原題:Luce dei miei occhi

2001年ヴェネチア映画祭最優秀男優賞・最優秀女優賞 トロント映画祭正式出品

2001年/イタリア/120分/カラー/35mm/シネマスコープ/ドルビーSRD 配給:樂舎

2004年6月19日より「チャオ!チネマ・イタリアーノ イタリア映画傑作選」、ユーロスペースにて連続ロードショー!

公開初日 2004/06/19

配給会社名 0464

解説


心にしみる名品『もうひとつの世界』が2002年のイタリア映画祭で絶賛されたジュゼッペ・ピッチョーニの新作は、若く生真面目なハイヤーの運転手と、心を閉ざした食料品店の女とその小さな娘をめぐってふたたび描かれる、無力な人間たちの孤独と心のふれあいの寓話である。ピッチョーニは舞台を灰色の街ミラノから(とりわけ夜の)ローマに移し、前作で完成された映像表現をさらに大胆に押し進め、いくぶん絞りこまれた物語の枠を時には崩しながらも、じかに感情を揺さぶるシーンをふんだんに盛り込み、蒼白い光に照らされた登場人物たちの内面を映し出す。心の叫びが聞こえてくるような痛切なイメージと、前作に引き続いてスコアを提供するルドヴィコ・エイナウディのつぶやくような旋律が合わさった時にもたらされる感動には、ピッチョーニ映画でしか味わえない色あいがある。選び抜かれた俳優陣のひとつひとつの所作、こまやかな表情の綾も秀逸だ。『ペッピーノの百歩』で信念に身を捧げる若者の激情を豊かに表現したルイジ・ロ・カーショは、ここではまったく異なるナイーヴな青年の内面を浮き彫りにする。ほとんど無名だったサンドラ・チェッカレッリの、頑な心と肌の温もりを感じさせる存在感が素晴らしい。そしてイタリア映画のお家芸ともいえる子役のバルバラ・ヴァレンテの伸びやかな輝きには幾度となくはっとさせられる。人生をいとおしむ気持ちを強く与えてくれる、淋しくもすがすがしい余韻を残す映画だ。

ストーリー

ハイヤー運転手アントニオは自分の仕事を愛している。彼の仕事は顧客が決めた道筋を旅し、車中での話しに耳を傾け、彼らの人生を静かに見守ること。そして待ち時間、彼はSF小説を読む。ある晩、飛び出してきたリーザを轢きそうになったアントニオは、彼女の母マリアと知り合う。マリアは一人で食料品店を経営し、娘を育てている。マリアに惹かれたアントニオはこの母娘を助けようと、マリアがサヴェーリオへの支払いに苦労しているのを知ると、彼女には何も言わず、サヴェーリオの運転手を買ってでる。だがマリアはリーザとの生活を守ることに精一杯で、アントニオの好意を素直に喜べない。そしてアントニオは外国人労働者を搾取するサヴェーリオに、次第に耐えられなくなる。アントニオはミスを犯し解雇され、マリアは力尽きてリーザを祖父母に引き渡す。頑なに守っていたものを失ったとき、マリアはアントニオを受け入れることができた。

スタッフ

監督:ジュゼッペ・ペッチョーニ
製作:リオネッロ・チェッリ、ルイジ・ムジーニ
脚本:ジュゼッペ・ペッチョーニ、ウンベルト・コンタレッロ、リンダ・フェッリ
撮影:アルナルド・カティナーリ
美術:ジャンカルロ・バージリ
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ
衣装:マリア・リータ・バルベラ
配給:樂舎

キャスト

ルイジ・ロ・カーショ
サンドラ・チェッカレッリ
シルヴィオ・オルランド
バルバラ・ヴァレンテ
トニ・ベルトレッリ

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