原題:The Raspberry Reich

2004年/ドイツ・カナダ/カラー/90分 配給:S.I.G.

2008年02月28日よりDVDリリース 2007年10月6日(土)より渋谷UPLINK X にてレイトショー公開。 名古屋、大阪ほか全国順次公開予定。

公開初日 2007/10/06

配給会社名 0334

解説


 新作を発表するたびに賛否両論の嵐を巻き起こすクィーア・フィルムの異端児ブルース・ラ・ブルースが“テロリズムと性の革命”という今、最も危険なテーマに挑んだのが、この『ラズベリー・ライヒ』だ。

 ウィルヘルム・ライヒの性革命理論とヘルベルト・マルクーゼの『エロス的文明』を大胆に解釈し、テロリズムとポルノという異色のアナーキズムを合体させたこの作品は、サンダンス映画祭、ベルリン国際映画祭をはじめ、世界で70ヶ所以上の映画祭に招待され大きな反響を呼んだにも関わらず、日本国内の映画祭、映画館からはことごとく上映拒絶され、日本公開不可能と言われていた問題作。

 60年代後半から70年代にかけて、果敢なテロ活動を行なったドイツ赤軍(RAF)に心酔する現代の革命家たちが、性と世界の革命を夢見て過激な行動に走る姿を、激しい性描写と独特のユーモアを交えて描き出すこの作品は、ゴダールの『中国女』、マカヴェイエフの『W.R. オルガニズムの神秘』、ファスビンダーの『第三世代』といった革命映画へのオマージュとB級エクスプロイテーション映画への偏愛がキッチュな映像の中で一体となったラディカル=ポップ・フィルムだ。

 主役のグドルンにはファスビンダーの盟友ヴォルカー・シュペングラーの舞台にも出演する名女優スザンネ・ザクセ。彼女が率いるアナーキスト集団の男性闘士たちは、ヨーロッパ各地から集められたホットなポルノ男優たち。また、TVのモニターから語りかける異様な教祖的人物に、ポストパンクの伝説的バンド“スロッピング・グリッスル”、”サイキックTV”のジェネシス・P.オーリッジが扮しているのも見逃せない。

ブラックなユーモアと過激な性描写、そして斬新な映像と音楽が描き出す新しい世界が、、常識とモラルに縛られた頭を解放する。アナーキズムを愛する全ての不満分子よ、ここに集合せよ!!

ストーリー



 ドイツ赤軍のバーダー=マインホフ・グループに憧れる女性闘士グドルンは過激派集団『ラズベリー・ライヒ』のリーダー。彼女は性的革命によって革命を成し遂げるという理想に燃え、今日も同志のホルガーと性的エネルギーを解放している。

 その頃、『ラズベリー・ライヒ』の構成員ホルスト、アンドレアス、ヘルムート、クライドはドイツ屈指の資産家、ヘルマン・シュミットの息子パトリックを誘拐するために車に乗っていた。パトリックを待ち伏せた彼らは、ドタバタしながらもなんとか誘拐に成功する。しかし、パトリックの手錠を自分の手にもはめてしまったクライドは、パトリックと二人で車のトランクに押し込められる。場所もわきまえず愛し合ってしまう二人。実はクライドは、尾行していたパトリックと恋仲になっていたのだった。

 人質を待つ間、グドルンはホルガーとチェに、「性的抑圧から解放されるためには、偏見を捨て男どうしで愛し合わなければならない!」と言い、2人にその実践を命じる。命令に従い行為に及んだ彼らは、新しい悦びを知るのだった。

 人質が到着し、パトリックを使って脅迫用のビデオを撮ろうとした彼らだったが、シュミットがドイツにいないことが発覚し、計画は保留される。しかし、グドルンは新たな脅迫方法を思いつく。それは、最も性的抑圧が激しいアンドレアスとパトリックの行為を撮影し、シュミットに送るというものだった。慌てたホルストはパトリックがゲイだとカミングアウトしたために父親に勘当されていることを告白するが、撮影は行なわれてしまう。グドルンは言う「ブルジョア的な一夫一婦制は捨てなさい」

 しかし、事態は思わぬ方向に転がり始めてしまうのだった…。

スタッフ

監督・脚本:ブルース・ラ・ブルース
製作:ユルゲン・ブリューニンク
撮影:ジャームス・カーマン
録音:ルイス・ハイオス
美術:シュテファン・ディックフェルト
編集・音響効果:イェルン・ハルトマン
音楽:The hidden cameras、Khan、Larry Tee、WIT、The Ray Makers

キャスト

グドルン: スザンネ・ザクセ
ホルガー: ダニエル・ベッチャー
パトリック: アンドレアス・ルプレヒト
アンドレアス: ディーン・シュターティス
クライド: アントン・Z・リサン
チェ: ダニエル・フェッティヒ
ヘルムート: ゲリット
ホルスト: ジェフリー

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す