SPL／狼よ静かに死ね

70年代初頭、ブルース・リーの鮮烈な登場は世界的なカンフー映画ブームを巻き起こし、世界の映画界にマーシャル・アーツ映画という巨大なジャンルを生んだ。
80年代中盤〜90年代中盤、ジョン・ウー監督の『男たちの挽歌』や『狼／男たちの挽歌最終章』によって、香港ノワールの濃厚にエモーショナルな友情と裏切りのドラマとそのバイオレントでスタイリッシュなアクションが世界のアクション映画を変えた。
この30年、世界の“男”の映画は香港映画を中心に回ってきたといっても過言ではない。
そして今、＜マーシャル・アーツ＞と＜香港ノワール＞の見せ場と面白さを極限まで追求し、ついにその頂点を極めた壮絶なる最高傑作が誕生した。
香港映画界の生きる伝説サモ・ハンが初の本格的悪役に挑み、アクション監督も兼ねる『HERO』『セブンソード』のドニー・イェンが『マッハ!』を超える本格アクションを目指して究極のリアル・ファイトを創造、『OVER SUMMER』の俊英ウィルソン・イップ監督が魂を揺さぶる号泣ドラマを描ききる！　常識を超えた見せ場と重量級の見ごたえで圧倒するかつてない興奮と感動、それはまさに壮大なる＜バイオレンス・オペラ＞！
『ＳＰＬ／狼よ静かに死ね』は、香港映画が生んだ新たなる伝説である。

百万弗の夜景の裏に欲望と犯罪が渦巻く街・香港。様々な組織犯罪を陰で操る黒社会のドン、ポーの逮捕に執念を燃やす特別重犯罪捜査班のリーダー、チャンは長年多くの犠牲者を出しながらポーを追い続けてきたが、常にあと一歩のところでポーに法の網をかいくぐられてきた。やがて、チャンと手段をえらばぬ手荒な捜査で上層部も手を焼く暴走刑事揃いの捜査班はついに囮捜査官殺害の実行犯としてポーを逮捕するが、それは証拠を捏造するという一線を踏み越えた手段によるものだった。さらに捜査班のメンバーはある目的のためにポーの麻薬密売の売上金を横領していた。不治の病に冒され引退するチャンに代わって捜査班の新たなるリーダーとして着任した伝説の武闘派刑事マーは、捜査班の違法行為を見抜くが、正義の為に命をかける者たちが報われず、悪がはびこる現実に憤りを感じていた彼は仲間の犯罪を黙認するのだった。だが、チャンたちの偽装工作は露呈し、またしてもポーは釈放されてしまう。そして、ポーの逆襲が始まる。ポーが雇った最強の殺し屋ジェットは、冷酷非情なナイフさばきで捜査班のメンバーを一人また一人と血祭りに上げていく…。チャン、マー、そしてポー。三人はそれぞれの落とし前をつけるときが来たことを悟った。そして、闘争本能を抑えきれない男たちの熱く、激しく、美しい死闘の火蓋が切って落とされ、香港の街は修羅場と化した…。

出演は、香港の暗黒街を牛耳る巨大なるドン、ポーに『燃えよデブゴン』や『プロジェクトＡ』『五福星』などでブルース・リーなき後の香港アクションをジャッキー・チェンと共に引っ張り、ＴＶシリーズ『ＬＡ大捜査線／マーシャル・ロー』ではハリウッドにも進出してその国際的な人気を不動のものにした香港映画界の伝説サモ・ハン。捜査班の新リーダー、マーには『ワンス・アポン・ア・タイム／天地大乱』や『ドラゴン・イン』で華麗なるアクションを披露して“本格派”アクション・スターとして絶賛を浴び、現在は俳優だけではなく監督、アクション監督としても国際的に活躍する『ＨＥＲＯ』『セブンソード』のドニー・イェン。ポーを追い詰める捜査班のリーダー、チャンには『ワイルド・ブリット』、『ザ・ミッション／非情の掟』『トゥーム・レイダー２』など数多くの作品で幅広い役柄を演じている演技派サイモン・ヤム。さらに、殺し屋ジェットには“第2のジェット・リー”として世界的に注目されている大陸出身のニュー・スターで、これが初の現代劇出演となるＴＶシリーズ『新少林寺』や『超酔拳』などウー・ジン。その他、『インファナル・アフェアⅡ　無限序曲』のリウ・カイ・チー、ロック歌手としてカリスマ的人気を持つダニー・サマー、『ツイ・ハークの霊幻英雄伝』のケン・チャン、サモ・ハンの息子で『大阪プロレス飯店』『香港国際警察／NEW POLICE STORY』のティミー・ハン、『ブレード／刀』のオースティン・ウェイらが脇を固める。またドニー・イェン作品におけるドニーの片腕として重要な役割を果たし、近年監督業にも進出している日本人スタントマン、谷垣健治が、スタントコーディネーター兼ポーのボディガード役で出演しているのも見逃せない。
監督は『ＯＶＥＲ　ＳＵＭＭＥＲ』『トランサー　霊幻刑事』の俊英ウィルソン・イップ。製作は『ツインローズ』『ツインズ・エフェクト』のカール・チャン。脚本は『ロンゲスト・ナイト』『ヒーロー・ネバー・ダイ』のセット・カム・イェンと『重装警察』『ツインズ・エフェクト』のン・ワイ・ロン（ジャック・ン）。撮影は『メイド・イン・ホンコン』『ハリウッド★ホンコン』など、フルーツ・チャン監督作品で知られるラム・ワーチュン。音楽は『インファナル・アフェア』シリーズや『頭文字Ｄ』のチャン・クォンウイン。また、“殺破狼”という原題の筆文字をアンディ・ラウが書いている。

　なお、本作は2005年11月、世界に先駆けて公開された香港では初登場1位となる大ヒットを記録、トロント映画祭をはじめ多くの映画祭でも絶賛され、東京フィルメックス映画祭では観客賞を受賞。北米の権利を元ミラマックス社のハーヴェイ・ワインスタインが率いる注目の新会社ワインスタイン・カンパニーが購入したことでも大きな話題を集めている。