かれていく。朝鮮の貴族の出で、日本に留学して菊池の知遇を得、文藝春秋社に働く馬は、遊び人を気取っているが、心の中ではいずれ母国に戻り、新しい朝鮮を作りたいと野心を燃やしていた。その若さと野心が葉子の胸を轟かせた。一方、老いつつある菊池は、金では買えない葉子の魅力にかけがえのないものを感じ、「恋」に落ちる。

対照的な二人の男の波間を漂いつつ、葉子は少しずつ成長し、女流作家になりたいという自分自身の夢を抱く。だが、やがて満州事変が勃発し、戦争の足音が聞こえはじめる。馬は母国の独立のため、朝鮮に帰る決意を葉子に伝えるのだった。讃えよ、わが春、わが人生を! 行く手に嵐を予感しながらも、菊池も葉子も馬も、自分の人生を生き切ろうと、生きる喜びを謳いあげる。
(この物語はフィクションです)

スタッフ

監督:高橋伴明
脚本:今野勉
原作:猪瀬直樹(文春文庫刊)
主題歌:つじあやの「丘を越えて」(SPEEDSTAR RECORDS)

企画:内田ゆき
プロデューサー:日下部孝一
共同プロデューサー:日下部圭子
制作:ゼアリズエンタープライズ 
制作協力:シネハウス 
製作:「丘を越えて」製作委員会 

キャスト

西田敏行 
池脇千鶴 
西島秀俊 
余貴美子
嶋田久作 
猪野学 
利重剛 
戸田昌宏 
中田寛美 
下元史朗 
金山一彦 
石井苗子 
猪瀬直樹(特別出演) 
峰岸徹

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