原題:MILLIONS

2004年第29回トロント国際映画祭 特別招待作品

2004年11月26日イギリス初公開

2004年イギリス/パテ・ピクチャーズ提供/カラー/98分/ ミッション・ピクチャーズ製作 配給:アスミック・エース

2006年06月09日よりDVDリリース 2005年11月5日(土)シネマライズほか全国順次ロードショー!

公開初日 2005/11/05

配給会社名 0007

解説


『トレインスポッティング』『28日後…』のダニー・ボイル監督、あらたなる挑戦!
故郷イングランド北部を舞台に、幼い兄弟に降り注ぐ”奇跡”と”希望”を描く、
色と光と暖かさと優しさに満ち溢れた、全く新しい世界。

『シャロウ・グレイブ』『トレインスポッティング』で全世界にその名を知らしめ、その成功によりハリウッドに進出、『普通じゃない』『ザ・ビーチ』を世に送り出し、『28日後…』で新境地を切り開いたダニー・ボイルが、またも新しい地平に踏みだした。
「僕の子供たちに堂々と観せられる映画を作りたいと思った」というボイル自身の言葉の通り、本作にはドラッグも血も恐ろしいウィルスも出てこない。スピード感とスタイリッシュな映像、そして独特のユーモアはそのままに、明るい笑顔と優しい眼差しに溢れた、ダイナミックで温かいファンタジー・アドベンチャー・ロマンがここに誕生した。

ある日、空からお金が降ってきた! 12日間で使い切れ!

母親が亡くなり、カニンガム一家は新しい街の新しい家に引っ越してきた。ちょうどイギリスはユーロ市場圏に加入直前。焼却炉行きとなるポンド紙幣と出番を待つユーロ紙幣を積み込んだ列車が、国中を行き来している。
ある朝、8歳の弟ダミアンのダンボール製の隠れ家に大金が入ったバッグが降ってきた! 中身は22万ポンド。12日後にはただの紙クズになってしまう。こうなったら、明日はないと思って使い切れ!
実利主義者の10歳の兄アンソニーは、最新式ゲーム機から自転車まで欲しいものを片っ端から買いまくる。一方、信心深く聖人になることを夢見ているダミアンは、貧しい人を助けたいと思うけれど、この街には貧しい人が見あたらない。
やがて、幼い兄弟のまわりを怪しい人影がうろつくようになる……空から降ってきたお金の出所は組織的な列車強盗のもので、彼らがそのバッグを追っているのだ。
果たして、二人はお金を使い切れるのか? そして、二人が手に入れたかった本当に大切なものとは?

「子供とお金」、そして「奇跡と希望」

本作は、ダニー・ボイル監督が自らの故郷マンチェスターとその近郊に戻り、尊敬する脚本家フランク・コットレル・ボイス(7人の子供の父親!)と初めて手を組み、「愛する子供たちに観せたい」という想いを込めて作り上げた、まさに”心の映画”である。
モチーフは”子供”と”お金”。22万ポンドもの’天からの贈り物’に小さな頭を悩ませる幼い兄弟は、「お金で何ができるのか? いかに人間を変えてしまうか?」という現実を駆け抜けていく。やがて、お金では何も解決できないと少年たちが気づいた時、「本当に大切なものはお金では買えない」というメッセージが浮かび上がってくる。
一方で、二人の願いは「天国のママに会いたい」という祈り。スピリチュアルな志向の弟ダミアンは、”人は奇跡を起こすと聖人になれる。ママはきっとそうなっている……”と信じて疑わない。そして、その願いが叶う感動のクライマックス──信じる気持ちさえあれば、心は強くなれる。夢は叶う──そんな温かなメッセージが心に沁みわたり、思わず涙が溢れる。この時、ダミアンは母親が天国に行ってしまったことを理解し、確かに奇跡を起こしたのである。
「明るくて楽観的で新しい、これからのイギリスが向かうイメージを表現したかった」とボイルは言い、青く澄んだ大空と暖かく輝く太陽、CGを駆使した夢の家などユニークで大胆な希望を描く21世紀ならではの作品を誕生させた。

キラ星のように輝く子役たちと新たな地平を切り開いた才能たち

8歳の弟ダミアン役には、本作が役者デビューとなるアレックス・エテル。イングランド北西部全域で大規模に行ったオーディションで発掘され、本作を成功に導いた、まさに’王子様’。10歳の兄アンソニーには、TVドラマやCMなどで活躍中のルイス・マクギボン。役の上でもそれ以外でも、演技初体験のアレックスをうまくリードした、これぞ’お兄ちゃん’。そして、父ロニー役をつとめた『ラッキー・ブレイク』『ウェイクアップ!ネッド』のジェームズ・ネスビットと、チャリティーワーカーのドロシー役であるデイジー・ドノヴァンら、演技派の俳優たちが幼い兄弟を優しく包み込んでいる。
脚本は、『CODE46』『24アワー・パーティ・ピープル』などのマイケル・ウィンターボトム監督作品で知られるフランク・コットレル・ボイス。撮影は、『28日後…』『ドッグヴィル』のアントニー・ドッド・マントル。音楽は『スナッチ』『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』のジョン・マーフィ。これらの才能たちもまた、ダニー・ボイルと同じように新たな地平を切り開き、それを楽しみ、その喜びが作品全体に満ち満ちている。

ストーリー



イギリスがユーロ市場圏に加入しようとしている。焼却炉行きとなるポンド紙幣と、銀行に運び込まれるユーロ紙幣を積み込んだ列車が国中を行き交いしている。

一方、母モーリーンを失ったカニンガム一家は、父ロニーの提案で新しい街の新しい家に越してきた。10歳の兄アンソニーは実利主義者で一家の投資収益力に興味があり、8歳の弟ダミアンはとても信心深く、聖人になることを夢見ている。

ある日、ダミアンが線路際にあるダンボール製の秘密基地にいると、突然巨大なスポーツバッグが空から降ってきた。中には合計22万9,320ポンドもの大量のお札が! しかし、12日後には通貨はユーロに替わり、この大金は何の価値もなくなってしまう。そうなったら、使うしかない! さっそく父に報告しようとするダミアンだが、アンソニーに口封じされてしまう。大人に見つかると、大半を税金で取られてしまうと言うのだ。二人はこっそりお金を持ち帰り、隠すことに。

このお金が神様からの贈り物で、善行を施すようにというお告げではないかと信じ込んでいるダミアンは助けるべき貧しい人々を探す。一方でアンソニーは使いたい放題。金に物を言わせて学校で権力を手に入れ、ボディーガードを雇い、最新式のゲーム機や自転車を買い、しまいには投資用に家を購入しようとする始末。

ある日、ダミアンは学校にやってきたチャリティーワーカーのドロシーに協力するため多額の募金をする。アンソニーは大人にバレてしまうようなお金の使い方をするダミアンに対して苛立ちを隠せない。実はこのお金がイギリス史上最強最悪の犯罪組織が盗んだ物の一部だと知ってしまったからだ。彼らはお金を積んだ列車に忍び込み、札束を詰めたバックを列車の外に放り投げ、後から回収していた。そのうちの一つがダミアンの秘密基地に降ってきたのだ。

強盗がお金を取り返しに来る前にすべて使い切ることにした二人。しかし徐々に、子供の自分達が多額のお金を使うことがとても難しいことだと気付き始める。しかし、時間がない! ポンドがユーロに替わるまであと数日。そしてダミアンの秘密基地が強盗の目に触れるのも時間の問題だ・・・。

家にお金を置いておくのが不安なので、常に持ち歩くことにした二人は学校で行われるキリストの降誕劇に全額を持って出演することになる。ところが、それが仇となり、学校に潜入してきた強盗にバレてしまう。なんとか強盗を逃れ、お金を持って逃げたダミアンは、昔住んでいた家に逃げ込む。しかし、強盗ではなく、探しに来た父に見つかってしまう。さらには隠し持っていた大金も見つかってしまう。

父に事情を説明し、無事お金を持って帰ってきた三人だが、家が何者かによって荒らされていた! 時はクリスマス前。もっとも強盗に狙われやすい時期だから、と諦め顔の警察をよそに怒りに震える父。心配して駆けつけたドロシーの目の前で強盗が狙っていたのはこれだ、と札束をぶちまけてしまう。そして、やられたらやり返せ、と父は全額横取りしユーロに両替する決意をする。

だが、一方で恐ろしい強盗がすべてを突きとめ、夜遅くに家に忍び込み、ダミアンにユーロに両替したら回収しにやってくると警告する。選択の余地はなく、ダミアンは強盗に協力することを約束させられてしまう。

ポンドが紙クズになるまであと一日。できる限り両替し、残ったポンドで豪勢に買い物を済ませた一家とドロシーは祝杯を挙げた。そんな中、兄弟は父とドロシーが愛し始めたことを知り、複雑な気持ちになる。

その夜遅く、ドアベルの音でダミアンが目を覚ますと、ダミアンの善意を耳にした物乞いや慈善事業家が、寄付を求めて玄関口から通りまで列をなしていた。父が彼らを追い払おうとする間に、ダミアンは残ったお金を全て掴んでこっそり家を抜け出す。ダミアンがいなくなったことも知らずに、部屋に入り込んだ強盗は、仰天した警察官に出くわし、あっという間に捕らえられてしまう。

線路まで走ってきたダミアンは災いの元となったお金を燃やそうと決意する。お金があれば人を幸せにできると思っていたのに、逆にいろんなことがうまくいかなくなってしまったのだ。ゆっくりと炎に包まれていく紙幣を見つめていたその時、彼が一番願っていた奇跡が起こった…。

スタッフ

監督:ダニー・ボイル
プロデューサー:アンドリュー・ハウプトマン、グレアム・ブロードベント、ダミアン・ジョーンズ
脚本:フランク・コットレル・ボイス
共同プロデューサー:トレイシー・シーウォード
エグゼクティヴ・プロデューサー:フランソワ・アイヴェルネル、キャメロン・マクラッケン、ダンカン・リード、デイヴィッド・M・トンプソン
撮影監督:アントニー・ドッド・マントル
美術:マーク・ティルデスリー
編集:クリス・ギル
音楽:ジョン・マーフィ
衣装:スザンナ・バクストン
ヘアメイク:ロゼアン・サミュエル
キャスティング:ゲイル・スティーヴンス、ビヴァリー・ケオウ

アニー・テレサ・メヘランとパトリック・フランシス・ボイルに捧ぐ

キャスト

ダミアン:アレックス・エテル
アンソニー:ルイス・マクギボン
ロニー:ジェームズ・ネスビット
ドロシー:デイジー・ドノヴァン
貧しい男:クリストファー・フルフォード

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