ブロークダウン・パレス
原題:BROKEDOWN PALACE
夢の卒業旅行、身も凍る悪夢。 あなたの夢って何? どこまで冒険出来るの? 誰を信じればいいの?
1999年度作品/ドルビーSR・SRD/1時間41分/字幕翻訳:松浦美奈 フォックス2000ピクチャーズ提供/20世紀FOX
2008年01月18日よりDVDリリース 2007年05月25日よりDVDリリース 2005年04月28日よりDVDリリース 1999年10月9日より日比谷みゆき座ほか、全国東宝洋画系ロードショー
公開初日 1999/10/09
配給会社名 0057
解説
それは、10代最後の自由と冒険を満喫できる楽しい卒業旅行のはずだった。大学が始まる前の夏休みを利用して、親友のダーリーンと一緒に、憧れのエキゾチックな国タイヘやって来たアリス。彼女にとって“両親と法律のないラスベガスのようなところ”だったバンコクは、しかし、あっという間に“破壊された宮殿_ブロークダウン・パレス”に姿を変えた。黄金色に輝く太陽の下で、バカンスを謳歌していたアリスとダーリーンの前に現れたハンサムなオーストラリア人ニック。彼の登場は、恋の鞘当てをもたらしただけでなく、二人を週酷な運命へと引きずり込む。ニックに香港への旅行に誘われてバンコクの空港に到着した二人の荷物の中から、身に覚えのないヘロインが発見されたのだ。警察と麻薬捜査官に取り囲まれて驚きと恐怖におののく二人の間には、ニックヘの思いが絡んで互いへの不信感が渦巻いていく。無罪の主張も虚しく、二人に下されたのは懲役33年の判決だった。犯罪者たちが“ブロークダウン・パレス”と呼んで恐れる刑務所で、絶望感に苛まれるアリスとダーリーン。そんなとき、二人に最後の希望を与えるべく、アメリカを追放された無頼派の弁護士“ヤンキー・ハンク”が現れる。
異国での理不尽な裁判と刑務所での過酷な体験。といえば思い出すのがアラン・パーカー監督の『ミッドナイト・エクスプレス』。実話をもとにトルコの刑務所で死刑判決を受けたアメリカ人青年の自由への脱出を描いて、観る者を震憾させたこの傑作が世に出てから21年。今新たに、女性版『ミッドナイト・エクスプレス』ともいうべき衝撃作が登場しました。映画化の発端はプロデューサーのアダム・フィールズが久しぶりに訪れたタイにあった。若いアメリカ人の無実の受刑者が劣悪な環境に置かれていることを知った彼は、脚本家デイビッド・アラタと協力し、ティーンエイジャーの友情の物語を核にしながら、このショッキングな事実を脚本に注ぎ込んでいった。二人はタイに赴いて多くのアメリカ人女性受刑者に面会し、麻薬捜査局でファイルを調査し、大使館関係者に会って事情を聞いた。彼女らは単に無知で貧乏な、男の甘い罠に落ちた“犠牲者”だった。そんな恐ろしい現実をリアルに再現しながら、映画は極限状況の中での週酷な体験を経て、二人の女性が自分を発見していく過程を緊張感たっぷりに描いています。
ワイルドなティーンエイジャー、アリスに起用されたのは『ロミオ&ジュリエット』『レ・ミゼラブル』のクレア・デインズ。ニックがダーリーンをベッドに誘ったことで嫉妬にかられ、罪をかぶせたのが彼女ではないかと疑心暗鬼に陥りながらも、最後にはダーリーンを救うためならば何でもしようとしている自分に気づく。そんなタフなキャラクターを、彼女ならではの弾むような生命力で、はつらつと演じています。
対するダーリーンにはイギリス出身のケイト・ベッキンセール。『シューティング・フィッシュ』のキュートなヒロイン役が記憶に新しい彼女は、辛い環境によって自制心を失ってしまうダーリーンの繊細さを見事に体現しました。また“ヤンキー・ハンク”には『インデペンデンス・デイ』『ロスト・ハイウェイ』など、多彩な作品に出演して高く評価されているビル・プルマン。ニック・パークスに『ミュリエルの結婚』で注目された、オーストラリア出身のダニエル・ラペーン。ほかにルー・ダイアモンド・フィリップス、アマンダ・デ・カディネット、ジャクリーン・キムらが出演している。
メガホンをとったのは『レベルポイント』『プロジェクトX』『不法侵入』などのジョナサン・カプラン。社会的な題材をエンターテインメントと融合させることで定評のある彼は『告発の行方』でジョディ・フォスターにアカデミー主演女優賞をもたらすなど、女優を輝かせることでも知られています。今回も事実を踏まえたテーマのもと、二人の若い女優から最高の演技を引き出しています。撮影は『ユージュアル・サスペクツ』『ゴールデンボーイ』のニュートン・トーマス・シーゲル。
音楽は『25年目のキス』『アナスタシア』のデイビッド・ニューマン。プロダクション・デザイナーのジェイムズ・ニューポートは、『レベルポイント』以来カプラン監督の盟友ともいえるスタッフ。ここでは毒気に満ちた大部会バンコクの、快楽と悪夢が錯綜する、くらくらするような景色を作り上げています。衣裳デザイナーのエイプリル・フェリーも『不法侵入』と『この愛の行方』でカプランと一緒に仕事をしている気心の知れた仲間で、「マーヴェリック」でアカデミー賞にノミネートされている実力派。また『誘う女』など4本のガス・バン・サント監督作品で知られ『不法侵入』も手がけているカーティス・クレイトンが、鋭角的な編集で映画のリアリズム感覚を盛り上げています。
ストーリー
アリス(クレア・デインズ)とダーリーン(ケイト・ベッキンセール)は、アメリカ中西部オハイオ州に住む高校3年生。親友同士の二人は、大学が始まる前の夏休みを利用して卒業旅行に出かけることにした。心配する両親には「ハワイに出かける」と言ったものの、本当の行き先はタイのバンコク。ワイルドで向こう見ずなアリスは、不安がるダーリーンに“両親と法律が存在しないラスベガスのようなところ”と説明する。エキゾチックな東南アジアの国で、彼女は10代最後の自由と冒険を楽しむつもりだった。
魔法のように黄金色に輝く太陽と、ジャングルのように混沌としたバンコクの町の雰囲気に、心を沸き立たせるアリスとダーリーン。二人は泊まってもいない豪華なホテルに入り、ルームサービスで飲み物をオーダーしようとしてトラブルになる。そのとき助けに入ったのが、ニック・パークス(ダニエル・ラペーン)だった。ハンサムでセクシーなオーストラリア人ニック。たちまち彼に夢中になった二人は、誘われるままバンコクの町を見て回る。目を見張るようなグランド・パレス、ロングボートでのチャオ・プラヤ河下り、悪名高い“セックス・ゾーン”のパッポン…。それは二人にとってまるで夢のような体験だった。その夜、ニックは別れ際にダーリーンをベッドに誘う。いつもダーリーンより男の子にもてていたアリスにとってニックの選択は驚きだった。ニックを射止めて喜ぶダーリーンへの嫉妬と悔しさと戦いながら、アリスは一人で宿泊先のゲストハウスヘと帰っていく。翌朝、ゲストハウスに戻ってきたダーリーンは、「ニックと3人で香港旅行に行こう」とアリスを誘う。ニックは仕事でソフトウェアのセミナーに出席するために香港に行くことになっていた。彼が持っているファースト・クラスのエア・チケットを3人分のエコノミー切符に換えれば、アリスとダーリーンも香港に行ける。理路整然としたニックの説明に二人は香港行きを決め、一足先に飛んだニックを追って空港へと向かった。しかし、空港で二人を待っていたのは思いもかけぬ犯罪の濡れ衣だった。荷物の中からへロインが見つかったのだ。タイ警察と麻薬取締官に囲まれた二人はパニック状態に陥り、互いに相手が裏切ったのではないかと疑い始める。
二人はタイの厳しい司法制度の罠に囚われていた。無実を訴えれば終身刑の判決を受けることは問違いないが、有罪を認めて反省を表明すればもっと短い刑ですむかもしれない。アメリカとタイ政府の関係が、二人の置かれた状況をより複雑なものにしていた。アメリカはタイからのドラッグ流入を阻止するために、タイの税関に積極的に働きかけ、ドラッグ所持者を逮捕する度に報奨金を出していたのだ。
事態は悪くなる一方だった。ニック・パークスの存在を証明するものも何もなかった。無罪を主張した二人は、最終的に33年の判決を受け、囚人たちが“ブロークダウン・パレス”と呼んで恐れる刑務所に投獄されることになる。アリスとダーリーンは絶望のどん底にあった。しかし、そんな二人に最後の希望の光“ヤンキー・ハンク(ビル・プルマン)”が与えられる。
彼は国外追放されたアメリカ人の弁護士で、バンコクでタイ人の妻と暮らしていた。彼はまず、裏から手を回して金で二人を救えないか調査を始める。その結果、ニック・パークスがドラッグの売人で、タイの税関にアリスとダーリーンを密告した当人であることがわかってくる。アメリカの麻薬捜査局員でタイに駐在している友人ロイ(ルー・ダイアモンド・フィリップス)から情報を得たハンクは、二人が同じ便に乗っている本物の運び屋から目を逸らすためのオトリとして使われたことを知る。それはヘロインの密輸業者の常套手段だった。けれど、アリスたちの鞄にヘロインが入っていたのは事実。有罪であろうがなかろうが「二人が刑務所を出られる望みはない」と、ロイは言う。
そんな困難極まる状況を一つ一つ乗り越え、ハンクは二人の2度目の裁判を開く権利を勝ち取った。しかし、予想に反して事態は更に絶望的な方向へと進んでいくのだった…。
スタッフ
監督: ジョナサン・カプラン
脚本: デイビッド・アラタ
ストーリー: アダム・フィールズ、デイビッド・アラタ
製作: アダム・フィールズ
製作総指揮: A・キットマン・ホー
撮影監督: ニュートン・トーマス・シーゲル
プロダクション・デザイナー: ジェイムズ・ニューポート
編集: カーティス・クレイトン
衣装デザイナー: エイプリル・フェリー
作曲&指揮: デイビッド・ニューマン
キャスト
アリス・マラーノ: クレア・デインズ
ダーリーン・デイビス: ケイト・ベッキンセール
ハンク・グリーン: ビル・プルマン
ヨン・グリーン: ジャクリーン・キム
ロイ・ノックス: ルー・ダイアモンド・フィリップス
ニック・パークス: ダニエル・ラペーン
ダグ・デイビス: トム・アマンデス
ベス・アン・ガーデナー: エイミー・グラハム
ビル・マラーノ: ジョン・ドー
ジャグクリット主任刑事: ケイ・トン・リム
守衛ベリー: ベウラ・クオ
王の密使: ヘンリー・オー
ジャマイカ人の囚人: バーニ・ターピン
イギリス人の囚人: アマンダ・デ・カディネット
囚人シャブ: インディラ・チャロンプラ
年老いた囚人: リリア・カンタペイ
めがねの守衛: ソムスダ・チョティカスパ
メリー: マヤ・エリース、グッドウィン
ファーグ: チャッド・トッドハンター
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