原題:Crash

人の“こころ”の断面図を鮮烈に描く、衝撃と感動のヒューマンドラマ誕生。

2005年/アメリカ映画/カラー/スコープサイズ/SRD/上映時間:1時間52分 配給:ムービーアイ・エンタテインメント

2006年07月28日よりDVDリリース 2006年2月11日、シャンテシネ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

2004 Bull's Eye Entertainment. All Rights Reserved.

公開初日 2006/02/11

配給会社名 0366

解説


「触れ合いだよ。街中を歩けば、人と体が触れたり、ぶつかったりする。でもロスじゃ、触れ合いは皆無。人々は金属やガラスの後ろに隠れている。みんな触れ合いたいのさ。衝突し合い、何かを実感したいんだ」

ロサンゼルス、24時──。ハイウェイで起こった一件の自動車事故が、思いもよらない”衝突”の連鎖反応を生み出し、さまざまな人々の運命を狂わせていく…。刑事たち、自動車強盗、地方検事とその妻、TVディレクター、鍵屋とその娘、病院の受付嬢、雑貨屋の主人──。さまざまな階層の、さまざまな人種の彼らは、予想もしない角度で交錯しながら、愛を交わし、憎しみをぶつけ合い、哀しみの淵に立たされる。神の見えざる手によって人生を翻弄される人間たち。ロサンゼルスの36時間の中で沸騰する、彼らの怒り、哀しみ、憎しみ、喜び…。『クラッシュ』は見る者全ての心を震わせる、衝撃と感動のヒューマン・ドラマだ。

 『ミリオンダラー・ベイビー』の製作・脚本でアカデミー賞にノミネートされ、一躍注目を集めた俊英・ポール・ハギスの監督デビュー作であるこの映画は、5月に全米公開されると同時に有力メディアからの圧倒的な好評に迎えられ、ボックスオフィス・ベスト10に6週連続ランクイン。そのままロングランを続け、興収5300万ドルを突破するクリーン・ヒットを飾った。
 また9月に開催された仏・ドーヴィル映画祭ではグランプリを獲得。さらに10月にはハギス監督が、第9回ハリウッド・フィルム・フェスティバルにおいて、ブレイクスルー監督賞を受賞。早くもアカデミー賞他、年末年始の賞レースにおいて、主要部門のノミネートは間違いないと噂されている。

 誰もが主人公であり、誰もが善悪表裏一体の多面的なキャラクターは、ハギスとロバート・モレスコが書き上げたオリジナル脚本に拠る。この知的でしかもアクチュアルに書かれた脚本に魅了され、『デンジャラス・ビューティー』シリーズのサンドラ・ブロック、『ハムナプトラ』シリーズのブレンダン・フレイザーといった主演級の俳優たちを筆頭に、『オーシャンズ12』のドン・チードル、『メリーに首ったけ』のマット・ディロン、『ゴスフォード・パーク』のライアン・フィリップ、『M:I-2』のサンディ・ニュートンら性格俳優、そしてカリスマ・ラッパーの”リュダクリス”など個性豊かなキャストが結集、迫真の競演を繰り広げている。

 劇場用映画初監督のポール・ハギスは、エミー賞受賞歴を持つTV界のベテラン・ライター/プロデューサー。これ見よがしなテクニックや取ってつけたような見せ場を排し、多彩な登場人物それぞれの内面に演出をフォーカス。陰影に富んだ人物像を鮮やかに描き分け、リアリズム描写に徹した切れ味鋭い手腕を発揮している。
ロスの夜景を鮮烈に捉えた撮影は、『ワイルド・レンジ 最後の銃撃』の新鋭ジェームズ・ミューロー。音楽は『リバー・ランズ・スルー・イット』『ツイステッド』の名手マーク・アイシャムが手掛け、そのアンビエントな音響設計が映画をファンタジックに彩っている。

 人は皆、傷つけ、傷つけられることを恐れながら生きている。それでも人は誰かと想いを分かち合いたい、誰かと繋がっていなければ生きていけない──。『クラッシュ』は”天使の街”ロサンゼルスの寓話であるとともに、現代を生きる私たち自身の物語でもあるのだ。

ストーリー



 冬、クリスマス間近のロサンゼルス。深夜のハイウェイでLAPDの黒人刑事グラハム(ドン・チードル)と同僚でスペイン系の恋人のリア(ジェニファー・エスポジト)は、交通事故に巻き込まれた。車から降り立ったグラハムは、偶然事故現場脇で発見された、若い黒人男性の死体の捜査に引きつけられた…。

 その前日──。ペルシャ人の雑貨店経営者ファハド(ショーン・トーブ)と娘のドリ(バハー・スーメク)は、銃砲店でイラク人と間違われ、口論になった。護身用の拳銃を買いに行ったのは、自分の店が度々強盗に遭うことからだった。娘のとりなしでなんとか銃を買って帰宅したが、頑固なファハドは、鍵屋のダニエル(マイケル・ペニャ)が入口の鍵を直してもドアの建てつけを直さなければ駄目だ、という意見に耳を貸さなかった…。

 夜のウェストウッド。若いアフリカ系黒人のアンソニー(”リュダクリス”)とピーター(ラレンツ・テイト)は肌の色の違いで差別されることにイラついている。2人を見た瞬間怯えたような素振りを見せた白人女性ジーン(サンドラ・ブロック)に腹を立てた2人は、彼女とその夫で地方検事のリック(ブレンダン・フレイザー)が車に乗り込むところへ銃を突きつけ、車を強奪し逃走した。しかし慌てていた2人は、車を走らせている最中、暗い路地で老いた韓国人男性を轢いてしまう…。

 白人警官のライアン(マット・ディロン)は職歴17年のベテランだが、実は人種差別主義者である。夜、ヴェンチュラ通りをパトロール中、ライアンは黒人の裕福な夫婦、TVディレクターのキャメロン(テレンス・ハワード)と妻のクリスティン(サンディ・ニュートン)に故なき怒りの矛先を向けた。車から降ろされた2人は容疑者扱いされた上に、クリスティンは身体をまさぐられ酷い屈辱を受けた。それを見守っていた同僚のハンセン巡査(ライアン・フィリップ)は不快を覚えて意見するが、ライアンは全く意に介さない・・・。

 奪われた車の車内に自宅の鍵も残していたジーンとリックは、強盗に入られることを恐れ、ダニエルに家の全ての鍵を代える修理を頼んでいた。情緒不安定なジーンは、ヒスパニック系で貧しい身なりのダニエルに冷たい視線を向けていた。いわれなき誤解から無力感を抱えてダニエルが帰宅すると、幼い娘のララがベッドの下に隠れていた。引越して来る前に住んでいた地域では頻繁に銃撃沙汰があり、銃声がしたらベッドの下に隠れろと言われていたのだった。ダニエルはララを安心させるため、弾丸を絶対通さない”透明マント”を着せて娘を寝かしつけた…。

 パトロール中のライアンは、大通りで渋滞に巻き込まれる。渋滞の先を見ると噴煙が上がり、事故があったことが明らかだ。パトカーを降りて転倒しているBMWの側に駆け寄り車内を確認すると、運転していたのはクリスティンだった。シートベルトが絡まり身動き取れないクリスティンを何とか助けようと必死のライアン。ライアンの顔を思い出し、忌まわしい記憶が蘇り、あくまで抵抗するクリスティン──。そして漏れたガソリンが引火して、ついに車は爆発した…。
 朝、ファハドが店に行くと、店は強盗に入られ店内は目も当てられない惨状を呈していた。保険会社を呼び状況を説明したものの、鍵屋からの”ドアを直すべき”という忠告を聞き入れなかったファハドは、保険金を受け取れないことを聞かされる。激怒に我を忘れたファハドは、拳銃を手に取るとダニエルの家へと向かった。家の前で帰宅を待ち構えていたファハドは、車を降りてきたダニエルに近づき、拳銃を向けた。父を迎えに出てきた娘の姿に気付かずに。その瞬間、銃声が鳴り響いた…。

 愛が擦れ違い、哀しみが砕け散る。さらに激しい”衝突”が果てしなく繰り返されていく──。

スタッフ

監督/原案:ポール・ハギス
脚本/製作:ポール・ハギス、ボビー・モレスコ
製作:キャシー・シュルマン、ドン・チードル、ボブ・ヤリ、マークR・ハリス
製作総指揮:アンドリュー・レイマー、トム・ヌーナン、ジャン・コルベリン、マリーナ・グラシック
共同製作:ベッツィ・ダンバリー
撮影監督:マイケル・ミューロー
プロダクション・デザイン:ローレンス・ベネット
衣装デザイン:リンダ・バス
編集:ヒューズ・ウィンボーン
音楽:マーク・アイシャム
挿入歌:"イン・ザ・ディープ"byバード・ヨーク
エンディング:"メイビー・トゥモロウ"byステレオフォニックス

キャスト

ジーン:サンドラ・ブロック
グラハム:ドン・チードル
ライアン巡査:マット・ディロン
リア:ジェニファー・エスポジト
フラナガン:ウィリアム・フィットナー
リック:ブレンダン・フレイザー
キャメロン:テレンス・ハワード
アンソニー:クリス"リュダクリス"ブリッジス
クリスティン:サンディ・ニュートン
ハンセン巡査:ライアン・フィリップ
ピーター:ラレンツ・テイト
カレン:ノナ・ゲイ
ダニエル:マイケル・ぺニャ
シャニクア:ロレッタ・ディヴァイン
ファハド:ショーン・トーブ
グラハムの母:ビヴァリー・トッド
ディクソン警部補:キース・デヴィッド
ドリ:バハー・スーメク

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