禁断の事件簿 ストーカーを愛した女
2003年/日本/カラー/110分 配給:竹書房
2004年04月23日よりDVDリリース 2004年04月23日よりビデオリリース 2004年4月10日より吉祥寺バウスシアターにてレイトショー
(C)2004 松田美智子/竹書房
公開初日 2004/04/10
配給会社名 0454
解説
世紀末の1999年1月30日に公開された「完全なる飼育」は、邦画界に一大センセーショナルを巻き起こした!原作者は、ドキュメント作家の松田美智子。実際の誘拐事件を丹念に調査し、誘拐犯が克明に記録していた日記から、「なぜ、少女は逃げなかったのか?」という人質の心理を解き明かし、誘拐犯と人質が愛し合うようになる過程を綴ったドキュメント小説『女子高生誘拐飼育事件』は、ビデオ作品に席巻された邦画の社会派エロス作品の可能性を再び切り開いたのだった。
その松田美智子が、実際の取材経験、裁判記録、実在する犯罪者の心理観察を下敷きに、現代社会の数奇な愛憎劇を描いた映像作品の監修を行ったのが、本作「禁断の事件簿/ストーカーを愛した女」である。本作は、単なる官能作品ではない。社会から漂流した孤独な現代人の異常な愛情の形を、監修者自身によるオリジナル書き下ろし脚本で、鋭いメスを入れた社会派エロス作品である。
漂流した孤独な現代人の異常な愛情の形を、監修者自身によるオリジナル書き下ろし脚本で、鋭いメスを入れた社会派エロス作品である。
女は、日増しにエスカレートする教授のセクシャル・ハラスメントに悩む内気な大学院生。
男は、少年期のトラウマが原因で吃音症に苦しむ大学の警備員。
「あの性的嫌がらせから、彼女を守ってあげたい…」「彼女に、好きだと言いたい!」
自分の気持ちを伝えられない警備員は、せつない片想いをカメラと盗聴器に託した。
狡猾な教授のセクハラ現場の証拠を押さえるため、そして彼女を救うために…
現代社会の常識からかけ離れた男の“純粋さ”と“臆病さ”を、女は受け入れることが出来るのだろうか…?
本作品の重要なポイントは、“人間は成長しなくてはならない”。監修者・松田美智子の目指す作品世界を実現させるために、演技派俳優と製作スタッフが集まりました。暗い過去に心を閉ざす警備員、赤羽護役には『模倣犯』でブルーリボン助演男優賞を受賞し2003年度に大ブレイクし、日本映画の話題作には必須の名優と評価の高い津田寛治。ヒロインの内気な大学院生、安岡真理子役には、若手ながら卓越した演技力と豊満な肉体の存在感を顕示する新進女優の未向(みさき)。監督は、「稲村ジェーン」「卒業旅行」等の大型作品で助監督の経験を積み、多数のオリジナル・ビデオ作品で女性美を追求する気鋭の永岡久明。プロデューサーは、「ゼロ・ウーマン」シリーズ等、数々のヒット作品を排出した山崎伸介。第一作目の「完全なる飼育」のタイムズ・インが制作する面白さ保証付の製作体制となった。
ストーリー
大学院生・安岡真理子(未向)は、日に日にエスカレートする権藤教授(峰岸徹)のセクシャル・ハラスメントに悩まされていた。真理子は、外見の美貌とは裏腹に臆病で内気な性格で、自分の論文を評価する立場にある教授の“性的いやがらせ”を相談できる友人もいなかった。
教授という地位を利用し、真理子に卑猥な要求を続ける権藤。「君が嫌なら強制はしないよ。本当に嫌ならね」執拗で狡猾な策略はゆっくりと、確実に真理子の心を砕いてゆく。
大学をやめて就職し、社会に出る勇気も持ち合わせていない真理子は、鏡に映る自分の泣き顔に言い聞かせる。「論文のため…大学に残るため…」しかし、教授の愛欲は日増しに過激になって行く。研究室で、指導室と称されたホテルの一室で繰り返される恥辱…そんな時、真理子は別の視線に気がつく。何者かが郵送したセクハラ現場の盗撮写真、部屋に仕掛けられた盗聴器、忍び寄るストーカーの影…
姿を見せぬ別のストーカー犯罪者に恐怖する真理子だったが、不思議と実害は無かった。むしろ、権藤のセクハラから真理子を救うようなタイミングで着信する無言電話…不気味な存在に欲望を邪魔された権藤は、遂に真理子の論文の書き直しを命じる。それが嫌ならば、自分に体を与えろ———と言外に要求するのであった。
追い討ちをかけるような実家の母親からの電話は、真理子の生活に全く関心を示さなかった。要領よく生きている兄の結婚生活のために、実家の真理子の部屋を片付ける趣旨の電話であった。強烈な孤独感と絶望感に際悩まされた真理子は、発作的に大量の睡眠薬を飲みこんだ。朦朧とする意識の中、全裸となった真理子は、自分の体のあちらこちらにマジックインクで×印を刻み込みように、描いていく。自分の存在全てを、否定したい願望の現われだった。湯を張ったバスタブの中で、次第に意識が遠くなる真理子が見たものは、どこかで見かけた記憶がある若い男(津田寛治)が、必死に泣きながら自分を助ける姿だった…
果たして、若い男の正体とは…そして、真理子の運命とは…過去の数奇な出会いが紡ぎだす運命とゆがんだ純愛…大学という密室で繰り広げられる禁断のエロティシズム。現代社会の心の闇を描く人間ドラマの幕がいま、開く。
スタッフ
監督:永岡久明
脚本:松田美智子
プロデューサー:伊藤明博、加藤威史、山崎伸介
製作:牧村康正
脚本協力:高橋裕太
撮影:村石直人
照明:鳥越正夫
録音:中村雅光
美術:西村 徹
編集:永田久明
音楽:野島健太郎
キャスト
津田寛治
未向
峰岸徹
ミッキー・カーチス
LINK
□公式サイト□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す