原題:Premincukundam Raa!

マサラムービーの隠し玉! こっちは、メガ・スターだっ!

1997年/インド(ハイダラーパード)/カラー/シネスコ/157分 製作:スレーシュプロダクション/配給 (有)シナバールシネマ

1999年12月25日よりキネカ大森にて公開

公開初日 1999/12/25

解説

マサラムービーの隠しし玉、マボロシのテルグ映画がついに登場
 インド映画の言語別生産本数では、ヒンディー語映画、タミル語映画を抑え、常にトップにありながら、長い間“謎”とされてきた門外不出のテルグ語映画がとうとう日本にやってさた。日本では、これまではわずかに芸術映画1本が映画祭で公開されたのみ。インド国外に於てもアメリカで3本公開されただけ。現地に行った者だけが見ることができた、まさにマボロシのマサラムービーだ。
 インド映画の最盛期の1990年、ヒンディー語200本、タミル語194本のところ、テルグ語なんと204本、インド全体で生産本数が落ちてきた1996年にあっても、ヒンディー語26本、タミル語138本のとき、テルグ語154本と生産本数ではインド映画界をリードしつづけ、映画王国インドを支えてきたのがテルグ語映画界だったのである。
 中心地はインド一映画館の多い町として一部に知られる、デカン高原の古都ハイダラーパード。近年郊外に世界最大規模のスタジオ、ラモジフイルムシティーがオープンし、テルグ語映画のみならずヒンディー語映画など他の言語の撮影も盛んに行われ、映口の都の様相を呈している。
 映画がさかんで、観客も目が肥えている。そんなところで生まれた映画がつまらないはずがない。

愛ば愛のみに従う−人は殺しあうために生まれたのか
 マサラムービーの登場人物は、神話の登場人物(神様)のようになにか根湿的なカを具現している。それがマサラムービーをストレートに感じさせる理由である。『愛と憎しみのデカン高原』のテーマは、文字通り「愛」と「憎しみ」。主人公の台詞には、「愛」と「憎しみ」にまつわる気恥ずかしいほどストレートな表現が満載されている。
暗いニュースばかりが報道される毎日、こんなストレートな映画を観て心をリセットする必要があるんじゃないかな。

荒涼としたデカン日原で
これまでのマサラムーピーにはない強烈な地方色が、テルグ映画にはある。まずは冒頭の巨石でできた遺跡、岩ごろごろの荒涼とした風景。自分の意思を貫く強い女。
お金はないけど滅法腕っ節の強い男。リアリティーのある話。これらはテルグ映画ならではの特徴といえます。

もちろん歌と踊り
 嫌でも感情を高揚させるメロディアスな音響がヒンディー映画の特徴なら、南インド映画の音楽の特徴はリズミカルな縦ノリ系。踊りは物語りと関係なくポーンとどっかに飛んでいってしまいます。

テルグ映画3大ヒットに入る一本
 テルグ映画界の重鎮ラーマナイドゥを父にもつ気鋭のプロデューサー・スレーシュが実弟でトップスターのヴェンカテーシュと北インド出身の女優アンジャラ・ジヤベーリ、新人監督ジャヤントを起用して作ったのがこの作品。100館で120日をこえるヒットを記録し、テルグ映画の歴代興収トップ3に入る。ジャントはその後2作品を監督し、いずれも大ヒットさせ、ヒットメーカーの名を欲しいままにした。

ストーリー

巨石を組んだ遺跡で二人が年輩の男を立会人として簡単な結婚の儀を行おうとしている。そこに立会人の息子シブドウが結婚をやめさせようとやってきた。やめさせる理由は、若い二人は対立している村同士の出身だからである。自分の父である立会人構わず執り行ってしまったので、シブドウは親分のヴィラヴァドライヤに告げに行った。
怒ったヴィラヴァドライヤは、若い二人と立会人を殺してしまった。自分の父親が殺されるのを正しいというシブドウ。取り残された二人の遺体に車が近づく。殺された男の兄だ。
彼は息たえた弟を前にウィラヴァドライヤヘの復讐を誓う。
大学で暴力沙汰を起こしたギリ(ヴェンカテーシュ)は、姉の嫁ぎ先の町でほとぼりが冷めるのを待つことにした。そこで、隣の家の娘カーウェリ(アンジャラ・ジャぺーリ)に一目惚れをする。なんとか気を引こうとあれこれ試みるがなかなかうまくいかない。カーヴェリが市場に出掛けたのを聞いてすぐさま追いかけ、自分の気持ちを打ちあける。もし、カーヴェリも同じ気持ちなら、明日の早朝6時に風船を飛ばしてと頼んだ。はらはらして6時を迎え、カーテンを開けると無数の風船が上がって行ったのだった。
恋が実って有頂天になるギリ。しかし、幸せは長く続かない。ギリに許婚がいることをカーヴェリが知ってしまったのだ。ギリは親が決めた許婚との婚約の儀式を不吉な事をわざと起こし延期させていた。カーヴェリと結婚するためである。だが、カーヴェリはギリを無視し続け、取り合おうとしない。そんなある晩、カーウェリの家が放火未にあう。放火を指示したのは、弟を殺された男だった。必死に起きた事ををカーヴェリに話すが、カーヴェリはギリがうそをついていると思って全く取り合わない。
頭に来たギリはハイダラーハードの実家こ戻ろうとパスターミナルに向かう。そのことをカーヴェリに知らせたギリの姪ピンキ達だった。ピンキは、ギリが許婚との婚約式を駄目にしたことや、プージャ(祈とう式)ではカーヴェリの写真靱ばかり撮っていたこと話し、その写真をカーヴェリに差し出す。自分だけが写っている写真を見たカーヴェリは、喜びに震えるのだった。そしてギリを連れ戻しにパスターミナルに行った。ギリを乗せたパスは発車しかかっていた。思わず追いかけるカーヴェリ。大声を出すがなかなかギリは気付かない。もうだめ。最後の望みをかけて声を振り絞る。
愛しているわ!戻って来てギリ!ギリがやっと気づき、パスを降りてくる。思わず走り出すカーヴェリ。足を取られて転んでしまう。そこで急にタイヤのきしむ音がしてして車から男がおりてくる。ヴィラウァドライヤだ。ヴィラヴァドライヤに気付いカーヴェリは、はっとしてすくんでしまった。彼はカーヴェリの父親だったのである。
若い男の兄は、ウィラウァドライヤ一家に復讐をすぺく・カーヴェリを誘拐しようとする。それを阻止しようとするヴィラヴァドライヤの従順な手下シブドウは、助けに入ったギリとカーヴェリの姿を見て、二人が恋仲であることを悟った。そしてすぐに親分に報告した。それを聞いたヴイラヴァドライヤは烈火のごとく怒り、カーヴェリを監禁し、ギリを捕まえようとする。
ギリは監禁されたカーヴェリを救い出し、パイクでハイダラーハードへと向かう。しかしそこには、ヴィラヴァドライヤの追手がすでにやってきていた…。

スタッフ

製作:スレーシュ
監督:ジャヤント・C・パーランジ
脚本:デーン・ラージ
撮影:K・ラヴィシドラ・パブ
音楽:マヘーシュ

キャスト

ギリ:ヴェンカテーシュ
ガーヴェリ:アンジャラ・ジャペーリ
ヴィラパドライヤ:ジャヤラム
ギリの父:ラグナート レッディ
ギリの母:アンナプールナ
シヴドゥ:シュリハリ

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