原題:ONE STEP ON A MINE, IT'S ALL OVER

銃声かシャッター音か、戦場を駆け抜ける一人の若者がいる。 チームオクヤマ第1回作品

☆東京国際ファンタスティック映画祭'99出展作品::http://forum.nifty.com/fanta/tokyo/

1999年/ビスタ/DTS STEREO/1時間51分/配給:シネカノン

2000年4月28日よりビデオレンタル開始 DVDも4800円で同時発売決定! 1999年12月4日よりシネ・アミューズ、シネ・ラ・セットにて公開

公開初日 1999/12/04

配給会社名 0034

解説

1972年カンボジア。流れくる汗と弾丸にひるむことなくシャッターを押し続ける男がいました。ひとたび銃撃戦が始まれば身を隠すどころか、真っ先に防空壕から這い上がり、ファインダーを覗き込む日本人がいた。青年の名は一ノ瀬泰造。25歳の若きフリー・ジャーナリスト。暴挙ともいえる彼の取材スピリットは、世界中から派遣された百戦錬磨の記者やカメラマンたちにも一目置かれ、敬意と親しみを持って“Taizo”と呼ばれていました。映画『地雷を踏んだらサヨウナラ』は、ベトナム戦争の戦火がカンボジアヘと拡大していった72〜73年、沢田教一氏(ピュリッツアー賞受賞の報道カメラマン。70年カンボジアで戦死。享年34歳)に影響を受け、実際にインドシナ半島で活躍していた従軍カメラマン_一ノ瀬泰造氏を描いた作品で、フラッシュの閃光にも似た、鮮烈で短い彼の生涯をフィルムに焼き付けた一篇です。
“’Taizo”は戦火の中で静かに悠久の時を刻むアンコールワットをこの手で撮ることを夢みて、一歩一歩前進した。たとえそのために白分の命が犠牲になろうとも「好きな仕事に命を賭けるのだから俺が死んでも悲しむことはないよ」と口ぐせのように言いながら。己れの可能性を信じ、カメラマンとしての誇りと信念を常に忘れなかったTaizoのニコンから繰り出されるワンショットはマシンガンよりも鋭く、地球上を揺さぶった。最前線の兵士たちの悲惨さ、戦うことのむなしさ、生と死の狭間を生きぬく女や子供たちの苦しさ、したたかさ。一枚の写真が持つ威力は、ことばを超越した強いメッセージとなって人々の心に「生きることの大切さ」と「戦争がもたらす苛酷な現実」を訴えかけていったのです。
Taizoは目指すアンコールワットの射程距離まで接近しながら、あと一歩のところで26歳になったばかりの生涯を閉じる。最期の一瞬まで前のめりに進みながら。そして今スクリーンに甦えったフォト・ソルジャーは、20世紀末の日本人が失いつつある「白分のスピリットに忠実に生きる」ことの尊さ、美しさ、難しさを伝え、素晴らしくシンプルな間いを我々に投げかけます。「あんたは本当に自分の人生を生きているのかア」と…
この作品はたんなる戦争映画でも、青春の光と影を映し出すビター・スゥイートな物語でもありません。人間の普遍的かつ根源的なテーマ「あくまで自分らしく誇りを持って生きよ」と世界中に発信するため、日本語のパートは全体の1%に過ぎません。英語、カンボジア語、ベトナム語、朝鮮語など数ヵ国の言語と人種が入り乱れるコスモポリタン・ムービーであり、『プラトーン』などハリウッド製の戦争映画が数多く撮られたタイでロケを敢行。「日本が発信する映画はかつてのように国際品質のパワーを持たなければならない」を自らの映画づくりのイズムとして揚げる奥山和由がプロデュース。『SAWADA』などドキュメンタリー映画を数多く手がける五十嵐匠が、動乱のインドシナをスクリーンに再現しました。
主役の一ノ瀬泰造に個性派アクターとして独特の存在感を放つ浅野忠信が、英語、カンボジア語、ベトナム語、朝鮮語を駆使して熟演。絞り染めTシャツにベルボトム・ジーンズなど70年代を主張するファッションがスクリーンを飾ります。また、各国の精鋭俳優たちが万全の布陣で当たっています。

ストーリー

民族解放軍クメール・ルージュと政府軍との闘争が激化するカンボジア。1972年、首都プノンペンには、世界的スクープを狙う野心満々のジャーナリストたちが集まっていた。25歳の一ノ瀬泰造(浅野忠信)もその一人。解放軍の聖域である遺跡アンコールワットを撮り、ピュリッツァー賞をとるのが彼の夢だ。しかしその近辺では西側を敵視するクメールりレージュによって、何人ものカメラマンや記者たちが命を落としていた。ある日、銃撃戦のさなか、間一髪で命拾いをした泰造は、白人カメラマンのティムと知り合う。あざといやり方でスクープをものにする者もいる中、淡々と写真を撮り続ける彼に親近感を覚える泰造。だが従軍カメラマン経験の長いティムは向こう見ずな若者の取材姿勢を案ずる。「俺は臆病だから生きてこれた。戦場で大事なのは危険を察知する能力だ。お前にはそれが欠けている」佐賀の実家では両親が泰造の安否を気づかっていたが、戦地シアムリアップでは高校教師で親友のロックルー、その親類でレストランを営むマダムや幼いソッタとチャンナ兄弟らが、彼にとっての家族だった。しかし子供たちはロケット弾の犠牲になってしまう。兄は即死、弟は耳をやられた。こみあげるものを抑えつつファインダーを覗く泰造。だが、シャッターを切ることは……。
その後も泰造は前線に飛び出していくが、政府軍は彼に機密漏洩の疑いをかけ、ついに国外退去を命じる。泰造はカンボジア以上に戦火の激しいベトナムヘ。戦場でのティムとの再会。それも束の間、目の前で彼は砲撃に倒れる。弾除けのお守りにしていた妻のストッキングを巻いたまま、カメラマンは息絶えた。彼の行きつけのカフェで亡くなった友を偲ぶ泰造は、ウェイトレスのレ・ファンと出会う。清楚な美しさに凛々しさをたたえた彼女にひかれた泰造は、ある日、写真を一緒に撮ろうと誘うのだが、レ・ファンは首を縦に振らない。「写真は結婚する人とだけ……」死んだティムのことを想っていたのだ。
そんな中、毎目新聞の松山記者がカンボジア取材を持ちかけてくる。
裏ルートで密入国し解放軍に接触するという。
そんな中、毎日新聞の松山記者がカンボジア取材を持ちかけて来た。裏ルートで密入国し解放軍に接触するという。政府軍のブラックリストに載っている泰造にとって、これは最後のチャンスだ。死にに行くようなものだと言うレ・ファンに彼は告げる。「どうしてかわからないけど、大事な人が死んでいくたびに、アンコールワットヘの想いが強まっていくんだ……」カンボジア行きの輸送船に乗り込もうとする泰造。見送らないと言っていたレ・ファンが現われる。白いアオザイ姿の彼女は、まるで花嫁のよう。「今でも一緒に写真を撮りたい? 必ず生きて帰ってきて!! 」
アンコールワットにとり懸かれた男を乗せた船は集中砲火を浴び、死者を出しつつもようやく到着。九死に一生を得た泰造は最前線へと旅立つ前に、ロックルーの結婚式に出席する。砲声轟く中、幸せをかみしめる親友を写真に収めていく泰造。だが、それは別れの儀式となってしまうのだった…。

スタッフ

Based on the Life Story of: 一ノ瀬泰造
Dedicated to: 一ノ瀬清二・信子 紀子・淑乃・久美子
Executive Producer: 中村雅哉
Produced by: 奥山和由
Associate Producers: 大山幸英、桜井勉
MusicComposed by: 安川午朗
Director of Photography: 岡雅一
Lighting Designer: 山川英明
Sound Mixer: 武進
Film Editor: 川島章正
Scriipt Supervisor: 牧野千惠子
Art Director: 柴田博英
Sound Effects Editor: 渡辺健一
First Assistant Director: 田中徹
Screenplay by: 丸内敏治、五十嵐匠
Directed by: 五十嵐匠
Production by: TEAM OKUYAMA

キャスト

浅野忠信
ROBERT SLATER
THORNG DARACHHAYA
PENG PHAN
CHAO CHANNARY
川津祐介
羽田美智子
VO SONG HUONG
三輝みきこ
山田咲耶
名取幸取
平尾仁
PINYO JANESOMBOON
O-PAS JANESOMBOON
矢野健一
市毛良枝

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