茶々—天涯の貴妃—
女は、負ける戦をしてはならぬもの。
2007年/日本/カラー/??分/ 配給:東映
2008年06月21日よりDVDリリース 2007年12月22日(土)より全国東映系公開
(C)2007 「茶々」製作委員会
公開初日 2007/12/22
配給会社名 0004
解説
戦国時代、織田信長の姪として生まれ、豊臣秀吉の側室となり、徳川家康と天下を賭ける決戦を繰り広げた女性・茶々。その激動の生涯を、壮大なスケールで描き出した時代劇大作が誕生する。原作は2007年NHK大河ドラマ「風林火山」で再び脚光を浴び、今年生誕100周年を迎えた作家・井上靖の1961年度野間文芸賞受賞作『淀どの日記』(角川文庫)。戦国乱世の中で男たちの天下獲りに左右される数奇な運命にも屈せず、子供をなして生きるという女性ならではの人生観と、はつ、小督(おごう)という二人の妹との絆を胸に秘めながら、愛と誇りを貫き精いっぱい人生を歩み続けた茶々の凛とした生き方は現代女性にも共感を呼ぶことだろう。
そのヒロイン・茶々を演じるのは、元宝塚歌劇団宙組の男役トップスター、和央ようか。昨年惜しまれつつ宝塚を退団した彼女にとっては、これが映画デビュー作。しかも舞台以外の演技も初めてなら、女性役も初体験。174cmの長身を活かし、今までにない凛々しくも強い意志を持った、新たな茶々像を作り出している。
その茶々を取り巻く戦国人物絵巻が本作最大の見どころ。<茶々と憎しみを超えて、愛で結ばれる豊臣秀吉>。<幼い茶々の運命を変える叔父・織田信長>。<最後に茶々の前に立ちはだかる最大の敵・徳川家康>に加え、前田玄以、柴田勝家・真田幸村・豊臣秀頼といった戦国時代の名だたる武将がドラマを彩っている。そして物語のもうひとつの柱となる姉妹愛の部分では、姉の茶々を思いながらも最後には徳川方の人間として愛憎半ばする立場に立たされる三女・小督。そして姉と妹との板ばさみになる次女はつを始め、織田信長の妹であり茶々の母であるお市の方、北の政所、大蔵卿らが魅せる“女たちの戦国時代”も描かれることで、茶々の人生はさらに深く美しく浮き彫りになっていく。
監督は、これまで「新仁義なき戦い 謀殺」(02年)、「極道の妻たち 情炎」(05年)といったアクション映画を手掛ける一方で、芸術祭優秀賞に輝いた山本一力原作の「あかね空」(03年)、2007年正月に放送された「白虎隊」(07年)などのTV時代劇でも才気を感じさせた俊英・橋本一。その現代的な映像センスと、情感漂うドラマの演出力でどのような戦国絵巻を紡ぎだしてくれるかに期待がかかる。脚本は『仁義なき戦い 完結編』(74年)、『復活の日』(80年)、『鬼龍院花子の生涯』(82年)、『極道の妻たち』シリーズなど、数多くのヒット作を生み出してきたベテラン、高田宏治。今回も茶々のヒロイン像を中心に、戦国の世の終焉を見事な男女が織り成すロマンとして描いている。
クライマックスの大坂夏の陣では、京都にある伏見桃山城を2カ月費やして、全高50m五層の天守閣を全面改装して大坂城に見立てて撮影。豊臣と徳川の最終決戦を雄大なスケールで再現する。その改装費用は7000万円にも及ぶ。また、秀吉が茶々の為にあつらえた鳳凰の打掛を始めとする豪華衣裳は、全体で1億円以上をかけている。『男たちの大和/YAMATO』(05年)、『大奥』(06年)に続いて東映京都撮影所が総力を挙げて放つ、製作費10億円の堂々たる大作だ。
ストーリー
茶々、はつ、小督は戦国武将・織田信長の妹・お市の方と小谷城の城主・浅井長政との間に生まれた三姉妹。だが浅井長政は1573年、織田信長の手で攻め滅ぼされ、10歳の茶々と妹たち、そしてお市の方は織田家の重臣・柴田勝家の元に身を寄せることになる。
信長亡き後、戦国の覇者として羽柴秀吉が頭角を現していく。1583年、秀吉に攻められた柴田勝家は最期の時を迎える。その勝家と共に自害する道を選ぶお市の方。彼女は一緒に死のうとする娘たちに「あなたたちだけが、私の誇りなのです。生きるのです」と言い残し、息絶える。茶々は妹たちと共に、生きることを決意する。秀吉の囚われ人として暮らすことになった三姉妹。だがその生活は長く続かず、小督は尾張の小大名・佐治与九郎のもとへと嫁ぐことが決まり、はつもまた京極高次の妻となるべく去っていった。
ひとり残された茶々のところに、今は豊臣と姓を改めて関白となった秀吉の奥向きを束ねる大蔵卿の局が訪ねてくる。そして秀吉には世継ぎがなく、またその世継ぎを産めるのは、秀吉が昔から見初めていた茶々しかいないと告げる。だが茶々にとって秀吉は両親を死に追いやった憎い仇。茶々は『お側に上がるということは、天下様を殺すことも出来るということですね』と復讐の決意を大蔵卿に漏らしながらも、この話を請けることにする。
茶々は聚楽第で秀吉と対面するが、無邪気なまでに彼女のことを愛おしむ秀吉の心情に触れ、殺意は揺らぐ。やがて彼女は天下人の世継ぎを生むことに、自らの生きがいを見出していった。ほどなく待望の第一子・鶴松が誕生。だが鶴松は二歳の時、茶々が秀吉の陣中見舞いへ赴いた留守に謎の死を遂げてしまう。
鶴松の死を茶々の責任として、激しく叱責する秀吉。姉の身を心配した小督は、茶々を訪ねてきた。そして小督は茶々を助けるために『姉の代わりに世継ぎを生む』と秀吉の前に体を投げ出す。小督の姉を思う決死の覚悟に打たれた秀吉は、茶々を許した。ほどなく茶々には第二子・秀頼が誕生。一方で小督は、徳川家との絆を深めようとする秀吉の策略によって、徳川家康の跡継ぎ・秀忠の元へ嫁がされることになる。小督への措置に怒ったはつは茶々に詰め寄るが、茶々は『私が豊臣の世継ぎを産み、小督が徳川の世継ぎを産む。もし豊臣と徳川が戦になったとしても、どちらかが生き残れば私たちの勝ち戦』と言ってのける。そして 1598年、秀吉が逝去。天下の趨勢は徳川家康に有利となるが、茶々は秀頼と小督の娘・千を結婚させ、徳川との関係を深めることに成功する。それから10 年後。ついに兵を挙げた徳川の大軍は、豊臣の牙城・大坂城を包囲する。茶々と秀頼に、停戦を詰め寄る徳川家康。だがその家康の前に、徹底抗戦を宣言した鎧武者姿の秀頼と茶々が姿を表わす。風雲急を告げる大坂城の中で、娘・千の命を救おうとする小督を交え、茶々にとって最期の女の戦が始まった……。
スタッフ
原作:井上靖(「淀どの日記」角川文庫)
脚本:高田宏治
監督:橋本一
キャスト
茶々/和央ようか
寺島しのぶ
富田靖子
高島礼子
余貴美子
原田美枝子
中村獅童
渡部篤郎
松方弘樹(特別出演)
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