原題:Breath

第60回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品 キム・ギドク監督 第14作目作品

2007年4月26日韓国公開

2007年/韓国映画/84分/カラー/ビスタ/ドルビーSRD/日本語字幕:根本理恵 配給:エスピーオー

2008年12月03日よりDVDリリース 2008年5月3日、池袋シネマロサ、シネマート六本木にてロードショー

© 2007 KIM Ki-duk Film. All rights reserved.

公開初日 2008/05/03

配給会社名 0116

解説


数多くのハンデを乗り越えた
<キム・ギドク流>の映画作りとは?
『鰐(ワニ)』での衝撃的なデビューから10年——、あまりにも強烈な個性ゆえ、保守的な韓国映画界から常に隔離されてきたキム・ギドク監督の第14作目の作品『ブレス』は、韓国国内での投資を介さず、映画の完成前に版権を先行販売して資金を調達する方式で製作された。そして、マーケットで十数国からの資金を獲得したギドク監督は、緻密な計画の下、徹底的に無駄を省き撮影を開始。『絶対の愛』の計17回という撮影回数をさらに下回る10回の撮影で本作を完成させた。15日間で撮り終えるため、ギドク監督はシナリオを20回以上修正したという。

台湾のトップスター、チャン・チェンが
極寒の中で見せた「時間勝負」の迫真演技!
自殺願望を持つ死刑囚のチャン・ジン。この名前は、チャン・チェン(張震)をそのまま韓国語読みしたものでもある。台湾出身のチャン・チェンにとって、台詞がないとはいえ、韓国映画への出演は挑戦だった。ウォン・カーウァイ(『2046』)、ホウ・シャオシェン(『百年恋歌』)、アン・リー(『グリーン・デスティニー』)ら、名だたる巨匠監督たちと組んできた彼にとっても、ギドク監督の撮影スタイルは予測不可能なものだったという。これまでにない短期間での撮影のため、現場は過酷だった。もちろん主演俳優であるチャン・チェンも例外ではない。極寒の、うら寂しい刑務所のセットで囚人服を一枚だけ着させられた彼は、約10日間の韓国滞在期間中、4回の撮影ですべての出演シーンをこなさなければならなかった。出演俳優、そして現場に参加したすべてのキャスト・スタッフが、驚くべき緻密さと集中力を要しなければ、実現できないスピードだった。チャン・チェンはギドク監督との仕事を通し、今までにない新鮮さを感じ、俳優としても成長できたと、満足して振り返っている。

映画の中の陰の支配者役!?
キム・ギドク監督もみずから出演
映画の中で、密かに観客の目を引くのが、キム・ギドク監督の出演。『春夏秋冬そして春』のような本格的な出演というよりは、カメラの背後から鋭い視線を投げかける監督というポジションを、カメラの前に移しただけという趣だ。死刑囚チャン・ジンとヨンの出会いを可能にさせる保安課長役で、二人の関係をつなぐ架け橋的存在。二人を陰ながら見守る様子は、奇妙に存在感がある。監督の出演は、本作が観客と共に感じ、観客と分かち合う映画であることをより身近に感じさせてくれることにも繋がっているのだ。

ストーリー





自殺未遂を繰り返す、ある死刑囚の吐息(ブレス)——

ハンソン刑務所——その極寒の監房の中…。刑の執行が間近となった死刑囚のチャン・ジンは、鋭い錐でのどを突き、自殺を図った。しかし、一刻も早く死のうとするその努力もむなしく、彼は声を失っただけで、再び刑務所に送り返されてしまう。そこでは、彼を愛する若い囚人が、彼を温かく包もうと待ち侘びていた。しかし、チャン・ジンにとって、残された僅かな<生>は、何の未練もないものでしかなかった…。

夫の浮気で人生が狂い始めた、ある主婦の吐息(ブレス)——

夫と幼い娘と一緒に、裕福でモダンな家に暮らす主婦のヨン。何の不満もないように思えた彼女の人生は、夫の浮気を知ったことで狂い始めた。浮気がばれても、まったく悪びれることのない夫に、激しい怒りとやるせなさを覚えるヨン。そんな中、偶然、テレビのニュースで死刑囚、チャン・ジンの自殺未遂を知ったヨンは、彼に不思議な同情を覚え、彼に会うために刑務所へ向かった…。

二人の<ブレス>が交わったとき、天国と地獄が始まる…

チャン・ジンの昔の恋人だと言い張り、保安課長の許可をもらってチャン・ジンと面会を果たしたヨン。見知らぬ女の突然の面会に戸惑うチャン・ジンに、ヨンは幼い頃に経験した死の瞬間を告白する。9歳の時、水中で息ができなくなり、5分間、臨死体験をしたのだ。自らの体験を語ることで、ヨンは閉ざしていた心が次第に開かれていくのを感じていた…。
面会が終った後も、チャン・ジンのために自分が何をしてあげられるか探し求めたヨンは、彼に四季をプレゼントすることにする。春には春の壁紙を貼り、春服を着て、カセットテープから流れる春の歌に合わせて踊るヨン。夏、そして秋…とヨンは定期的にチャン・ジンを訪れては、季節を彼に贈り続ける。それは、死ぬこと以外に何の希望もなかった彼にとって、生の温もりを吹き込む行為となっていった。
やがて、繰り返される出会いを通じて、二人には単純な欲望以上の感情が芽生えていく。しかし、死刑間近のチャン・ジンにとって、ヨンを愛することで生まれた死への恐怖は、まさに生き地獄ともいえる苦痛を与えるものだった。さらに、二人の関係を知ったヨンの夫が、二人の愛を邪魔し始める——。

スタッフ

監督・脚本:キム・ギドク
エグゼクティブ・プロデューサー:キム・ギドク/キム・ドフン
プロデューサー:キム・ギドク
共同プロデューサー:ソン・ミョンチョル/ス・ヨンジュ
撮影:ソン・ジョンム
照明:カン・ヨンチャン
美術:ファン・インジュン
衣装・メイクアップ:イ・ダニョン
編集:ワン・スアン
音楽:キム・ミョンジョン
製作:キム・ギドク フィルム

キャスト

チャン・チェン
パク・チア
ハ・ジョンウ
カン・イニョン
キム・ギドク
イ・ジュソク
オ・スンテ
キム・ウンソ
チョ・ソギョン
イ・ジョンス
ソ・ジェイク
イ・ギョンホ
パク・チョルグン

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