原題:Departure: From Ashoro

松山千春「足寄より」ベストセラー自伝小説の映画化!

第21回東京国際映画祭 日本映画・ある視点部門 公式出品作品

2008年/日本/カラー/112分/ 配給:エム・エフボックス

2009年07月17日よりDVDリリース 2008年11月22日、スガイシネプレックス札幌劇場ほか北海道先行公開 2009年1月24日より新宿トーア、シネマート新宿、渋谷シアターTSUTAYAほか全国順次公開

©2008 PLUSMIC CFP

公開初日 2009/01/24

配給会社名 0678

解説


削げた頬に鋭い眼光、時折みせる人懐っこくあどけない笑顔。北海道は足寄から出てきたこの青年が、30年人々を圧倒したのは、しかしそのルックスではなく“声”であった。
 本作は06年でデビュー30周年を迎えた松山千春が、23歳時に自ら書き下ろした自伝『足寄より』をベースに映像化。当時、人気絶頂にあった一人の若きシンガーが、自分の言葉で赤裸々な思いを綴ったこの著書は、大きな話題を巻き起こす。そこには複雑な家庭事情、貧しくも愛情いっぱいに彼を育てあげた父への想い、音楽への目覚め、そして恩師・竹田との出会いとあまりに突然の別れなど彼の23年が凝縮した “正直な”内容が描かれ、ファンのみならず多くの人々の心を揺り動かした。こと、千春の才能をいち早く見出し、彼を世に出すことに自らの人生を賭け尽力した竹田の存在は本作でも重要な意味を持つ。年齢を超越した男同士の友情と深い絆には、誰もが胸を熱くせずにはいられない。竹田なくして、今の松山千春はありえなかったという事実。そして、そんな竹田の急逝から千春が立ち直ることができたのは、やはり音楽の力だったのだ……。
現在「デビュー30周年記念 特別復刻版」として扶桑社から再出版されている同著は、50歳になった彼の特別インタビューと写真も加えられた豪華版になっている。

キャストも若手からベテランまで、多彩な顔ぶれが揃った。主人公・千春を演じるのはドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(07)や、映画『クローズZERO』(07)、『リアル鬼ごっこ』(08)などで注目される若手俳優=大東俊介。日本人なら誰でも知る現役トップシンガーを演じるという多大なプレッシャーをはねのけ、生き生きと若き日の松山千春を演じている。そして千春の才能にいち早く目をつけ、周囲の反対を押し切って彼をデビューさせたSTVラジオディレクター=竹田健二に萩原聖人。幅広い役柄をこなし、誰もが認める演技派俳優である彼が、大東の若さあふれる熱演を役柄同様、しっかりと受け止めている。そして千春の人生に大きな影響を与え続けた父親=松山明に泉谷しげる。他にも、千春の憧れのヒロイン=河合紀美子に伴杏里、千春の姉=菊池絵里子に尾野真千子、千春の地元の大切な仲間たち、佐藤耕造(通称・シュガー)に?ジョンミョン、高木雪彦に林剛史、竹田の妻=依子に奥貫薫、STVラジオのプロデューサー=西口祐介に石黒賢など個性的な面々が扮している。

 監督は長編映画は『ポストマン』(08)に続き2作目となる、今井和久。ドラマ『南くんの恋人』(94)や『イグアナの娘』(96)、近作では『アストロ球団』(05)など名ドラマの監督、演出を数多く手がけてきた俊英が、実在の人物=松山千春の半生を原作に忠実に、時にダイナミックに掬い取る。

ストーリー



“昭和50年全国フォーク音楽祭・北海道大会”。札幌で開催されたこの大会に、一人遅れてパトカーで到着した若者の姿があった。真っ赤なニッカポッカ姿に大きなサングラス、片手にギター1本持ったこの奇抜なスタイルの男こそ、当時19歳だった松山千春。大勢の客達はあきらかに場違いな彼の姿に爆笑するが、そんな会場に「お前らうっせえぞ!笑ってないで歌を聴け!」と鋭く一喝する千春。そして歌い始めた彼の曲『旅立ち』——。その透き通るようなハイトーンボイスと、切ない別れを歌った歌詞の世界に、さっきまで野次を飛ばしていた観客たちは圧倒され聞き惚れる。結局、生意気な態度が災いしてあえなく落選してしまう千春だったが、審査員として彼の歌を聴いていたSTVラジオディレクター=竹田健二は彼の才能にいち早く気付く。早々に会場を後にしようとする千春に「いつかチャンスが来るから、その時までに作れるだけ曲を作っておけ!」と告げる竹田。これが2人の運命の出会いだった。

 実家のある足寄に戻り、父親=明の営む“とかち新聞社”を元通り手伝い始める千春。新聞社と名はついているが、自宅と仕事場が一緒になった貧しい一軒家。母親は幼い頃から飯場へ働きに行き、姉も家を出てスナックで働いている千春にとって、父親はかけがえのない存在。高校を卒業した千春は新聞の集金などを手伝いながら、自分の思いを音楽という形で発散し書き溜めていた。
一方、札幌では千春をなんとか世に出そうと、竹田の孤軍奮闘が始まっていた。時代は荒井由美を代表するようなポップス全盛期。千春の楽曲は、あまりに“フォークすぎる”という理由や、本人の生意気な態度からなかなか上層部のOKが取れない。

しかしついに竹田の熱意に根負けし、千春のラジオのレギュラー出演が決まる。竹田は千春の足寄への愛情、そして何より父親への愛情を真摯に受け止め、北海道を活動の拠点にしていくことを約束した。千春の破天荒な言動は相変わらずで、周囲をひやひやさせ続けるが、その歯に衣着せぬもの言いと気取らない発言、そして何より楽曲のクオリティの高さが受けに受け、竹田の予想通り千春のラジオは好評を博す。めまぐるしい日々の中、千春は竹田が自分を売り出すために自らの首をもかけていたことを知り、2人の絆は深まっていく。そして、竹田の熱意はついにSTVの常務に直談判するという形で伝わり、松山千春のデビューが決定する。

デビュー曲『旅立ち』は大ヒット。瞬く間に千春は時代の寵児、そして足寄が生んだスターとしての階段を駆け上がっていく。そんな周囲の急激な変化に喜びつつも、戸惑いを隠せない千春。だが喧嘩を繰り返しながらも、竹田との信頼関係は固くSTVから千春を引き抜こうとする動きにびくともしない千春の姿に竹田は「一生付き合っていこうな」と涙するのだった。そして2人の夢だった初のコンサートツアーが幕を開ける。しかし、千春と竹田の別れはすぐそこまで迫っていた……。

スタッフ

監督:今井和久 
原作:松山千春「足寄より」(扶桑社刊) 
脚本:鴨 義信
主題歌:松山千春「我家」(コロムビアミュージックエンタテインメント)

エグゼクティブ・プロデューサー:小曽根 太 
企画:渡辺裕二 
プロデューサー:小林岳夫 
ラインプロデューサー:佐々木裕二 

キャスティングディレクター:富田敏家 
VFXプロデューサー:西村敬喜 
音楽プロデューサー:小西善行

撮影:上赤寿一 
映像:瀬尾幸夫 
照明:原田洋明 
美術:北谷岳之 
録音:畦本真司 
編集:清水正彦 

製作:プラスミック・シーエフピー

キャスト

大東俊介
萩原聖人
尾野真千子
ペ・ジョンミョン
伴 杏里
林 剛史
奥貫 薫
石黒賢
泉谷しげる

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