原題:The Emperor's Journey

3億5000万年前の氷で覆われた南極大陸、マイナス40℃。 時速250kmのブリザードの中、120日間絶食して子供を育てる、皇帝ペンギンの物語。

2005年/フランス/ビスタサイズ/86分/ ギャガ・コミュニケーションズ Gシネマグループ配給

2005年7月23日、全国拡大公開、7月16日より恵比寿ガーデンシネマにて先行ロードショー

(C) jerome maison/bonne pioche

公開初日 2005/07/16

配給会社名 0025

解説


南極に冬の気配の訪れを感じ始めた、ある日。皇帝ペンギンたちは、自由と安息を約束する海を離れ、営巣地へ向けて100キロ近い行進をはじめてり。まるで神の手にみちびかれるかのように……。
2005年1月26日、フランスで公開されるや否や『WATARIDORI』『ディープ・ブルー』の大きく上回る大ヒットを記録。フランス全土に感動の嵐を巻き起こしたドキュメンタリーの傑作が登場した。『皇帝ペンギン』は、南極という極寒の大自然の中で、皇帝ペンギンたちが粛々と、生命を懸けて親から子へと命を繋いでいく営みを感動的に描いた、壮大なドラマである。”皇帝”の名にふさわしく、零下40℃の過酷な自然環境の下、新しい命を育む大冒険に挑む彼らの姿は、力強く、神秘的で、ときに優雅さすら感じられる。

数々の困難を乗り越え、親から子へ命を継いでいく皇帝ペンギン
皇帝ペンギンたちの行進する目的は、ただひとつ、種の存続だ。眼前に立ちはだかる氷丘や氷塊、強風吹きすさ氷原を、短い足を不器用に動かしながら、ときに腹ばいになって氷を滑り、歩んでいく困難な道のり。営巣地に辿り着いたペンギンたちは、愛を交わす唯一のパートナーをみつけるため、愛の儀式ともいうべき求愛のダンスを繰り返す。そして授けられる新しい命。だが卵を産み落とし、体重の1/5を失うほどにやせ細ったメスたちは、やがて生まれ出る、まだ見ぬ我が子のため、餌を求めて群れを離れなければ成らない。その間、卵を託されたオスたちは、120日間に及ぶ絶食と、じそく250km以上の激しいブリザードに身をさらされながら、ひたすら我が子の命を守り続ける。旅立っていったパートナーが、必ず帰ってくることを信じて…

撮影時間8880時間。未体験の南極の稀有な映像の数々
監督を務めたのは、動物行動学の研究者であり、主に南極を舞台にした数々の科学ドキュメンタリーを手がけているリュック・ジャケ。ポール・エミール・ヴィクトール仏局地研究所の協力のもと、4年間の準備期間を経て南極に飛んだ彼は、8880時間分のフィルムをまわし、皇帝ペンギンたちの愛らしくも威厳に満ちた姿を、余すことなくカメラにおさめた。新しい命を外敵の危険から守るため、こんなにも壮絶な繁殖活動を行うのは、数あるペンギンの中でも、唯一皇帝ペンギンだけである、通常、皇帝ペンギンは、単独もしくは少数で行動することが多いため、その姿を人前にさらすことはあまりなく、これだけ一度に多くの彼らを間近で捕らえた映像は、生物学的にみても大変貴重な映像といえるだろう。映し出されるのは、人間の想像を遥かに超えた未知なる自然の驚異である。大海を覆う海氷と3億5000万年前の氷床からなる南極大陸の壮大なスペクタクル。そこには夫と妻、親と子の、本能に基づいた愛と信頼の絆の原型がある。愛すること、信じることが、ダイレクトに生きることと結びつく世界が、存在するのだ。そんな生物としての原風景と、子ペンギンの無条件の愛らしさは、疲弊した現代人の心を癒す作用すらある。

フランスを代表する豪華俳優陣の競演
作品の感動を高めるナレーションを担当しているのは『伴奏者』のロマーヌ・ボーランジェ、『リディキュール』のシャルル・ベルリング『ぼくセザール10歳半1m39cm』のジュール・シトリュックというフランス映画界を代表する顔ぶれ。母ペンギン、父ペンギン、子ペンギンの心の声として語られる彼らの言葉は、歌うように美しい戦慄を帯び、数々の奇蹟の瞬間を捉えた映像にボエティックな趣を与えている。
ナレーションと共に、作品にドラマティックな味わいを醸し出す音楽は、フランスで活躍するエミリー・シモンが担当。一面を真っ白な氷で覆われた南極の情景と呼応するピュアなメロディーラインは、生の喜びが弾け出るような印象的なテーマ曲となって、生命を継ぐ物語を大いに盛り上げている。

ストーリー

キャラバンの長い行進

南極に冬の兆しが訪れる三月。ほとんどの生き物が北に向けて移動を開始するなか、このちにとどまり、南への旅を始める者達がいた。艶やかな黒い燕尾服をまとった皇帝ペンギンだ。海中から雷魚のように飛び出し、棚水に着地した彼らは、真っ白な氷の砂漠を行くキャラバンのように、隊列を組んで行進を開始する。目指すのは、彼ら自身の生誕の地でもあるオアモック(氷丘のオアシス)。北側を島々、南側を大陸の断断崖に囲まれたその地は、数百メートルにわたってアイスバーグ(氷山)が続き、外敵すら容易にちかづくことはできない、南極の中で唯一、皇帝ペンギンが安心して子供を産み、育てられる場所なのだ。
20日あまりの行進の末、オアモックに辿り着いたぺんぎんたちは、何千羽といる群れの中から、その年、唯一の結婚相手を選ぶために、求愛と歌に興じる。自分をアピールするための挑発的な泣き声と官能的なポーズが、群れのあちらこちらで繰り広げられる…。そして5月の終わり、ようやく愛の結晶が産み落とされる。産卵を終えたメス達は、それぞれのパートナーに大切な卵を託すと、これから生まれる雛と自分の命の糧を求めて、再び100キロ近く離れた海へと旅立ってゆく。


たそがれの行進
月の進行
飢えた者の行進
自由な雛の行進
別れの行進

スタッフ

監督・脚本:リュック・ジャケ 
脚色:ミシェル・フェスレール 
撮影:ロラン・シャレー/ジェローム・メゾン 
音楽: エミリー・シモン 
製作:イヴ・ダロンド/クリストフ・リウー/エマニュエル・プリウー 

キャスト

ロマーヌ・ボーランジェ
シャルル・ベルリング
ジュール・シトリュック

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