原題:Second Chance

「チャンスは、一生に一度だけじゃない」 と思った時、女は輝きだす

1999年日本映画/提供:(株)ダイアナ/製作:シネカノン/製作協力:ケイファクトリー/配給:東映・シネカノン/宣伝:トライアル

1999年11月27日より全国東映系にてロードショー!

公開初日 1999/11/27

配給会社名 0004/0034

解説

誰だって「もし、もう1度人生をやり直せたら……」と悔やむ瞬間がある。
 誰だって「今までの人生に区切りをつけて、新しいステキな人生を歩みだそう!」と決断するときがある。
 女性が積極的に社会に進出するようになってずいぶん経つが、その分、泣きたくなるようなツラいこと、さまざまな苦悩も増え始めた。そんな中でもガンバリ続ける女性たちに贈る、元気のもととなるような作品が『セカンドチャンス』だ。酸いも甘いも経験して、傷ついたり傷つけたりしながら生きてきた、20代、30代、40代のそれぞれ異なった職業を持つ女性たち。彼女たちが再び人生に訪れた2度目のチャンスを三者三様に経験し、時に笑い、時に泣き、元気に前向きに歩んでいく女性たちの生き方を綴ったオムニバス・ストーリー。決して大袈裟なドラマではなく、日常のちょっとした中に起きる人生の転機を正面から受け止めていく等身大のヒロインたちの姿を、3話とも心優しいタッチで見守っている。女性なら誰もが、3人の主人公の誰かに「あ、その気持ちわかるわかる」と共感でき、思わず自分自身を見つけたような親しみと元気を与えてくれる作品だ。
 エピソード1は、なかなか素直になれない20代のヒロインのラブストーリー。口では強がりながらも失恋の痛手を引きずる女性を、臨場感タップリの演技で見せるのは『うなぎ』の清水美砂。彼女の心をとらえて離さない元恋人を演じるのは、『SADA』など大林監督作品の常連組でもある林泰文。『ひき逃げファミリー』などで知られる水谷俊之が監督を手掛け、ヒロインの揺れ動く心を見事に映像に写し出している。ちなみにヒロインの清水美砂と水谷監督は江戸川乱歩原作の『人間椅子』でも組んだ仲。今回も彼女の魅力を最大限に引き出している。
 エピソード2は、5年前に別れた不倫相手と予期せぬ再会をはたした30代女性の物語。ちょっぴりすれっからし風なヒロインに扮するのはNHK連続テレビ小説『すずらん』などでもおなじみの鈴木砂羽。今ひとつハッキリとものを言えないでいる不倫相手には、味のある演技は定評がある橋爪功。個性的な2人の共演は見どころのひとつだ。監督は『湾岸バッドボーイブルー』の富岡忠文。
 エピソード3は、離婚した40代の女性がひょんなことから娘の結婚式でかつての夫と再会するハメになるというストーリー。ヒロインを演じるのは倍賞美津子。円熟した演技で突然の再会に驚かされながらも、娘の結婚に際して動揺した気持ちを抑えようとする役柄を熱演している。別れた夫を演じるのは『カンゾー先生』での名演がまだ記憶に新しい柄本明。売れない漫才師役を悲哀も混ぜつつ、見事に演じている。こちらもエピソード2に引き続き、富岡忠文がメガホンを握る。
 オムニバス形式であり、3話とも異なる話ではあるのだが、それぞれの物語のヒロインたちが別の話でもチラリと出演することで統一感あふれるイメージを醸し出しているのもポイントだ。

ストーリー

エピソード1
縁があれば人と人は千里を隔てても出会うことができる。
その出会いは偶然ではない……

 28歳の山本華(清水美砂)は、ウェディングドレス専門店のスタイリスト。プライドが高くて気持ちをキチンと言えず、意地を張ってしまう華は、最近、恋人の青島(林泰文)と別れたぱかり。失恋の痛手をずっと引きずっている。
 そんなとき、青島が婚約者・美登利(麻生久美子)、美登利の姉・友佳子(長田江身子)とともに華の店へやってきた。華が青島の元恋人と知ってか知らずか、やたらと華に突っ掛かる美登利。華も美登利に対してムッとしっぱなし。ついにはケンカとなって華が客である美登利の頬を叩いてしまったりと大変な騒ぎに。でもケンカをキッカケに華は自分がいかに青島を愛していたか、そしてもうすべては遅いことを改めて思い知らされる。
 ところがその夜、よく飲みにいく店に向かった華は、カウンターに青島が座っていることに驚く。しかも青島から「俺は今でも華が好きだ」と告白されてしまい……。

エピソード2
5年前に別れた不倫相手との偶然の再会が、女の心に熱い火をつける……

 橘夕理(鈴木砂羽)はフケあって”関東運転代行サービス”の仕事をしている32歳の独身女性。その夜もいつものように酔客のもとに向かうと、そこにいたのは5年前に別れたかつての不倫相手・西生貫(橋爪功)と、ぐでんぐでんに酔っ払った部下の原田(勝村政信)だった。
 部長の西生に転勤の命令が下ったため、送別会が行われたのだ。その帰り、西生は”運転代行業”に電話したのだった。やがて原田の提案で、ひょんなことから夕理と西生が出会った思い出の場所、ワインしか置いてない不思議なおでん屋に向かうことになる。けれどもおでん屋はいつの間にかコンビニエンスストアに変わっていた。さらに2人がよく通ったビアノ・バーも閉店を。5年の歳月をかみしめる2人。だがその再会もつかの間、何者かが夕理の事を追ってきた。実は夕理は3000万円の借金がもとで取り立て屋に追われていたのだ。そして突然、夕理は西生に「私と逃げて」と逃避行をうながす……。

エピソード3
娘の結婚式の司会者としてやってきたのは、なんと18年前に別れた夫だった!

 女性を心身共に美しくするサロンのチーフ・麻宮雪乃(倍賞美津子)は47歳。今日は離婚して女手ひとつで育ててきた娘・香奈(野波麻帆)の結婚式だ。ところがよりによって、香奈の結婚式に司会者として現れたのは、雪乃の別れた夫、中島慎太郎(柄本明)だった!
 慎太郎は現在、”天晴兄弟”(あっぱれブラザース)の名で相方の健児(有園芳記)とともに売れない漫才を続けていた。たまたま、同じ事務所の芸人で結婚式の司会をするはずだった大谷が事故を起こして足にケガを負ったため、その代役として結婚式にやってきたのだ。まさか娘の結婚式であるとは夢にも思わず……。
 だが驚いたのは雪乃も一緒。18年ぶりに出会った慎太郎に戸惑いを隠せない。しかも香奈があまり嫁ぎ先の親戚に心良く思われていないと知った慎太郎は、そのことについてなにかと雪乃にアドバイスをしてくる。そんな慎太郎の助言にイラ立った雪乃は……。

スタッフ

監督:水谷俊之、富岡忠文
脚本:山田耕大、大石哲也、櫻井武晴
製作:大原逸男
プロデューサー:李鳳宇、齋藤勇司
撮影:村石直人
照明:高柳清一
録音:野中英敏
美術:丸尾知行
編集:菊池純一
音楽:澄淳子
助監督:蝶野博
製作担当:清水啓太郎

キャスト

エピソード1:
 清水美砂、林泰文、麻生久美子、高田聖子、草野康太、長田江身子
エピソード2:
 鈴木砂羽、橋爪功、勝村政信、石川伸一郎
エピソード3:
 倍賞美津子、柄本明、野波麻帆、渡辺真起子、
 小松和重、有園芳記、カダルカナルタカ

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