原題:The Blie Butterfly

奇跡の蝶に会いたい。 生命の神秘を謳いあげる奇跡のトゥルー・ファンタジー

2004年/カナダ・イギリス/カラー/96分/ヴィスタ/ドルビーデジタル 配給:東芝エンタテインメント

2005年03月25日よりDVD発売開始 2005年03月25日よりビデオレンタル開始 2004年8月14日(土)より、シネスイッチ銀座、関内MGAほかにてロードショー

公開初日 2004/08/14

配給会社名 0008

解説


人には誰でも叶えたい小さな夢がある。余命わずかな少年の最後の願いは、熱帯雨林に生息する、この世でもっとも美しい神秘の蝶を捕まえること。彼の切ない願いを叶えるため、昆虫学者と少年の母親は彼と共に危険なジャングルヘと旅立った。そしてそこには彼らすべての人生を変えてしまう美しい<奇跡>が待っていた。
『天国の青い蝶』は10数年前、国際的に知られる昆虫学者と、末期脳腫瘍を患うカナダの少年との間に起きた奇跡的な実話をもとに映画化された。
生命の神秘に満ちた美しく危険な熱帯雨林の奥地。そこにはブルーモルフォと呼ばれるキラキラと輝く世界でいちばん美しい青い蝶が生息している。
死ぬ前に本物のブルーモルフォをひと目見たい一一見知らぬ少年の無謀としか思えないまっすぐな願いに昆虫学者は心を動かされた。幼い頃の情熱を大人になってから開花させた彼には、夢を抱くこと、実現することの大切さが、他の誰よりわかっていたからだ。彼は少年とともに熱帯雨林へ飛ぶ決心をする。だが自力で歩く力もない少年に、危険なジャングルでの探索は可能なのか?その上、ブルーモルフォが現れるシーズンはもう終わろうとしていた。
人智を超えた森の奥で、彼らを待っていた驚くべき運命。緑豊かな大自然の中での冒険を通して生命の不思議、命の強さと可能性を描いた本作は、大人から子どもまで、世界中の人々に夢と希望を運ぶ、真実の物語である。

映画は、生命の神秘を知ろうとする少年の心からの願いが彼自身だけでなく、周囲の人々にも輝きを与えていく様を描いていく。なぜこんなにも早く自分に死が訪れるのか?なぜ自分が神に選ばれたのか?少年はそんな疑問の答えを、キラキラと輝く青い蝶、ブルーモルフォの神秘に重ね合わせ、懸命に見つけ出そうとしていた。
危険と隣り合わせの旅と知りながらも、少年の純粋な願いを叶えようとする母親と昆虫学者。少年の行動は次第に二人の心のあり方までも変えていく。余命少ない息子の世話を懸命にすることで悲しさを紛らわしていた母親は、もう一度人を愛することの意味を見つめなおす。昆虫の研究だけに没頭し、人間との深い関わりを避けてきた昆虫学者は、長年の心の秘密を初めて少年に打ち明け、過去の呪縛から解き放たれる。
ここには少年だけでなく、大人たちにとっての再生の旅も描かれていくのだ。そして、先住民の少女が言う「あなたの中にも青い蝶はいる!」。この物語は観る人すべてにとっても、心の中にある幸せと希望を見つけだす物語となるだろう。
また、カメラがとらえたロケ地コスタリカの美しい大自然とそこで生きる先住民の暮らし。そしてスクリーンをにぎわす色鮮やかな熱帯の生き物たち。ワクワクするような未知の世界との出会いに、誰もが目を奪われ、思わず引き込まれることだろう。

世界中の子どもたち、そして、かつて夢見る子どもだったすべての大人たちにこの実話を届けたい一そう願った製作者たちの思いは、本作をケベック映画史上最高の製作費を投入した英語映画として実現させた。
監督は.翼をください』など、常に国際的に高く評価される良心作を撮り続けているレア・プール。女性監督らしい繊細なアプローチが、本作をただの難病映画とも、アドベンチャー映画ともまったく異なる、希望に満ちた生命の作品にしている。余命少ない息子を持つ母親の揺れる心境、心の一部を閉ざした昆虫学者と少年のふれあい、少年と先住民の少女との言葉を超えた心の交流など、人物たちの心の変化を温かな愛情に満ちた眼差しですくいあげていく。
また、国際派キャストとカナダ映画界最高のスタッフの見事なチームワークも実現し、熱帯雨林での長期に渡るロケ撮影という厳しい条件にもかかわらず出演を快諾したキャストたちの演技からは、この感動的な物語への愛情がひしひしと伝わってくる。
主人公のピート少年を演じるのは『ペイフォワード 可能の王国』などで頭角を現してきたマーク・ドネイト。今後の成長と活躍がもっとも期待されている子役スターのひとりである。
人一倍熱い情熱を持ちながら、人間との付き合いが不器用な昆虫学者アラン・オズボーン役には『スモーク』『A.1.』のアカデミー賞男優ウィリアム・八一ト。この役に心から共感した彼は、今回の撮影は一俳優人生の中で最高の体験”と語っている。
愛情豊かな母を演じるのは『彼女たちの時間』のパスカル・ブシェール。
スタッフにはカナダ映画界の優秀な人材が名を連ねる。撮影は『プレタポルテ』のピエールミニョー。プロダクション・デザインのセルジュ・ビュローと衣装デザインのミシェル・アメルはプール監督の『Emporte-moi』にも参加したスタッフ。
編集は『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』のミシェル・アルカン。蝶のCGは『ジュラシック・パーク』のダニエル・ラングロワが担当している。

ストーリー



l0歳の少年、ピート・カールトン(マーク・ドネイト)は末期の脳腫瘍に侵され、もはや余命いくばくもない体だった。
「どうして、僕だけが……」。外で遊ぶ他の少年たちを見ながら、彼は自分の不運を嘆く。しかし、そんな彼にも、かなえたい夢があった。それはこの世でもっとも美しい青い蝶、ブルーモルフォに、自分白身の手で触れること。蝶が大好きなピートは中南米の熱帯雨林にしか生息しないその幻の生き物を、命あるうちに見たいと願っていた。

息子への願いを知った母親テレサ(ハスカル・ブシェール)は、彼をモントリオールにできたばかりの昆虫博物館へ連れて行く。ピートが尊敬してやまない世界的に有名な昆虫学者アラン・オズボーン(ウィリアム・ハート)に会わせるためだ。ピートの願いをかなえてくれるのは彼しかいない。
しかし、アランは見知らぬ少年に対して、そっけない態度を見せる。車椅子にのった病気の子どもをジャングルに連れて行くなんて無茶な話だ。第一、ブルーモルフォを見られる時期はあと一週間で終わってしまうではないか。
だが、ピートはあきらめなかった。アランの留守番電話に、ひとりで探しに行くとメッセージを残し、彼は空港へ向かう。心配したアランがピートの家を訪ねると、ちょうど警官に保護された少年が戻ってくる。アランは、そんなピートの熱意に打たれ、彼の願いを聞き人れる決心をする。

飛行機の中でピートは、アランを質問攻めにして閉口させる。彼が手紙を書けずに悩んでいるのに気づいたピートは、アランには片思いの恋人がいるに違いないと思い込み、彼を母テレサの再婚相手にしようと考える。父は事故で他界し、母はピートが信頼できる男性を恋人に選んだことがなかったからだ。
アランはピートとテレサを、熱帯雨林の先住民族の村へ連れて行った。案内役のアレホ(ラオール・トゥルヒロ)にはピートと同じ年頃の娘ヤナ(マリアネッラ)がいて、彼女は言葉が通じないピートに優しい気持ちを抱く。
翌朝、アランたちは森の奥へ出発した。これまで狭い世界しか知らなかったピートは、森の生き物たちを見つけるたびに、胸を躍らせる。だがブルーモルフォの姿はない。
その晩、ピートが目をさますと、ヤナがいた。なぜ青い蝶にこだわるの?と彼女は問う。あなたも私もすべてが青い蝶なのよ、と彼女は謎めいた言葉を投げかける。一方、テレサはアランと話していた。アランが恋人のことで悩んでいるとピートに聞いたからだが、どうやらそれは勘違いだったらしい。

翌日になっても、蝶は見つからなかった。探検の途中で、ピートはアランから秘密を打ち明けられる。アランが手紙を書こうとしていたのは恋人ではなく、17年前に別れた妻との問の娘なのだ。人間との付き合いが苫手なアランは、家族との生活をあきらめ、昆虫の研究だけにエネルギーを注いでいた。「僕は英雄どころか善良な人間ですらないんだ」とアランは厳しい口調でピートに自分の過去の話をする。アランは、ブルーモルフォが見つからないことにいらだちを感じ始めていたのだ。
しかし、アランがあきらめかけた時、茶色い蝶が姿を現した。ブルーモルフォのメスだ。ピートを肩に乗せて走り出したアランだが、彼の脚よりも蝶は速かった。

その夜、ピートが高熱で倒れた。夢の中で先住民たちの歌が鳴り響き、彼は、突然、体が楽になったと感じる。目を覚ましたピートは傍らで見守っていた母に、明日はアランと二人だけで森へ行きたいと告げる。ふたりだけなら、きっと、ブルーモルフォが現れる、と彼は信じていたのだ。そして、アランも彼女に約束する。命をかけてピートを守る、と。旅を通じて、アランとテレサの問にも、確かな信頼関係が芽生えようとしていた。

次の日、ピートとアランは出発の準備をしていた。アレホはピートを肩車で運ぶアランのために、特製の背負子を作って贈った。ヤナはピートのために戦士の首飾りをかけてくれた。その顔には戦士のペインティングが施されている。人々の温かい声援を受けながら、遂にふたりだけで森の中へ出発するアランとピート。果たしてブルーモルフォは現れるのだろうか?ふたりは無事に帰れるのだろうか?そして、森の奥では想像を絶するような奇跡が彼らを待ち受けていたのだ……。

スタッフ

監督:レア・プール
脚本:ピート・マコ—マック
プロデューサー:フランシール・アレール
撮影監督:ピエール・ミニョ—
プロダクションデザイナー:セルジュ・ビュロー
美術監督:ジェイミー・フェルナンデス
編集:ミシェル・アルカン
衣装:ミシェル・アメル

キャスト

アラン・オズボーン:ウィリアム・ハート
テレサ・カールトン:パスカル・ブシェール
ピート・カールトン:マーク・ドネイド
アレホ:ラオール・トゥルヒロ
ヤナ:マリアネッラ

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