原題:The Charming Girl

悲しみが彼女を美しくする

第55回 ベルリン国際映画祭2005 ネットパック賞(イ・ユンギ) 第9回 釜山国際映画祭2004 ニューカレンツ(最優秀アジア新人作家)賞(イ・ユンギ) 第6回 釜山映画評論家協会賞 新人女優賞(キム・ジス) 第26回 青龍映画賞 新人女優賞(キム・ジス)

2005年3月10日韓国公開

2005/韓国/98分/35mm/カラー/ビスタ/SRD/字幕翻訳:尹春江 配給:ユナイテッド・エンタテインメント

2007年12月25日よりDVDリリース 2006年10月7日(土)、シアター・イメージフォーラムにてロードショー

(C)2005 LJFILM SHOWBOX All Rights Reserved.

公開初日 2006/10/07

配給会社名 0608

解説



29歳女性、郵便局勤務、ひとり暮らし・・・チョンへ。
 
 彼女の日常は、仕事とネコとTV、それと歳月を経ても忘れることの出来ない心の傷・・・。
 時折深い悲しみが彼女を襲うが、そんな時も誰にも相談せず、内に秘めたまま耐えている。
 弱音を吐かず、いつも自分のペースを崩さない彼女の姿は、凛として美しい。
 でも今年の夏、チョンへの中で何かが変わろうとしている・・・。

29歳の平凡な女性チョンヘの日常と心象を丁寧に写し取った『チャーミング・ガール』は、第9回釜山国際映画祭で初上映されるや、映画評論家や映画業界人に口コミで拡がり、2回目の上映では会場に入りきれないくらいの多くの観客を集め、遂にはその年の最優秀新人作家賞を受賞した話題作である。
その後も世界の映画祭で、主演のキム・ジス及び監督が数多くの賞を受賞。インディーズ映画の世界最大の映画祭サンダンス映画祭コンペティション部門への招待、ベルリン映画祭でのNETPAC賞の受賞など、韓国映画界の新世代ムービーとして注目集めた。

“第2のキム・ギドク”と呼ばれる韓国映画の新鋭、イ・ユンギ監督!

本作が長編第一作目となるイ・ユンギ監督は、巧妙な脚本と斬新な映像美でひとりの女性の現在と過去をシンクロさせ、彼女が自力で痛みを克服していくさまをみずみずしい感性で描いた。全編手持ちカメラによる撮影を採用し、チョンヘのわずかな表情、仕草だけでなく彼女の後ろ姿も重視し、顔の表情だけでは図りきれない彼女の心底や彼女をとりまく人々の人間関係を映し出している。
原作は女性を対象にした精神カウンセラー、ウ・エリョン氏による短編小説「チョンヘ」。ウ氏は、複数の対象者の話を組み合わせて、チョンヘという女性を構築した。イ・ユンギ監督は、この小説により日常性を加味してアプローチし、都会生活者の孤独という普遍性をもたせた脚本に仕上げた。

韓国女性の憧れ、“キム・ジス”遂に映画デビュー!

1992年のデビュー以来、数多くのドラマに出演し、定評のある演技力と透明感溢れる美しさで、韓国TV業界で不動の人気を得ていたキム・ジス。「彼女しか考えられない」という監督からのオファーを受け、デビュー13年目にして映画への初出演となった。今回のチョンへ役で“たんたんと生きる等身大の女性像”を見事に演じたことが評価され、シンガポール国際映画祭で主演女優賞に輝いた彼女は、続いて第26回青龍賞新人女優賞も史上最年長で受賞。その実力のほどが認知され、チョ・ジェヒョン共演の『ロマンス』、ユ・ジテ共演の『秋へ』、ハン・ソッッキュ共演の『微熱』と映画主演作3本が立て続けに決定した。
そして、チョンヘに新たな希望を与える作家役のファン・ジョンミンは、演劇界でも名の通った演技派俳優。彼もイ・ユンギ監督からのオファーで出演が決定した。05年以前にもムン・ソリ主演の『浮気な家族』などで映画界でも認知されていたが、彼もキム・ジス同様05年に一気に大ブレイクした。その作品『甘い人生』では、狡猾なやくざ役が評価され各映画賞で助演賞を連続奪取。そして本作に続き、『ユア・マイ・サンシャイン』では一転して純朴な中年男性役で涙を絞る名演を見せた。

韓国アートムービーの雄・LJフィルム

本作品『チャーミング・ガール』を製作し、イ・ユンギ監督が所属するLJフィルムは、『悪い男』や『春夏秋冬…そして春』などキム・ギドク作品の製作で広く知られており、『パイラン』『力道山』のソン・ヘソン監督をはじめとする気鋭監督陣が所属している。イ・ユンギ監督は、大手配給会社ショウボックスとLJフィルムが第2のキム・ギドクを送り出すというコンセプトで、白羽の矢をたてた新鋭である。LJフィルムでは、各国映画祭で話題の『ピーターパンの公式』や『ロマンス』も製作しており、各作品の監督も所属している。

ストーリー





チョンヘ(キム・ジス)は郵便局で働く自立した女性。決して新しくもオシャレでもないマンションの簡素な一室で一人暮らしをしているチョンヘの日常——仕事は真面目に淡々とこなす、職場の同僚たちとは一線を置いたほどほどの付き合い、通販番組でいろんなものを購入してみる、観葉植物に丁寧に水をやる、気が向けば1人でも外食——。恋愛やダイエットに忙しい同僚の女性たちは、そんなチョンヘを「変わってる」と認識し、たまに詮索したりもするが、チョンヘが彼女たちに心を開くことはない。

そんなチョンヘにちょっとした変化が訪れる。マンションの下に捨てられていた子猫が気になり、ついには決心して飼うことにするのだ。最初こそソファーの下からなかなか出てこない子猫だったが、次第にチョンヘになつき餌も食べるようになる。そんな子猫の姿に、知らず知らず亡き母の面影を重ねていくチョンヘ。チョンヘは大好きな母親との暖かい思い出、そして同時に子供の頃受けた忌まわしい傷の記憶を抱えて生きていたのだ。そんな彼女にも、秘かに気になる男性がいることを誰も知らない。度々郵便局を訪れる、作家志望らしい青年のことを、チョンヘは時々目で追っていた。

ある日、彼女のもとをかつての夫が訪ねてくる。ファーストフードでハンバーガーをほおばりながら、元夫は自らの再婚を告げる。そして「どうしてあんなことをしたか教えてほしい」と詰問する。チョンヘは新婚旅行先で夫を置いて1人帰ってきてしまい、その結果離婚に至ったという過去があったのだ。何も答えないチョンヘに彼は、あきらめたように握手を求め去っていく。「随分、年季の入った靴だな。買ってやろうか?」という言葉を残して。
後日、新しい靴を買いに靴屋へ向かうチョンヘだったが、靴屋の男性店員のなれなれしい態度に思わずクレームを入れ帰ってきてしまう。
チョンヘの中で少しずつ何かが変わってきていた。再び郵便局にやって来た青年を外まで追いかけ、声をかけるチョンヘ。「家に食事に来ませんか?」しかし張り切ってスーパーで食材を買い込む彼女だったが、約束の時間になっても彼は現れなかった……。

ある日、1人で外食をしていたチョンヘは偶然、酔っ払ってもめている若者の集団と居合わせる。みんなにののしられ泥酔している1人の男を放っておけないチョンヘ。泣きながら苦しみを告白する男を、黙って抱きしめる彼女だったが、眠ってしまった男のバッグから彼が自殺用に持っていたナイフを抜き取ることは忘れなかった。
チョンヘは決心した。子猫をもといた場所に戻し、ナイフを持ってある場所に向かう・・・。

スタッフ

原作:「チョンヘ」 著:ウ・エリョン
監督:イ・ユンギ
製作総指揮:イ・スンジェ
撮影:チェ・ジンウン
編集:ハン・ソウォン、キム・ヒョンジュ
音楽:イ・ヨンホ
サウンド効果:ジョ・ソンテ
美術:ソ・ミョンヘ
製作:ユン・イルジュン

キャスト

キム・ジス
ファン・ジョンミン
キム・ヘオク
イ・デヨン
キム・ミソン
イ・ミミ
キム・ジュンギ
ソ・ドンウォン
パク・ソンウン
チョン・ソギョン
キム・コッピ
クム・シヒョン
パク・タアナ
チュ・ミジョン
イ・ソヒョン

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す