平成16年度文化庁映画芸術振興事業支援作品

2005年/日本/ビスタ(1:1,85)/DTS/5巻/101分 配給:アウル21

2008年01月09日よりDVDリリース 2006年6月24日より東京都写真美術館ホールにてロードショー  2005年5月21日より沖縄先行ロードショー 石垣市・シネマ石垣:5/21〜6/10 沖縄市・沖縄市民小劇場あしびなー:6/16〜6/18 那覇市・リウボウホール:7/4〜7/18 名護市・名護シアター:7/23〜8/5

(C)映画「ゴーヤーちゃんぷるー」製作委員会

公開初日 2005/05/21

配給会社名 0695

解説


「生きるとは、まぶらい合うこと」 <*まぶらい=まもられる>

個が尊重される現代、他者とのコミュニケーションの在り方は非常に難しい。特に都会では物騒な社会への警戒心、過剰な防御心から、それはより困難なものになっている。そして不登校・ひきこもり・いじめというような事体が多発しているニュースなど現状を見ると、他者との関わり合いに傷付き、恐れ、怯えている大勢の若者たちがいるということである。
主人公・ひろみは、誰も信じられなくなり、不登校を続ける中学生の少女。表に出せない叫びを胸に抱え、一人悩みもがく日々を送る彼女が、メールで会話する青年“ケンムン”の励ましにより、東京から離れ美しい自然の島へ旅する。島の人々との出会いや関わりあいの中で、やがて暖かさに気付き、生きる意味を感じる。
主人公・ひろみに『HINOKIO』(05)や『夜のピクニック』など話題作に出演し、目の強さが印象的な多部未華子。悩みを抱え、次第に心を開いていく微妙な感情の動きを見事に演じている。離れ離れでも強く生きている、ひろみの母親に風吹ジュン。島のダイビングショップで働き、ひろみとメールで会話する青年“ケンムン”に武田航平。また美木良介、下条アトム、新海百合子、大城美佐子などベテラン俳優陣が脇を固める。そして森田健作が企画・出演している。
安心して子供にも見せられて、大人が見ても面白く、親子で話し合える映画があったら・・・、そして原作「まぶらいの島」竹内紘子著/くもん出版(第50回毎日児童小説コンクール最優秀賞作品)に辿りついた。
 原作の舞台は鹿児島県加計呂麻島。鹿児島から沖縄を舞台にしたことにより、タイトルも『ゴーヤーちゃんぷるー』に変更した。(沖縄では、『まぶらう』と言う言葉を使わない。)料理の“ゴーヤーちゃんぷるー”は苦いものも・辛いものも・甘いものも混ざり合うことでおいしくなる。「人間も一人で生きるより、みんなで助け合って人間らしく生きる。」という思いを込めて。

ストーリー



真っ暗な気持ちで歩く学校までの道のり。クラスメイトが完全に自分を無視して通り過ぎていく。鈴木ひろみ(多部未華子)は、シカトのターゲットになっていた。学校では皆がストレスを抱え、次の獲物を探していた。
ひろみは、祖父、泰造(北村和夫)と祖母、ヨリ子(長内美那子)との三人暮らし。二人ともいじめのことは全く知らない。写真家だった父、暁宏(田中隆三)は、海にクジラを撮りに行って事故で亡くなり、母、喜美子(風吹ジュン)は、ひろみが二歳のときに家を出て行った。学校にも家にも味方がいないひろみは、居場所さえ見つけられず、いつしか自分の部屋に引きこもるようになっていた。ドアには二つの鍵がかかり、窓には遮光カーテンが引かれ、外の光は無い。仄かなパソコンの明かりだけのひろみの世界。そんなひろみが唯一本音を打ち明けられるのは、ネットの掲示板で知り合ったメル友のケンムン(武田航平)だった。ケンムンは、西表島のダイバーズショップでインストラクターをしているという。偶然にもその島は、自分を置いて出て行った母、喜美子が住む場所でもあった。ケンムンに会うため、そして喜美子に会うため、ひろみは祖父母に黙って一人部屋を飛び出した。

ひろみを待っていたのは真っ青な空と珊瑚礁の海だった。見知らぬ土地に戸惑っていると島で宅配業を営む吉田サヨ(大城美佐子)に声を掛けられた。ひろみは言われるがままに配達の手伝いをする羽目になる。
小さな島の中で喜美子もケンムンもすぐに会うことができた。でも、ひろみは本名を名乗らない。喜美子は、民宿をしながら幼馴染で医者のシン(美木良介)と一緒にホスピスで看護師として働いていた。ホスピスとは、治る見込みのない病気を抱えた人が、残された人生を最期まで自分らしく生きることを目的として治療を受けられる医療施設である。末期のがん患者である稲江(下條アトム)は、妻の良子(新海百合子)に付き添われ、ホスピスで療養していた。ホスピスの傍らで、喜美子は里親留学をしている子供たちの受け入れもしていた。里子の姉妹である美香(石坂みき)・洋子(谷貝里緒菜)と本当の親子のように笑い合う喜美子をひろみは、遠くからそっと見ていることしかできない。

 大自然に囲まれた開放的な南国の雰囲気と開けっぴろげな性格の人々の優しさに触れるうちに、ひろみの心境に変化が生まれる。やがてひろみは、突き動かされるように母、喜美子のもとに走りだした。本名を名乗り、会いに来たと告げたとき、一度は離れ離れになった母子の命は、時間と距離を越えて途切れることなく再びしっかりと繋がった。
生きることはまぶらい(まぶらう=護る)合うこと。沖縄料理のごーやーちゃんぷるーが苦味のあるごーやーを様々な具材とごちゃ混ぜにして炒めることで美味しくなるように、島では様々な事情を抱えた人々を受け入れ、護り合っていた。人々の愛情を感じ、暖かさに触れたひろみは、次第に生きる力を取り戻そうとしていた。

スタッフ

監督:松島哲也
原作:竹内紘子
企画:森田健作・福山龍次
脚本:松島哲也・宇山圭子
統括プロデューサー:山田朋子
プロデューサー:角田 昇・竹山昌利・伊東雅子
音楽プロデューサー:石川 光
音楽:吉川忠英
主 題 歌:「ティンジャーラ」 唄 神谷千尋
撮影:佐々木原保志
照明:安河内央之
録音:福田 伸
美術:沖村国男
編集:石島一秀
記録:宮下こずゑ
助監督:宮村敏正
後援:沖縄県
製作協力:(株)ジャパンアート アクロスザユニバース(株)
協力:石垣市 竹富町

キャスト

多部未華子
武田航平
大城美佐子
美木良介
下條アトム
新海百合子
土平ドンペイ
石坂みき
谷貝里緒菜
藤村幸子
玉城 満
森田健作
田中隆三
長内美那
北村和夫
風吹ジュン

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