喜多嶋舞が 一途な愛に生きる女性を熱演した、 性愛文藝譚。

2006年/日本/72分/カラー/ビスタサイズ/DV 配給:アートポート

2007年12月21日よりDVDリリース 2007年8月25日よりアップリンクファクトリーにて同時公開!

©2006 アートポート

公開初日 2007/08/25

配給会社名 0014

解説


30歳の文緒は65歳になる夫の周一郎との夫婦生活を西湘の邸宅で過ごしていた。周一郎は数々の名作を生み出してきた文豪で、文緒の耳には「莫大な遺産目当て」と揶揄した言葉も入ってくる。しかし、文緒の心にあるのは周一郎の一途な愛だけ。文緒はまさに現代の日本女性が失っていたゆかしさを備えた女性であった。しかし、周一郎が脳梗塞で倒れて下半身が不随になったときから、周一郎に捧げてきた身も、心も、徐々に微妙な変化を遂げていく。作家志望の青年、仁志。周一郎の孫、康隆の存在。そして、30歳の若さで不能の夫を持つことになった文緒を哀れむ周一郎。3人の男性の思惑が、文緒の火照った心を、身体を、更に熱いものへとしていく。やがて、文緒の身体が開かれるときがやってくる…、一夜限りの大輪を咲かせる月下美人のように…。
下半身不随の夫と若き妻と言う、まるで「チャタレイ夫人の恋人」を彷彿とさせる設定、そしてほとばしるエロティシズム。オリジナルながらあくまでも文芸の匂いを香りを大切にした映像美で描いたのが『月下美人』と続編の『月下美人 〜追憶〜』。一途な愛に生きる、奥ゆかしさこの上ない典型的な日本人女性の文緒を演じるのは石井隆監督による『人が人を愛することのどうしようもなさ』(07)に主演が決まった喜多嶋舞。文緒の夫、周一郎を演じるのは『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、『欲望』(04)などのベテラン、中村方隆。共演は『完全なる飼育 赤い殺意』(04)、『avec mon mari アベック モン マリ』(99)などの小林宏史、『かあちゃん』(01)などの芦田昌太郎。監督は、高橋洋(脚本)とコンビを組んで『ピエタ』(97)、「インフェルノ 蹂躙」(97)などのメガホンを執った北川篤也。

ストーリー



文緒(喜多嶋舞)が西湘の地に立つのは5年ぶりのことである。カルチャーセンターの生花講座で急遽、講師に招かれたのだ。周一郎の莫大な遺産は康隆(芦田昌太郎)が全て受け継ぎ、そのカルチャースクールが行われている公民館は康隆によって寄贈されたものである。

文緒は周一郎(中村方隆)の仏壇に線香をあげるために吉岡邸を訪れると、康隆は不意の来訪者に動揺を隠せない。かつて淡い想いを寄せたひと、そのひとと仁志(小林宏史)との逢引を目撃した衝撃が蘇ってくる。康隆は大学院に進み、学友のみどり(橘実里)と2人で論文をまとめ上げるため、日夜机を向かい合わせていた。そんな2人の心は既に学友からお互いを異性として知らず知らずのうちに意識していた。にも関わらず、文緒の存在は康隆の心境に微妙な変化を与える。

文緒が吉岡邸を訪れてからの康隆は、みどりに対する接し方にも微妙な変化をもたらす。今までとは違い、康隆に何か冷たいものを感じ始めたみどりは、お互いの気持ちを確かめ合うためにキスを求めるが、そのキスが何とも味気ないものに、みどりは康隆の気持ちは文緒にあるのではないかと思うようになる。

悶々とした気持ちに悩まされ続ける康隆。それは文緒と仁志の逢引を目撃したときに感じたものとまるで同じ気持ちである。そんなある日、自分の心が文緒に支配されていることに気づいた康隆は吉岡邸で文緒に好きだという気持ちを伝えると同時に、彼女を押し倒してしまう。文緒は必死に抵抗するが、その様子を吉岡邸に訪れたみどりに目撃されてしまう。嫌な予感が的中したみどりは文緒に対して狂おしいほどの嫉妬心を見せるようになる。康隆の、みどりの、2人の誤解を解くために、文緒は封印してきた周一郎の遺作が収められたディスクを康隆に渡す。タイトルは「月下美人」。そこに綴れていたのは、周一郎が脳梗塞で倒れる寸前からの、文緒と周一郎の愛の日々が綴られていた。なぜ文緒が仁志に抱かれたのか?その小説に全ての答えがあった。

小説を読んだことでわだかまりを晴らした康隆。康隆の誤解が解けて心の晴れた文緒。2人はもう2度と会うことがないとお互いに悟り、最初で最後の、2人だけの絆を結ぼうとしていた。

スタッフ

製作・企画・原案:松下順一
プロデューサー:加藤東司、斎藤有三、大上典保
監督:北川篤也
脚本:中野 大
音楽:合田享生、平畑 大(FIL)
題字:小河原義一
撮影:村石直人
照明:鳥越正夫
録音:北村峰晴
美術:黒須康雄
編集:村山勇二
制作:有限会社エス・フィールド
企画製作:株式会社アートポート

キャスト

喜多嶋 舞
芦田昌太郎
橘 実里
谷川裕江
白石涼那
中村方隆
小林宏史

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