原題:MY FATHER - Rua Alguem 5555

2003年/英語/イタリア=ブラジル=ハンガリー合作/112分/カラー 配給:アルシネテラン

2005年11月25日よりDVDリリース 2005年7月2日より、銀座シネパトスにて衝撃のロードショー

ビデオ時に変わった場合の題名 死の天使 アウシュヴィッツ収容所 人体実験医師

公開初日 2005/07/02

配給会社名 0013

解説



1985年夏、ドイツの週刊誌Bunte Illustrierteは、ナチ戦犯者ヨゼフ・メンゲレの人生と死亡説を報道した。その記事はメンゲレの息子からの情報提供に基づいていた。彼は父親の未公開文書、手紙、そして写真などを提供し、インタビューでは父親との難しい関係や、父親のブラジルの隠れ家を8年前に訪れたときの詳細を語っている。この記事を元に、フィクション的な要素を組み入れながら書かれたのが、本作の原作である、ペーターシュナイダー著「Vati」(父)である。「マイ・ファーザー」の脚本協力でもあるシュナイダーがこの原作について、「自分自身の歴史に耐えることが出来なかった息子の物語」と語っているように、本作はいまだ解き明かされていない”見えない戦争の傷跡”に迫る作品である。監督は語る。「ヘルマンが経験したドラマは、彼と同世代の人達が共有するドラマなのです。ヘルマンが『名字以外に何が父と自分をつなげているのか』を問い続けたように、彼らは背負った過去から解き放たれることが出来ないのではないのかと思います。”罪無き者の一生涯の罪”これが彼らの世代の共通意識といえるのではないでしょうか?」

演技派俳優陣の豪華競演も本作の見所のひとつである。ヨゼフ・メンゲレ役には、往年の大俳優チャールトン・ヘストン。アカデミー主演俳優賞を受賞した「ベン・ハー」、「十戒」など1950年代から活躍してきたベテラン俳優が今回演じるのは、実在した医師で”死の天使”と恐れられたヨゼフ・メンゲレ。本作で放つヘストンの圧倒的な存在感と迫真の演技は必見である。息子のヘルマン役にはトーマス・クレッチマン。「戦場のピアニスト」でのドイツ軍将校役で注目を集めたあと、「ゴッド・ディーバ」、「トリコロールに燃えて」などの話題作に続々出演。現在はピーター・ジャクソン監督の「キング・コング」の撮影に入っている。本年度のアカデミー外国語映画賞ノミネート作品「ヒトラー〜最期の12日間〜」の日本での公開も控え、今後ますますの活躍が期待されるクレッチマンが、息がつまるほどの苦悩を抱えた息子役を見事に演じきっている。また、「アマデウス」でのサリエリ役で、アカデミー主演男優賞を受賞したF.マーレイ・エイブラハムが、ヘルマンを問い詰める弁護士役として登場。被害者側の代弁者という難しい役どころを、その確実な演技力で熱演している。

ストーリー

1985年6月、ブラジル、マナウス。この町の郊外の小さな墓地で白骨死体が見つかった。アウシュヴィッツ収容所で数々の人体実験を行い”死の天使”と呼ぱれ恐れられ、戦後30年にも及ぶ逃亡生活をし続けたヨゼフ・メンゲレ。果たして、この遺体は本当に彼のものなのか?このセンセーショナルな事件を記録におさめようと、世界中の報道記者、カメラマンやTVクルーが、殺到した。群衆の中には、被害者であるユダヤ人、アメリカ人弁護士ポール・ミンスキーそして、メンゲレの息子ヘルマンの姿もあった。かつてナチによってつけられた、ユダヤ人の印を腕に持った女性がヘルマンに向かって叫ぶ…「人殺し1父親が人殺しなら息子も同罪だ!」

1977年1月、ブラジル、マナウス。埃っぽい熱さがアルゲン通りを覆っていた。情け容赦無く照りつける太陽の下、35歳のヘルマンは実の父親と対面しようとしていた。それは歴史と運命によって、普通の生活を送ることができなかった親子の初めての対面であり、ヘルマンにとっては苦悩と葛藤の日々の始まりだった…。

30年以上も逃亡生活を続けているメンゲレの住まいは、マナウスのアルゲン通り5555番地にある質素な家だった。メンゲレはそこで彼を匿う人々に守られながら生活していた。

弁護士ポール・ミンスキーは、息子のヘルマンが父親の死を偽装しているのではないかと疑いをかけた。ニューヨーク・ユダヤ人協会はアウシュヴィッツ収容所で行われていた、医師たちによる残酷きわまりない人体実験から奇跡的に命を取り留めた双子たちの、損害賠償請求のために、ミンスキーを雇ったのだった。ミンスキーの目的は2つ、被害にあった双子の治療のためにメンゲレのカルテを入手すること。そして、ドイツヘ損害賠償を請求するために、メンゲレが本当に死んだのかを確認することだった。

ミンスキーとの長い沈黙の後、ヘルマンは8年前に初めてマナウスで対面した父親との日々についてゆっくりと語り始める…

ヘルマンは問う。「父さんを理解しにきた。僕は今日まで色々な話を聞かされ続けた。そろそろ人の噂ではなく本人の話が聞きたい。」しかし、父メンゲレは自らの罪を決して認めはしない。「私はただの遺伝学者だ。国から与えられた使命をまっとうしただけだ」と。

幾度となく繰り返される父と息子の衝突。あの時、本当は何が起きていたのか一真実を知ることで、血のつながった父親を理解したいと望むヘルマン。一方、自分は決して問違った事はしていないと主張する父親。2人の対話は平行線を辿る一方で、ヘルマンの心は次第に絶望へと変わっていく…

スタッフ

監督:エジデイオ・エローニコ
製作:ゲラル・ド・パリエイ
脚本:エジデイオ・エローニコ
   アントネッラ・グラッシ
脚本協力:ファビオ・カルピ
     ペーター・シュナイダー
原作:ペーター・シュナイダー
   「Vati」(Rewohlt in Reibek刊)

共同製作:イアファ・ブリッツ
     マルク・ベッヒャー
     バルキリア・バルボザ
     アーロン・シポシュ
製作監修:リヴィオ・ネグリ
撮影:ヤーノシュ・ケンデ
追加撮影:ゲラルド・ゴッシ
編集:ライモンド・アィェッロ
音楽:リッカルド・ジヤニ
美術:エットレ・グエッリエーリ
衣装:マリア・ベァトリス・サルガド
補足美術:ルイージ・クインティリ
補足衣装:パトリツィア・チャイラノ
歴史顧問:マルチェッロ・ペッツェッティ
現代ユダヤ記録センター(CDEC)
配役:シェイラ・ルーピン
製作顧問:カサンドラ・ガヴァ
製作担当:マリサ・グリエコ
製作監修:ジョン・チェザロニ
録音:シルヴィオ・ダ・リン
   アレッサンドロ・ドニ

キャスト

チャールトン・ヘストン
トーマス・クレッチマン
F.マーレイー・エイブラハム
トーマス・ハインツェ
ドニーズ・ワインベルク
オディロン・ヴァーグナー
カミロ・ベビラクワ
マリット・ニッセン
ペトラ・マリア・ラインハート

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