原題:Toy Love

まだ、もっと、イケナイ恋をしてみたい!

2002年カンヌ フィルム フェスティバル マーケット部門プレミア上映 2003年ポルトガル映画祭 観客賞受賞

2002年/ニュージーランド/88分/カラー/シネマスコープ/ドルビーデジタル 配給:巴里映画

2004年6月19日よりシネセゾン渋谷にてレイトロードショーほか全国順次公開予定

公開初日 2004/06/19

配給会社名 0130

解説



「猫は、なんでも知っている」は、ニュージーランドを代表する監督のひとり、ハリー・シンクレアの「TOPLESS」(日本公開/1999年)、「ミルクのお値段」(日本公開/2002年)の第3作目として、プロデューサー、ジュリエット・ヴィバー、出資:ニュージーランド・フィルム・コミッションのもと製作された。

「フランスの古い笑劇やロマンティックコメディーで、芸人達が自分達をおかしく見せるためにドタバタしている姿を思い出したりしながら、“おバカ”な男を描いた本当に楽しめるコメディーを撮りたかったんだ。登場人物達は自分をさらけ出すことを恐れ、そこをなんとしても避けようとしているんだ。そんな自分の事しか考えず、やりたい放題できてしまうキャラクターばかりを今回は創り出したかった」脚本と監督を務めたハリー・シンクレアは言う。

そして、プロデューサーのジュリエット・ヴィバーはこう付け加える。 「これは、現代人の身勝手さに対する皮肉を込めたメッセージ。もはや、恋愛における信頼関係を最重要視しなくなってしまった今の恋人たちの世界を我々は描いたの。クローは恋愛に対してシニカルな視点を持っているわ、これには沢山の女性が共感してくれると思うのだけれど。女がいる男とだけ付き合うっていう点では彼女、感情的なリスクを背負うことを避けているのよ。けれど、この作品の面白いところは、その主人公たちのひどい行動にもかかわらず、なんだか心引かれてしまうこと。ベンがクローをものにするためだけに、3つのハッピーな関係をメチャクチャにしてしまうのなんて、見てるとなぜか笑えてくるはず。」

「ミルクのお値段」「TOPLESS」同様、「猫は、なんでも知っている」は脚本/監督、ハリー・シンクレアのもとにユニークな過程で製作された。それは、役者とのワークショップを通じてストーリーのアウトラインを発展させ、撮影を行いながら脚本を作り上げて行くというもの。それが八ヶ月にわたって週3回のペースで続けられた。各シーンは週単位でマーゴット・フランシスによって編集され、ハリー・シンクレアはそれまでの仕上がりや、その後の脚本の確認を定期的に行いながら撮影を進めていった。

この製作スタイルについてハリー・シンクレアは「普通、映画セットの中にはきついプレッシャーというものがあるんだけど、それを感じる事なく演じられる環境をつくり出すのが僕は好きなんだ。少ないスタッフ、リラックスした感じのセット、そして常に楽しく、といった感じにね。それから、ダラダラせず、すぐに撮影を始める事も大切だね。そして、僕はいつも役者の特性みたいなものを見て、それにどんなストーリーが合うのか考える。そうやって、ベンとクローの関係も思い付いたんだ。さらにベンには既に恋人がいるっていう設定にしたら、もっと面白くなると思ったんだ。だけど、エミリーをただの被害者にしてしまうのはつまらないから、彼女にも浮気をさせることにして、といった具合にストーリーは自然に出来上がっていったね。本当は引き付けあっている人間を描くのが好きなんだけど、この二人なら誠実さに欠けている人間として描いたほうがうまく行くと直感したんだ」と言う。

そして、ハリー・シンクレアはこうも語っている。
「“男と女”っていう題材は何よりも面白いね、カーチェイスやガン・アクションなんかよりも。男と女の関係には魅力があるし、特に現代の男は何かとクレイジーだね。ベンには僕に少し似たところがあるかも知れない。そのまんまって事はないけど。彼は、僕の知る男のすべてをミックスした男性像だね。それから、主人公を、好感が持てるけどゾッとする部分もある人間にするのが好きなんだ。普通なら嫌われるはずの人間が、魅力的に見えるっていうふうに、観客を戸惑わせてもみたかったし。そもそも、観る人間のモラルっていうものを揺さぶってみたかったんだ」

ストーリー



「私は主人公、クロー。オシャレが大好きで、男の子には結構もてるみたい。ある日バーで声をかけてきたベンというハンサムな男の子、ちょっと気になったワ。CMに出ているタレントなの。彼のおうちに行ってみたら、カワイイ、エミリーっていう女の子と暮らしてるじゃない。フフフ、何かとってもやる気になっちゃったの、ワタシ。彼女の目を盗んでさっそく彼を誘って、二階でハグ!しちゃった。スリルあって楽しいの。だからイケナイ恋はやめらんない。でもベンは本当にあせっちゃって……。
で、何日かしたら、ベンから「君とつき合うから、エミリーとは別れた」って言われたの。馬鹿みたーい。そんなんじゃ面白くないもん。で、ワタシは言いました「彼女のいない男の子なんて、相手にしないのよ、私」って。そしたら、フフフ、彼ったら、私の言うこと聞いちゃって、何とエミリーとまたより戻したんですって。面白ーい。男の子って、どうしてみんなものにしたい女の子の言いなりになるのかな?この楽しさは、女の子にしかわからないよね。
私は純愛なんて、ナンセンス。信じたくない。
だって男はみんな恋の裏切り者。女だって恋を楽しまなくっちゃ。勝つか負けるか、勝負をかける。かく言う私も、私を傷つけた、愛するマットという本命がいるの。ベンはエミリーを裏切り、実はエミリーにも、別の恋人がいて・…。ああ、恋って残酷。でも、恋せずには生きられない、私たち。
イケナイ恋こそ、本物の恋。私の新しい恋の行方はいかに…」

スタッフ

監督・脚本:ハリー・シンクレア
エグゼクティブ・プロデューサー:フィオナ・コップランド
プロデューサー:ジュリエット・ヴィバー
撮影:グラント・マッキノン
編集:マーゴット・フランシス
美術:ディアドラ・マッケサー
オリジナル音楽:ヴィクトリア・ケリー
        ジュースト・ラングベルド
音響デザイン:ティム・ブレブル

キャスト

ディーン・オーゴーマン
ケイト・エリオット
マリサ・ストット
マイケル・ローレンス
ジェニヴィーヴ・マックラーン
ピーター・フィーニー
クィントン・ヒータ
ミリアマ・スミス
キム・ミハリス
ローズ・マックィーバ

LINK

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