原題:The Libertine

17世紀イギリス。閃光のように現われ、燃え尽きた美しき男。

2005年/イギリス/110分/カラー/アメリカンヴィスタ/ドルビーデジタル/全7巻/10,267フィート/原題:The Libertine 字幕翻訳:佐藤恵子 字幕監修:青井陽治 後援:ブリティッシュ・カウンシル 提供:プレシディオ/アミューズソフトエンタテインメント/メディア・スーツ  配給:メディア・スーツ

2006年11月24日よりDVDリリース 2006年4月8日、テアトルタイムズスクエア、シネセゾン渋谷ほか全国順次ロードショー

(C)2005 STANLEY(IOM)PRODUCTIONS LIMITED.ALL RIGHTS RESERVED. 

公開初日 2006/04/08

配給会社名 0066

解説


いかなる時も権力におもねることなく
欲望がおもむくままに女たちを愛し
怖れることなく自由を愛し続けた男
ジョニー・デップが脚本冒頭の三行で、出演を即決!
ハリウッドのアウトロー的立ち位置を貫きながら、アカデミー主演男優賞に2年連続でノミネートされた、若き大物ジョニー・デップ。彼が「後にも先にも一度しかめぐり合わない作品」と言い切る本作『リバティーン』は、17世紀のある時期を、疾風のごとく駆け抜けた、破天荒の放蕩詩人ジョン・ウィルモットこと第二代ロチェスター伯爵の、短くも壮絶な生涯を綴った物語。フィクションよりはるかにドラマチックなリアル・ドラマだ。
果たしてデップがそこまで惚れ込んだロチェスター伯爵とは、いかなる人物なのか。彼の人生を彩った3人の女たちとは、彼が生涯最も愛した女性とは、そして若くして散った彼の運命とは……。

奔放と引き換えの孤独

1660年代のロンドン。国王チャールズ二世とも親しい第二代ロチェスター伯爵は、挑発的な言動で人々の注目を集め、民衆に与える影響も小さくない。彼の才能を評価する王の期待を敢えて欺くかのように、重要な客人の前で猥褻な詩を披露するなどして、王の怒りを買うことも日常茶飯事だ。そんな彼に愛想を尽かしたくても愛することを止められない妻、なじみの娼婦をはじめ、彼の言動を面白がる悪友らに囲まれ、傍若無人な振る舞いで今日も渦中の人であり続ける。そんなある日、彼は芝居小屋で、一人の駆け出しの女優に出会う。荒削りながら、一目で彼女の才能を見抜いた彼は、ロンドン一の女優に育てようと決意する。それが彼の心を深く乱すことになるとも、思いもせずに……。
いつの時代にも破滅的にしか生きられない、それゆえにひときわ強い魅力を放つ人間がいる。それは時に、周囲の人々の精神をもぐらつかせ、不幸へ道連れにしてしまう。まさにジョン・ウィルモットがそんな人物。そんな彼を中心に、それぞれの愛の形を貫こうとする3人の女性の姿は、共感や尊敬の念や、あるいは驚愕を抱かせ、見る者の心を揺さぶるだろう。しかし何より、あくまでも自由の精神を貫く生き方しかできなかった、彼の堕ちゆく運命に、涙を禁じ得ないだろう。

新旧の才能が結集

名優ジョニー・デップが、本来の端正な美しい顔立ち、そこ滲む色気、野性味、狂気など、ジョニー・デップファンにはたまらない魅力を放ち、女を惹き付けて止まないジョン・ウィルモットに扮した。エキセントリックな役が多かった近年では、久々に「美男・ジョニー・デップ」を堪能できる。しかし何より、やはり彼の確かな演技力には舌を巻く。とりわけ後半、堕ちていく、その鬼気迫る演技は圧倒的だ。
彼が見出す新人女優を演じるのは、『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』でオスカーにもノミネートされたサマンサ・モートン。ジョン・ウィルモットを惹きつける内に秘めた情熱、女優として変貌していく姿、ウィルモットに対する態度や心の変化を、見事に感じさせる絶妙な演技を披露している。
国王チャールズ二世を演じるのは、誰もが認める個性派俳優ジョン・マルコヴィッチ。実は舞台で、ジョン・ウィルモットを演じたマルコヴィッチが、熱烈に映画化を望んだことから、今回の映画化が実現した。本作では、ウィルモットに対する複雑な心情や愛憎、とりわけラストの邂逅シーンで、胸に沁みる名演を見せている。
その他、ウィルモットの妻役に、『007/ダイ・アナザー・デイ』でボンドの敵として、冷淡なフェンシングの達人を演じたロザムンド・パイク。キーラ・ナイトレイ主演の『プライドと偏見』では美しい長女役を演じ、今後の人気が上昇しそうな期待の星だ。娼婦ジェーンを演じたのは、『スパニッシュ・アパートメント』で、主人公のルームメイトをコミカルに演じて注目されたケリー・ライリー。妖艶かつ優しさを、抑えた演技の中で光らせる。その他、ジョンに憧れる若造ダウンズを演じたルパート・フレンドは、早くも美少年ハンターたちの御めがねにかない、人気急上昇中。
監督は、新鋭監督ローレンス・ダンモア。ミュージックビデオやCMなどで活躍してきた彼が、初めて手がけたのが本作だが、その才能はこの1本だけで十分に感じ取れるところだ。先に発表されたBIFA(英国インディペンデント映画賞)では、新人監督賞にノミネートされると共に、アメリカでも「ジョニー・デップの初オスカー獲得は間違いなし!」といった評が映画誌等を賑わしている。

ストーリー



——初めに断っておく。諸君は私を好きになるまい。
男は嫉妬し、女は拒絶し、物語が進むにつれてどんどん私を嫌いになる。
淑女たちに警告。私はところ構わず女を抱ける。
紳士諸君も嘆くことなかれ。私はそっちもいけるから気をつけろ。
……私はジョン・ウィルモット、第二代ロチェスター伯爵。
どうか私を好きにならないでくれ・・・・

 1660年代。科学技術や芸術が急速に発達し、性の自由に対する考え方も大きく発展していった王政復古のイギリス。
 追放されて三ヶ月。ジョン・ウィルモットは恩赦を受け、ロンドンへ戻ることになる。田舎の邸宅を後にし、一緒に向かう妻のエリザベス・マレットはジョンに熱く語りかける。「あなたが私をさらったのも、こんな日だったわ」と。それはジョンの一番のお気に入りのエピソード。「莫大な遺産を相続した18歳の私を、あなたが誘拐し、王が怒って幽閉した」。馬車の中、2人は愛を交わす。
 ロンドンへ戻ったジョンは、主人の金をくすねて殺されそうになっている男”オールコック”を召し抱えることに。演劇談義に花を咲かせる悪友たちがたむろするバーに立ち寄ったジョンは、自分が追放された武勇伝を語って聞かせる。国王チャールズ二世の親族の前で詩を頼まれた際、きわどい性描写に溢れた政府批判の詩を詠んだというのだ。彼の話に、悪友らは拍手喝采。いつものように一同は、芝居小屋へ繰り出す。そこにはジョンの馴染みの娼婦ジェーンもいた。これがジョンの、以前と変わらぬロンドン生活なのだ。
 劇場に国王もやって来る。王はジョンに、むやみに反抗的な態度を取らぬよう忠告する。何食わぬ顔のジョン。舞台が始まると、消え入りそうな声で台詞を吐く女優に、客席は大ブーイング。しかしジョンは、彼女の隠れた才能に気づき、楽屋を訪ねる。そして劇場主に彼女の解雇を撤回させ、自分が演技指導をしたいと申し出る。その女優エリザベス・バリーは申し出を拒絶する。しかしジョンの熱意に押され、しぶしぶ引き受けることになる。
 翌日から、一対一の舞台稽古が始まった。来る日も来る日も、執拗なほど熱心に稽古をつけるジョン。2人はいつしか惹かれあうようになっていた。やがて舞台初日。情感のこもったエリザベス・バリーの演技に、会場は騒然となり、拍手喝采を浴びせかける。彼女は様々な誘いを断り、楽屋でジョンを待ちわびるが、彼が帰ったと聞き、失望に打ちひしがれる。
 ジョンは、自分の心を静めるかのように、ロンドンを離れ、雨の中を田舎の屋敷まで戻っていった。しかしイライラして妻と口論してしまう。遂に夜中、自分の気持ちを爆発させ、バリーの小さなアパートまで馬を駆って戻っていく。「もう自分の気持ちを抑えるのはヤメだ!」。雨の中、ジョンは絶叫する。
 ジョンに手を焼きながらも、彼の才能を高く評価している国王が、フランス大使を招く歓迎式典で、ジョンの戯曲を上演したいと申し出る。かの国からの援助を引き出す、重要な会になるという。ジョンは早速、戯曲の執筆に取り掛かる。ジョンの怠け癖を知っている国王は、密かにバリーに会いに来て、彼の監視と動向の報告をするよう命じる。高額の報償を約束されたバリーは、自らを「ジョンの愛人だが、それ以前に王の臣下」と称して引き受ける。
 舞台稽古が始まったが、あまりの衝撃的な内容に、辞退する者が続出する。それでも初日を迎えた劇場には、王やフランス大使など重鎮がゾロリ。いわば国中が舞台を見つめる中、ジョンは、女性器と男性器に象徴させた、政府をこき下ろす内容の劇を上演し、途中で中止に追い込まれる。王自らが舞台に上がって怒りをぶちまけるが、ジョンは捕まるより先に、煙を使ったマジックで、まんまと舞台から消えうせる。
 数ヵ月後、悪友たちは、場末のバーで、ジョンを慕っていた若者ビリーだけを連れ、酔いつぶれているジョンと再会をする。どこか身体の具合が悪いのか、ジョンは顔に何かデキモノができていた。見る影もなく精彩を失った彼は、追っ手から逃げ回る生活を送っているらしい。久々の再会でしこたま酒を飲んだジョンらは、昔のような悪ふざけで通りをふらつく。酔ったビリーが役人に小便を掛け、その不遜な態度に怒り狂った役人は、いきなり彼を刺す。ジョンは助けるでもなく、ただ呆然と見つめ、逃げるように去っていく。それが彼の評判をさらに貶めていく。
 ますます病気がひどくなっていくジョンを支えるのは、忠実な召使と娼婦のジェーンだけ。それでも偽の医者を装って、人々から金を騙し取って、生活を送っていた。そこへ、彼を見つけ出した王の追っ手が捕らえにやって来る。しかしジョンの姿を見た王は、死刑でもなく、ただ今後一切、お前を無視する、という罰を与える。弟の王子が、陰謀で消されそうになっていることを嘆きながら……。
 もはや自由に歩けなくなったジョンが、何かを決意して、王の弟が弾劾される裁判にやってくる。そして脚を引きずりながら、聴衆の注目を集める中、彼は、遂に口を開いた…。

スタッフ

監督:ローレンス・ダンモア
脚本:スティーヴン・ジェフリーズ(彼自身による舞台劇に基づく)
製作:リアーヌ・ハルフォン、ジョン・マルコヴィッチ、ラッセル・スミス
製作総指揮:チェイス・ベイリー、スティーヴ・クリスチャン、マーク・サミュエルソン
      ピーター・サミュエルソン、ラルフ・カンプ、ルイーズ・グッドシル
撮影監督:アレクサンダー・メルマン
編集:ジル・ビルコック ASE, ACE
プロダクション・デザイナー:ベン・ヴァン・オズ
ヘア&メーキャップ・デザイナー:ピーター・オーウェン
音楽:マイケル・ナイマン
衣装:ディン・ヴァン・ストラーレン

キャスト

ロチェスター:ジョニー・デップ
エリザベス・バリー:サマンサ・モートン
チャールズ二世:ジョン・マルコヴィッチ
エリザベス・マレット:ロザムンド・パイク
ジョージ・エセリッジ:トム・ホランダー
サックヴィル:ジョニー・ヴェガス
ジェーン:ケリー・ライリー
ハリス:ジャック・ダヴェンポート
オールコック:リチャード・コイル
伯爵夫人(ロチェスターの母):フランチェスカ・アニス
ビリー・ダウンズ:ルパート・フレンド

チフィンチ:ポール・リッター
キーオン:スタンリー・タウンゼント
ラトクリフ:ヒュー・サックス
ヴォーン:トム・バーク
ローズ:トゥルーディ・ジャクソン
モリー・ルスコム:クレア・ヒギンズ
ベタートン:フレディ・ジョーンズ
ユイスマンス:ロバート・ウィルフォート
サックスヴィルの使用人:ジェイク・カラン
バリロン:ポール・チャヒーディ
コンスタブル:ケヴィン・ドイル
トルーパー(兵士):モーガン・ウォルターズ
チャプレン(司祭):ニオール・バギー
ビショップ(司祭):ピーター・ハウエル
ブラックロッド(宮内官):T・P・マッケンナ

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す