CLOSING TIME
酔いどれ天使たちの見る夢は・・・・ 夜の切なさをセンシティブに描き出した、あるさすらいの物語。 日本映画で初めてゆうばり映画祭グランプリを受賞。 小林政広の監督デビュー作!!
1997 第8回ゆうばり国際冒険ファンタスティック映画祭 [ヤングファンタスティック部門]グランプリ受賞(邦画初) 1996 第21回湯布院映画祭招待作品 第9回東京国際映画祭<アジア映画秀作週間>正式上映作品 第3回函館山ロープウェイ映画祭招待作品
1996年/日本/81分/35mm/ビスタサイズ/カラー(パートモノクロ)/ 製作・配給:MONKEY TOWN PRODUCTION 配給協力・宣伝:アルゴ・ピクチャーズ、オムロ・ピクチャーズ
2006年07月29日よりDVDリリース 2001年1月12日よりビデオ発売・レンタル開始 1999年10月2日よりシネマ下北沢にてリバイバル上映決定!
モンキータウンプロダクション
ビデオ時に変わった場合の題名 クロージング・タイム
サブ題名 クロージング・タイム
公開初日 1999/10/02
配給会社名 0239
公開日メモ 酔いどれ天使たちの見る夢は・・・・夜の切なさをセンシティブに描き出した、あるさすらいの物語。 日本映画で初めてゆうばり映画祭グランプリを受賞。小林政広の監督デビュー作!!
解説
●都会の夜の片隅で壊れた心を抱えた男たち・女たちをやさしく見つめた現代のファンタジー。
主人公はコンビニ強盗の巻添えで妻子を失った40代の男。シナリオライターだったが、全てを打ち捨て酒に溺れている。夜の街を彷徨いながら出会うさまざまな人間模様がオフ・ビートに描かれる。哀しみを知る者たちのささやかなふれあいを拾い上げ、人間の優しさと弱さを捉えている。
●永遠のファム・ファタル・・・・夏木マリ。
“ファム・ファタル”(=宿命の女)という言葉を彷彿とさせる、不思議なヒロインをしなやかな感性で体現しているのは、夏木マリ。映画好きなボヘミアンの路上生活者役に赤毛姿で扮しリラックスして演じ、これまでのイメージにとらわれない新鮮さをみせて強い印象を残している。女優としての活躍に加えて近年は音楽活動を再開し、小西康陽(ピチカート・ファイヴ)がプロデュースした『9月のマリー』『GORILLA』『印象派』では洗練された魅力が若い世代を中心に評判となっているが、永遠のファム・ファタルとして男の夢を体現しつつ、男性からの憧れを集めることだろう。
●エスプリにあふれた、ヌーヴェル・ヴァーグへのオマージュ。
みずみずしい映像感覚で切り取られた夜の横顔、ウィットに富んだダイアローグ、シネ・ジャズとも呼ぶべき映画音楽に彩られ、フレンチ・テイスト溢れた世界を表現している。ヌーベル・ヴァーグに造詣が深い小林監督のこよなき憧憬が見事に画面化されている。
●クールな、音楽と映像のコラボレーション。
テーマ曲として、ピチカート・ファイヴの小西康陽が作詞・作曲・プロデュースを手がけた夏木マリのヨーロピアン・テイストあふれる佳曲『ホテル』で幕開けし、そして、キュートなセンスとエキセントリックなスキャットで注目のシンガー小島麻由美の『パレード』『飾り窓の少女』が物語に弾みをつけている。また、ジョルジュ・ドルリュー・サウンドを思わせる佐久間順平の映画音楽のシネ・ジャズ的アプローチも聞きどころである。
●新人監督・小林政広の念願のデビュー作。
種々の紆余曲折を経たのち、城戸賞を受賞し脚本家として活躍し、念願の映画監督の夢を果たした小林政広。集大成ともいうべき凝縮されたオリジナル脚本は熟練をみせている。また映画への愛情がストレートに画面にあふれ出ているチャーミングさが新鮮である。
●『CLOSING TIME』は、トム・ウェイツのファースト・アルバムから引用されたタイトル。
“酔いどれ詩人”と称されるミュージシャン(映画出演も多い)トム・ウェイツ。この映画の様々な人間模様を織りなす4つのエピソードは、トム・ウェイツのファースト・アルバムの楽曲タイトルから引用された物語であり、孤独と自由と絶望、そして人とのふれあいを通して、人間の優しさと弱さを見つめ、心にじんわり染みる独特なムードを漂わせている。
●強い印象を残すキャスティング。
主人公には深水三章が扮し、男の弱さと優しさを飄々と体現して、ともすればキザになりかねない役柄を抑制のきいた演技でこなし、味のある存在感を出している。また、放浪生活を送る女に扮した、夏木マリのチャーミングさは他では見ることができないほど。そして、個性的な顔触れが脇を固め物語に奥行きを増している。エイズのため死と向かい合う青年を北村 康が演じ切り、強烈な印象を残す。名バイプレイヤーの中原丈雄がバーのマスターを好演し、主人公との掛け合いが楽しい。
ストーリー
明日は明日にならない・・・・今は、今。
行きつけのバーで、いつものように最後の客となってしまった男。
男は書けなくなったシナリオライター、酔いどれて夜の街を彷徨する。
都会の夜の片隅でさまざまな男たち・女たちと出会う。
ACT 1 OLD SHOES
〜アケミ、トシコ、クミコ〜女たちと、彷徨する孤独、路上で。
アケミの部屋から出て行った男は、トシコと再会する。そして、かつて男の書いた作品のファンだというクミコと出会う。男は女たちの間をさまよう。しかし、どの女も、また男も、互いの孤独を埋めることはできない。
ACT 2 I HOPE THAT I DON’T FALL IN LOVE WITH YOU
〜レイ〜ファム・ファタルと、映画に愛を込めて。夜の公園で。
男は夜の公園で不思議な女レイと出会う。レイはボヘミアン的路上生活者だったが、ふいに“シェルプールの雨傘”を口ずさむ。トリュフォー、スコセッシ、ベントン・・・・映画の話で盛り上がる二人。しかし、朝になると彼女の姿は消えていた。
ACT 3 LONELY
〜久保〜ゲイの青年と、絶望の向こう岸へ、夜のタクシーで。
風変わりな青年・久保が男に声をかけてきた。誘われるまま、無料の酒とトンカツにありつく。久保は路上生活者だった。男は久保のイノセントさに触れ、失った幸せな家庭生活を想い起こす。しかし、久保はエイズで余命いくばくもなかった。
ACT 4 LITTLE TRIP TO HEAVEN
〜マスター〜友人と、思い出を胸に、朝の海岸で。
男の心にはたった一度出会っただけのレイの姿があった。いつものように飲んだくれている男に、バーのマスターは痛切な別れの経験を話しだした。そして、海辺にあるマスターの家で、二人は朝食のテーブルを囲む。壁にはかつて愛した女の写真が飾ってあり、そこにはレイの姿があった。しかし、男はそれに気が付いただろうか…。
スタッフ
プロデュース・脚本・監督: 小林政広
協力プロデュース: サトウトシキ
音楽: 佐久間順平
撮影監督: 西久保維宏
照明: 南園智男
録音: 鈴木昭彦
編集: 金子尚樹
記録: 佐藤由子
助監督: 女池充
製作協力: 佐藤啓子
テーマ曲: 『ホテル』MARI(夏木マリ)詞・曲:小西康陽
挿入曲: 『パレード』小島麻由美 詞・曲:小島麻由美
『飾り窓の少女』小島麻由美 詞・曲:小島麻由美
キャスト
深水三章/夏木マリ/中原丈雄/北村康
大森暁美/中野若葉/石倭裕子/芦田由夏/実相寺吾子/大橋吾郎/中西良太
持田雅代/小林亮介/平泉成/安原麗子/ベンガル/隈本吉成/守屋俊志
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