原題:Sylvia

僕は君を愛せていただろうか

2003/イギリス/110分/シネマスコープ/ドルビーSRD/ 配給:ザナドゥー、エレファント・ピクチャー

2005年06月22日よりDVDリリース 2005年06月22日よりビデオリリース 2004年12月25日、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座にて、感動のお正月ロードショー

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公開初日 2004/12/25

配給会社名 0244/0103

解説


自由なき時代、凛と生きた女性シルヴィア・プラス

向田邦子、須賀敦子…いずれも1929年生まれ、故人だが、近年幅広い年齢層の女性たちに熱く支持され、益々共感を得ている女性作家。同世代のシルヴィア・プラスは1932年生まれ。没後31年、同様に人気が年々高まり、ついに彼女の人生が映画化されることとなった。共通点は、女性の選択肢が少なかった1950年代、ひたむきに、凛と生きた姿勢。そして、“愛されたかった”という純粋な望み。

サリンジャーと並んで、全世界に読み継がれるピュリッツァー賞作家シルヴィア・プラス。恋したのは桂冠詩人テッド・ヒューズ。才能あふれる美男美女〈世紀のカップル〉を襲った悲劇とは——

シルヴィア・プラス。アメリカでその名を知らない人はいない。その作品は年とともに愛読者を増やし、没後29年を経て栄誉あるピュリッツァー賞を受賞。ソフィア・コッポラを始め多くのアーティストに影響を与え、唯一の長編小説「ベル・ジャー」は没後30年以上を経た今も、JDサリンジャー著“「ライ麦畑でつかまえて」女の子版”として、全世界で広く読み継がれている。アメリカの上流家庭に育ち、知性と美しさ、ユーモアに溢れ、名門女子大生として「マドモワゼル」誌でファッション・エディターも経験、その端々しい感受性とクラス感を感じさせるライフスタイルは、若い女性の憧れの的だった。
テッド・ヒューズ。テニスン、ワーズワースらと並び英国王室が認定する“桂冠詩人”。1999年、テッドの著作が映画化され『アイアン・ジャイアント』として時代を超えて甦り、世界中で絶賛された。
物語は、シルヴィアの留学先ケンブリッジ大学でのテッドとの運命の恋に始まり、ボストンでの希望に満ちた新婚生活、デヴォンでの2児の子育て…そして1963年2月11日運命の日、予期せぬ事件が起こり幸せが終わりを告げた。少女のように、人一倍繊細だった。優しさや理解や希望を信じ、現実に裏切られるたびにバランスを失っていた。だからこそ、いつの時代も傷つきやすい女性たちの心を優しく包み込んだ。“ベル・ジャー”(ガラスの覆い)のように…

女として、妻として、母として、そして作家として・・・30歳の若さで自ら生涯を閉じるまで、ひたむきに生きた女性シルヴィア・プラスの真実の物語。
逝ってしまった彼女はその果てに何を見たのか。

“グウィネス・パルトロウ目を見張る最高の演技”(タイムズ紙)
『恋におちたシェイクスピア』でアカデミー賞主演女優賞を26歳の若さで獲得し、『セブン』『ダイヤルM』と着々と実力派女優としてキァリアアップするグウィネス・パルトロウ。本作の演技で絶賛され、“お嬢様女優”““ “ファッションセレブ”との声を吹き飛ばした。プライベートでも、イギリスの超人気ミュージシャン「コールドプレイ」ヴォーカルのクリス・マーティンと電撃結婚、妊婦姿でファッション誌のカヴァーを飾り、5月に女児“アップルちゃん”出産、イギリスでの充実した新婚生活が話題となる。グウィネスのライフスタイルは常に最新のトレンドとしてすべての女性たちのお手本となっている。相手役に、『ロード・トゥ・パーディション』で名優ポール・ニューマンの息子役を熱演したダニエル・クレイグ。いま最も注目される男優の一人である。その他、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』のダンブルドア校長先生役の名優マイケル・ガンボンなど、演技派揃い。ファッション・フリークだったシルヴィア。ツインニット、ワンピース、真珠のネックレス・・・上品なワードロップの衣装デザインは『恋におちたシェイクスピア』『ベルベット・ゴールドマイン』『鳩の翼』『エデンより彼方へ』のサンディ・パウエル。音楽は『イングリッシュ・ペイシェント』『ベティ・ブルー』の名匠ガブリエル・ヤーレ、美術は『めぐりあう時間たち』のマリア・ジャーコヴィク、編集は『アメリカン・ビューティー』のタリク・アンウォー、撮影はジョン・トゥーン、製作は『エリザベス』のアリソン・オーウェンなど豪華スタッフが結集。新鋭の監督(クリスティン・ジェフズ)&脚本(ジョン・ブラウンロウ)を支え、シルヴィアの永遠の魂を創り上げた。

ストーリー



シルヴィア・プラス(グウィネス・パルトロウ)は文字通りの神童で、優れた詩人になるべく大志に満ち溢れている。フルブライトの奨学生としてケンブリッジに入学した彼女は、イギリスの暗いツイード・ジャケットの集団の中にあっていかにもアメリカ人といった雰囲気で人目を惹いていた。彼女はある日、イギリス人大学院生テッド・ヒューズ(ダニエル・クレイグ)の詩に惹かれ、彼に会う決心をする。文芸誌の発刊パーティの席で初めて彼と会ったシルヴィア。2人の運命はその瞬間から解きがたいほどに絡み合っていく。
テッドは彼女に住所を渡し、シルヴィアはロンドンで働く彼を訪ねた。彼は詩と芸術を愛するビートニクと暮らしていた。友人たちとの朗読会で酔っ払った後、2人は初めてベッドを共にする。ケンブリッジ、ロンドンでの魅惑的で緊張感のある付き合いを続けるうち、テッドはシルヴィアが過去に少なくとも一回は自殺未遂をし、また彼女が亡父オットーとの関係に悩まされていることに気づく。
2人は結婚し、ロンドンに居を構える。シルヴィアは寝室をオフィスに改装して仕事に没頭し、2人の詩を数々の出版社やコンテストに送り続け、やがてテッドの詩がニューヨークの賞を受けたとのニュースが届く。2人は喜びに我を忘れ、シルヴィアの故郷であるケープ・コッドの彼女の実家へと向かう。彼女はその夏、そこで小説を書いて過ごすことに思いを馳せる。しかしいざ書き始めようとすると、何も思い浮かばない。テッドはシルヴィアにもっと自分自身の暗部を掘り下げて執筆を極めていくべきだと助言する。
シルヴィアは生活を支えるため母校である名門女子大学スミス・カレッジで英語を教え始めた。しかし彼女は仕事に疲れ、執筆の時間が取れなくなっていることに気づく。彼女はそのうちテッドが他の女性に目を向けていると誇大妄想を抱くようになる。この状況は、テッドのスミス・カレッジの女子学生との噂を巡る醜く暴力的な言い争いへと発展していく。シルヴィアは自分が傷つけられた分だけ、相手を傷つけようとし、テッドを攻撃した。
テッドとシルヴィアはロンドンに戻り、プライムローズ・ヒルのフィッツロイ・ロードに居を構えた。シルヴィアは女児フリーダを出産し、テッドは文学界で名を挙げ始めた。シルヴィアの詩の一扁もまた、2人の友人であり著名なジャーナリストである、アル・アルヴァレス(ジヤレッド・ハリス)に注目されるようになる。
2人はまた引越しをすることになる。今度はデヴォンでの新しい生活を築くのだ。しかし2人はロンドンのアパートの借り手を捜すうちに、デヴィッド・ウェヴィル(アンドリュー・ハヴィル)とアッシア・ウェヴィル(アミラ・カサール)というカップルと知り合う。テッドとアッシアは一目で惹かれあう)たが、デヴォンヘの引越しがあり、2人の関係は発展しないかに見えた。テッドとシルヴィアに2人目の子供、男児ニコラスが誕生する。しかしアッシアと夫デヴィッドがコート・グリーンにある2人の田舎の家を訪ねたとき、シルヴィアはその兆しに気づくのだが、時すでに遅しであった。テッドとアッシアは関係を持った。初めのうちテッドは罪の意識に苛まれ、この結婚に与えたダメージを修復するべく努力していた。彼女を捨ててロンドンでアッシアと一緒になるためにテッドに必要なのは最後の一押しだけだった。皮肉なことに、この苦しい経験が詩作に驚くべき力を与え、シルヴィアは彼女の名を挙げることになる詩を書いていることに気づくのである。
一つにはデヴォンでの孤独な生活から逃れるため、そして一方ではテッドとの和解の道を探るため、シルヴィアは子供たちとロンドンヘ戻り、プライムローズ・ヒルのチャルコット・スクエアに家を見つけた。しかしテッドとはうまくゆかず、当時今世紀最悪の厳冬と言われた最中、シルヴィアの精神状態は著しく悪化し、ついには子供たちの面倒を見ることが出来なくなってしまう。
ある夜、シルヴィアはドレスアップしてテッドと会った。もう一度やり直したい、と告げた。しかしテッドは心のどこかでは復縁を望みながらも、シルヴィアにアッシアが妊娠したと告げるしかなかった。シルヴィアにとってそれが最後の1本の藁であった。
彼女は子供たちが凍えぬようにベッドに入れると、窓を開けた。そして台所へ行きオーブンに頭を突っ込んだ。翌朝、子供たちはシルヴィアの様子を見に来た看護師に発見された。打ちひしがれるテッド。彼は詩の中に書かれた彼女の別れの言葉を見つける。(この詩はのちに『ArieL』に採録された)シルヴィアはついにあれほど切望していた名声を手に入れたのである。

スタッフ

監督:クリスティン・ジェフズ
衣装デザイン:サンディ・パウエル『恋におちたシェイクスピア』『ベルベット・ゴールドマイン』
後援:ブリティッシュ・カウンシル
サントラ:ジェネオン エンタテインメント/ランプリング・レコーズ  
関連書籍:シルヴィア・プラス著「ベル・ジャー」青柳祐美子訳(河出書房新社刊)、
     ケイト・モーゼス著「シルヴィア」北代美代子訳(ランダムハウス講談社刊)
配給:ザナドゥー、エレファント・ピクチャー

キャスト

グウィネス・パルトロウ
ダニエル・クレイグ
ジャレッド・ハリス
マイケル・ガンボン
ブライス・ダナー
アミラ・カサール
アンドリュー・ハヴィル

LINK

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