2つの国を駆け抜けた、2つの名前のキャメラマン—

山形国際ドキュメンタリー映画祭2005上映作品

2005年/日本/日本語・韓国語/カラー/DVcam/81分

2006年5月6日(土)シネマアートン下北沢にてモーニングショー 連日昼1:00から一回のみ。金土は夜9:00からのレイトショ-あり。

公開初日 2006/05/06

配給会社名 0323

解説


2つの名前を持つ偉大なキャメラマンの足跡を追う ——
日本が朝鮮半島を植民地支配していた1930年代、映画キャメラマンを目指して日本にやってきた青年がいた。元学生ボクサー、俳優のような甘いマスク、そして映画にかける人一倍の情熱。彼の名前は金井成一。本名金学成(キム・ハクソン)
 ユ・ヒョンモク監督の『誤発弾』などの作品で韓国映画史にその名を残す名キャメラマン金学成。彼は戦前、日本で金井成一の名前で撮影技師となり帰国。発展途上にあった解放以前の朝鮮映画の向上に大きく貢献することになる。彼が育てた現在の韓国映画界の重鎮たち、また家族の証言により、歴史に翻弄されつつ闘った、2つの名前を持つこの偉大なキャメラマンの足跡を追う。

◆昨年、中国で64年ぶりに発見された朝鮮映画『家なき天使』(チェ・インギュ監督、金井成一撮影)は昭和16年、朝鮮映画で初めて日本の文部省の推薦を受けながら、公開直前に内務省の検閲を受け推薦を取り消された幻の作品で、今作品ではこの貴重な映像とともに当時の朝鮮映画と日本の関係にも触れる。

◆昨年1月に亡くなった日本を代表する映画キャメラマン岡崎宏三は、金井成一と新興キネマ東京撮影所で共に助手時代を過ごし、1940年2人同時に撮影技師に昇格する。岡崎21才、金井27才の時である。「国と国の関係は良くなかったかもしれないが、人間個人同士としては同じ撮影所の仲間だった」と岡崎は語る。1971年、ソウルで岡崎宏三と金学成は30年ぶりに再会を果たし、2人の交流は金学成が亡くなるまで続いた。

川上皓市(キャメラマン 「サード」「紙屋悦子の青春」)
 デジタル全盛のこの時代に、我々キャメラマンはこの映画に登場する金学成と岡崎宏三という今は亡き二人のキャメラマンの生き方から、とても大事なことを学ぶことが出来る。「映画人たるもの誇りを持って生きろ。映画人には映画しかない」「技術が映画を作るわけではない。人間と出会い、愛し、その心をどのように読み取るのか」という最も基本的な姿勢である。そんなキャメラマンの姿を、田中文人監督は奇を衒うことなく真摯に描いている。

ストーリー

スタッフ

製作・監督:田中文人
撮影監督:長田勇市 JSC
編集:奥田浩史
音楽:ユン・イサン
音源提供:株式会社カメラータ・トウキョウ
資料提供:川喜多記念映画文化財団/韓国映像資料院 Korean Film Archive/アジア映画社/
     プラネット映画資料図書館/株式会社キネマ旬報社/読売新聞社
協力:韓国映画撮影監督協会(KSC)/日本映画撮影監督協会(JSC)/相澤工房
   ワイズ出版/東北新社/映像テクノアカデミア/
   DV WORKSHOP STUDIO DU/NEP

キャスト

草島競子
杉山美子
築地米三郎
高村倉太郎
ユ・ヒョンモク
チョン・イルソン
アン・サンウ
ソ・ジョンミン
ペク・ヨンホ
イ・テソン
シン・スンクム
ユン・ジョンドゥ
イ・ヒョイン
ソン・ファンチャン

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