原題:Ae Fond Kiss

私が信じるもの あなたが信じるもの アイルランド人の音楽教師とイスラム系移民二世のDJ、 二人がたどったあまりに切なく美しい愛の奇蹟。

2004年ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品作品

2004年/イギリス=イタリア=ドイツ=スペイン/104分/カラー/1:1.85/ドルビーSRD 配給:シネカノン

2006年01月27日よりDVDリリース 2005年5月7日よりアミューズCQNにて感動のロードショー

公開初日 2005/05/07

配給会社名 0034

解説


●その時、愛を選ぶか? 家族を選ぶか?
 スコットランドのグラスゴー。カソリックの高校で音楽を教えるロシーンは、聡明で自分の意志をしっかりと持った魅力的な女性だ。ある日彼女は教え子の兄でパキスタン移民二世のカシムと知り合う。カシムはグラスゴーで最先端のクラブでDJとして働きながら、将来自分のクラブを経営することを夢見ている。二人はすぐに深く愛し合うようになるが、厳格なイスラム教徒であるカシムの父親は異教徒との結婚を許さず、美しい従姉妹のジャスミンを婚約者にj決めてしまう。またロシーンも厳しいカソリックの教えのもとで、カシムとの事が原因で仕事を辞めなければならなくなる。そしてその頃、カシムの家族はある決断を下していた。果たして二人の愛のゆくえは?

●巨匠ケン・ローチが描く珠玉のラブストーリー
 自立しながらも心は満たされることのなかった女性が、やっとつかんだ小さな幸せ。しかし彼女が愛したのは、古いしきたりが根強く残る移民社会に生まれた男性で、二人の前には大きな困難が立ちはだかっていた。巨匠ケン・ローチが爽やかに描く珠玉のラブストーリーは、今や日本でも決して珍しい事ではなくなってきた国際結婚をモチーフとして、家族や世代、そして文化、宗教に関する問題を背景に、真実の愛を貫こうとする二人が観る者全ての胸に深い感動を刻み込む傑作だ。ベルリン国際映画祭ではケン・ローチが初めて本格的に取り組んだ恋愛映画に惜しみない拍手が湧き起こり、それは長い間鳴り止むことはなかった。そして記者会見場は興奮した多くのジャ−ナリスト達で溢れかえり、入り切れない人々が続出した。
 
●瑞々しい演技を支える深みのある円熟の技
 主演にはまだ無名のエヴァ・バーシッスルと演技初体験のアッタ・ヤクブが抜擢されたが、ケン・ローチ監督の演出によりリアルで瑞々しい2人の演技がフィルムに焼き付けられている。監督の演出を支えるのは、前作『SWEET SIXTEEN』でカンヌの脚本賞を受賞したポール・ラヴァティをはじめ、撮影のバリー・エイクロイド、音楽のジョージ・フェントン、美術のマーティン・ジョンソンなどここ数本変わらずローチ作品で共同作業を共にしているスタッフが集結し、円熟の技で深みのある映像を創り上げている。また原題の「Ae Fond Kiss…(やさしいキス)」は、劇中で演奏される歌の曲名で、その詩はスコットランドが誇る詩人ロバート・バーンズによるものだ。またバーンズは「蛍の光」の原詩の作者としても有名である。

ストーリー


スコットランドのグラスゴー。カソリックの高校で音楽を教えるロシーンは、聡明で自分の意志をしっかりと持った魅力的な女性だ。ある日の放課後、コンクールのための個別レッスンをしていると数名の生徒が騒々しく音楽室に駆け込んでくる。どうやらパキスタン移民二世の女子生徒タハラが白人の男子生徒たちにからかわれたことが発端らしい。すぐに事情を察したロシーンは男子生徒を追い返し、怒りに震えて泣いているタハラを優しくなだめて落ち着かせる。そのタハラの傍らには妹を迎えに来た兄のカシムがいた。これがロシーンと彼との出会いだった。

数日後。ロシーンが仕事を終えて学校を出るとカシムの姿があった。先日の騒動で壊したギターを弁償しに来たのだと言う。そんなカシムに好感を抱いたロシーンは、グランドピアノの運搬を頼む。実は彼女には別居中の夫がおり、大事なピアノを夫のもとから移動したいと思っていたのだ。二つ返事で引き受けてくれたカシムに誘われたロシーンは、その晩グラスゴー最先端のクラブで彼のDJに耳を傾ける。そしてカシムは彼女に、親友ハミッドと共に自分たちでクラブを経営しようと思っていると夢を語る。互いに惹かれるものを感じた二人が愛し合うようになるのに、時間はかからなかった。家柄も良く将来有望なパキスタン人の青年アマールー家がカシムの家を訪ねて来る。親の反対をよそにエジンバラの大学に行ってジャーナリストになることを目指すタハラとは対照的に、姉のルクサナは敬度なイスラム教徒である両親の決めたこの縁談を当然のこととして受け入れている。そして実は、カシムにも両親が決めた婚約者がいる。

9週間後にパキスタンからやって来る従姉妹のジャスミンだ。彼の父親は息子の結婚を喜び、商売の合間を見ては息子夫婦のための新居増築に大忙しだし、ルクサナの縁談も重なって一家はおめでたいムードに包まれている。ましてや移民としてこの国にやって来て以来、白人から差別を受けて続けてきて、同族のコミュニティーを重んじている古風で厳格な両親が、白人女性と付き合うことなど許すはずがない。カシムは家族にもロシーンにも本当のことを言い出せずにいた。

夏休み。学期末に校長から正教員の誘いを受けて喜ぶロシーンがスペインヘの旅行を決めてくる。内緒で出かけた二人はそこで初めて互いについてゆっくりと話し合い、ロシーンは若くして一度結婚したのは家族のいない孤独から逃れるためだったと正直に告白する。そしてカシムも悩んだ末、ついに婚約者ジャスミンのことを打ち明けた。衝撃の事実に、今まで黙っていたことを激しく責めるロシーン。ただ謝ることしかできないカシムだったが、この出来事であらためて互いへの深い愛に気付いた彼は家族にロシーンのことを話し、ジャスミンとの結婚を断ろうと決意する。しかし帰国後、着着とでき上がっていく新居や、姉の結婚も決まって喜ぶ両親を前にしてカシムの気持ちは揺れ動くのだった…

スタッフ

監督;ケン・ローチ
脚本:ポール・ラヴァテ
撮影:バリー・エイクロイ
編集:ジョナサン・モリス
音楽:ジョージ・フェント
録音:レイ・ベケット
美術:マーテイン・ジョンソ
衣装:キャロル・K・ミラ
製作総指揮:ウルリッヒ・フェルスベル/ナイジェル・トーマ
プロデューサー:レベッカ・オブライエ

挿入歌:「奇妙な果実」/ビリー・ホリデイ

キャスト

エヴァ・バーシッスル
アッタ・ヤクブ
アーマツド・リアス
シャムシャド・アクタール
シャバナ・バクーシ
ギザラ・エイヴァン
ゲイリー・ルイス
デヴィッド・マッケイ
シャイ・ラムザン
ジェラルド・ケリー
ジョン・ユール
スンナ・ミルザ
パーシヤ・ボカリー

LINK

□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す