2003年/日本/カラー/ビスタサイズ/123分 配給:ケイエスエス

2005年02月25日よりビデオレンタル開始 2005年02月25日よりDVDリリース 2004年1月31日よりテアトル池袋にてロードショー

公開初日 2004/01/31

配給会社名 0027

解説



昭和19年・太平洋戦争末期。戦局の悪化に伴って日本軍が実行したのは特別攻撃機による恐るべき体当たり作戦だった。サイパン陥落、そして米軍の沖縄上陸。敗戦の色濃い日本が採った究極の打開策は「特攻」──片道燃料だけを積んだ航空機を敵の空母にぶつけて多大なる損傷を与えると同時に、恐怖感を抱かせることだった。全国から集まった優秀な若いパイロットたちは特攻志願し、出撃命令が出れば絶叫と共に散っていった。この物語はそんな悲惨な状況を背景に描かれる。

口も態度も、到底一流軍人とは言い難いやんちゃな男・長谷川龍太郎上飛曹(杉浦太陽)。上司にも平気で噛みつく龍太郎だが、部下の面倒見はめっぽう良く、やせっぽちの大西(矢部太郎)はじめ隊員たちからは慕われている。操縦の腕前はトップだが、彼の飛行機に同乗した士官たちはたちまち病院送りになっているということから「分隊士殺し」の異名をとる龍太郎の元に、新しい隊長が着任する。純白の制服姿もまぶしい大学卒の将校、久我少尉(高野八誠)。龍太郎と同年代ながら、物腰や口振りからは相当な家の出身であろう育ちの良さが伺える。もちろん、こんな男と龍太郎がウマが合うはずもなく、衝突を繰り返す二人。だが皮肉にも、戦局のさらなる悪化とともにいつしか二人は深く強い友情で結ばれてゆく。遂に龍太郎が飛ぶ夜がやってくるまで──。

戦時下の極限状況の中で、短く太く燃え尽きる男・龍太郎を演じるのは「ウルトラマンコスモス」やNHKの連続テレビ小説「てるてる家族」の杉浦太陽。正義感に満ち、「飛行機の上では死なない」という思想を持っていた龍太郎が遂に特攻を選択し、血まみれとなって燃え尽きるまでを熱く、激しく、まさに灼熱の太陽の如き演技で魅せる。龍太郎の新しい上司として着任した若き少尉・久我を演じるのは「ウルトラマンガイア」『カクト』などで鮮烈な印象を残す高野八誠。杉浦とは対照的に、月光のように静かな輝きで観客を魅了する。龍太郎を一途に慕う馴染みの芸者・ゆかりを演じるのは、近年演技の成長著しい辺見えみり。『釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇』などスクリーンでも活躍し、ミュージカルにも挑戦している彼女は、本作で気丈な戦時下の女を演じきり、新境地を拓いた。また龍太郎の庇護のもと、特攻隊として散ってゆく若き兵士・大西二飛曹を演じるのはバラエティで活躍するお笑いユニット「カラテカ」の矢部太郎。様々な舞台での経験を生かし、笑わせ、泣かせる名演技を披露している。龍太郎の天敵ともいうべきエリート軍人・井上少尉を演じるのは北村龍平監督作品『VERSUS』『ALIVE』などで頭角を現してきた松田賢二。そして、クレイジーキャッツのメンバーとして一時代を築き上げ、精力的にテレビ、映画出演を続けている俳優・犬塚弘が、戦後を生き延びた久我少尉、長じて少年たちに未来を託す教師・久我松男を演じる。エネルギーを持てあまし、喧嘩に血道をあげる若者たちに老いた久我が言う「未来を描け」の一言は、この作品の総てを物語っていると言っても過言ではない。

監督・脚本を手掛けるのは『Heavenz/ヘブンズ』『麻雀飛龍伝説 天牌 III』の井出良英。個性溢れるキャスト陣をしっかりとまとめあげ、熱気溢れる激しいアクションシーンや、思わず笑みのこぼれるコミカルなシーン、そして胸のしめつけられるような悲しみあふれるシーンまで自在に演出。また胸をつかれる鋭いセリフも随所に散りばめられ、これまで多くの脚本に携わってきた経験がここでも存分に生かされている。撮影を担当するのは井出監督と幾つもの作品で組んできた今井裕二。緑濃い南九州の片田舎の風景、夕暮れ迫る基地や、月明かりの中で遺書を書く特攻兵たちのシーンなどが、哀しいまでの美しさで迫る。太平洋戦争末期、恋に、喧嘩にそして戦いに生き急いだ若者たちの束の間の青春を、温かな笑いと涙と感動で描く、必見作。

ストーリー


スタッフ

監督:井出良英
撮影:今井裕二
照明:高村智
録音:鶴巻仁
美術:丸尾知行
制作:近代映画協会
製作:KSS、プログレッシブ・ピクチャーズ
配給:KSS

キャスト

杉浦太陽
高野八誠
辺見えみり
矢部太郎

寺泉憲
犬塚弘

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