誰も描けなかった世界—社会派サスペンス巨編 高村 薫の最高傑作 遂に映画化! すべての始まりは、あの吹雪の夜だった。

第17回東京国際映画祭::http://www.tiff-jp.net/

2004年/日本/121分 配給:東映

2005年06月10日よりDVDリリース 2004年12月11日、全国東映系ロードショー

(C)2004年「レディ・ジョーカー」製作委員会

公開初日 2004/12/11

配給会社名 0004

解説


今年、撮影所創業50周年を迎える日活が石原プロモーションの協力を得て放つ渾身の野心大作
日本映画の歴史を背負って、これまで数々の名作傑作を生み出しながら、長い歩みを続けてきた名門・日活が今回、撮影所創業50周年を期して、石原プロの特別協力を得て、製作に挑んだ–2004年最高最大の話題作。

現代社会の闇を裂いて起きた衝撃の企業誘拐事件
 大胆不敵にして用意周到な計画のもと、業界最大手のビール会社社長の誘拐が実行に移された。犯行に及んだのは、熟練の犯罪プロではなく、意外なことに社会の片隅に生きる名も無い男たちだった。—-彼らの狙いはいったい何か。
 一見、平穏に見える日常の水面下、人々の足許に音もなく忍び寄る現代社会の闇、見えない罠。バブル崩壊後の〈不況・不安・停滞・混乱〉が渦巻く日本この作品は、さまざまな社会犯罪事件をべースに、そこから激しくも悲しい壮大な人間ドラマを紡ぎだし、困難な時代を生きる人々を大いなる感動に誘う。

映画化絶対不可能〈高村薫・原作〉に挑む問題作
 社会派文学の旗手・高村薫が1997年に発表し、今日まで64万部の大ベストセラーとなって、現在も着々と部数を伸ばして気を吐く圧倒的巨編「レディ・ジョーカー」。〈グリコ・森永事件〉に想を得て書き綴られたこの小説は、そのスケール、その深遠な主題、その衝撃的なドラマ展開を以って、映画化絶対不可能とされていたもの。これを実に5年に及ぶ歳月を費やして、構想、脚本、製作準備を経て、遂に映画化を実現させた超大作である。

事件をめぐる犯行グループ・大企業・捜査陣の火花散る葛藤
〈レディ・ジョーカー〉と名乗る5人の犯人は、競馬場で知り合い親しくなった男たち。
 小さな薬店の老店主、中年のトラック運転手、信用金庫の職員、町工場の若い旋盤工、下積みのノンキャリア刑事というメンバー。そしてトラック運転手には、重度の障害をもったレディという12歳の娘がいる。彼らは身のうちに抱えた恵まれぬ境遇を生きながら、それぞれ異なった心境と理由で犯行に参画し、最大手のビール会社社長を誘拐する。この事件を巡って、犯行側の心情と動き、被害者である企業内部の混乱、そしてさらに捜査陣の執念と組織的矛盾などが絡み合う三者三様の人間像。併せて社会的強者と弱者の葛藤、理不尽な差別の問題、裏社会の不気味な存在までをも描ききって、クライマックスに突き進んでいく。

古巣日活で32年ぶりの主演・渡哲也を筆頭に充実の演技陣集結
 キャストは、人生最後の賭け〈企業人誘拐〉に打って出る主人公・物井清三に、古巣日活が32年ぶりの渡哲也。誘拐犯を追う執念の若手刑事に、〈21世紀の裕次郎を探せ〉で見事グランプリに輝いた新星・徳重聡が挑戦、ハードに映画デビューを飾る。この二人を筆頭に、誘拐グループには吉川晃司、大杉漣、吹越満、加藤晴彦、レディと呼ばれる少女には斉藤千晃。企業側には城山社長に長塚京三をはじめ岸部一徳、清水鉱治、辰巳琢郎。そして捜査陣には國村隼、外波山文明、矢島健一、菅田俊、光石研らが競演、充実したキャスティングが実現している。

現代社会にうごめく人間と情念を描きつくす気鋭のスタッフ陣容
 製作総指揮は中村雅哉。企画・製作は石原清行。原作は高村薫の「レディ・ジョーカー」(毎日新聞社・刊)。監督は「マリアの胃袋」でデビュー、「学校の怪談」で大ヒットを放ち、「愛を乞うひと」で数々の映画賞に輝いた平山秀幸、脚本は「月はどっちに出ている」「岸和田少年愚連隊」「愛を乞うひと」「OUT」の鄭義信。撮影は柴崎幸三。なお製作は「レディ・ジョーカー」製作委員会。特別協力は石原プロモーション。配給は東映。

ストーリー

川崎競馬場で知り合い、いつしか親しくなった五人の男たち。彼らはそれぞれ年齢も職業も互いに異なり、それぞれ心満たされることのない境遇を生きていた。物井清三は小さな薬店の店主。布川淳一はトラックの運転。高克己は在日の信用金庫職員。松戸陽吉は町工場の旋盤工。半田修平は陽の当たらない下積みの刑事。そしてもう一人、布川には重度の障害を持つ〈レディ〉という愛称の娘がいた。

−−平成十六年十月一日の深夜。大森中央署の刑事・合田雄一郎は、一本の電話で叩き起こされた。業界最大手、日之出ビールの社長・城山恭介が何者かに誘拐されたのだ。投げ込まれた脅迫状には、『社長ヲ預カッタ。5億出セ。レディ・ジョーカー』という文字が刻まれていた。直ちに大森中央署に設置された〈日之出ビール社長身代金目的誘拐事件特別捜査本部〉。そこで同世代の刑事、合田と半田は顔を合わせることになった。

誘拐された城山社長は、山梨県の本栖湖畔に建つプレハブ小屋に布川、高、陽吉らによって監禁されていた。物井と半田は携帯電話で次の手順を連絡しあった。大胆不敵なこの企業人誘拐は、これら五人の競馬仲間による犯行だった。
誘拐される三ヶ月ほど前、城山は秦野浩之という男から無理矢理、一本のカセットテープを押しつけられていた。そのテープには、今を去る五十数年前、昭和22年に日之出麦酒・神奈川工場を解雇された物井清二という社員が書いた会社宛の批判文が吹き込まれていた。今その清二は弟の物井清三に看取られて不遇な一生を終えていた。
秦野浩之は、息子の孝之が日之出ビールの入社試験で落とされたことに対して、再三抗議文を送りつけていた。秦野は被差別部落出身という生い立ちについて裏社会の人間から脅しを受けているフシもあり、しかも孝之が間もなくバイクの事故死を遂げていた。この孝之は物井清三の孫に当たる青年。つまり清三の娘が孝之の母親だった。

誘拐から二日後、物井ら犯人グループは、突然、城山社長を解放した。次の人質は350万キロリットルの商品〈日之出ビール〉という作戦だった。しかも要求額は20億。但し警察には5億と伝えること、その授受の日時・場所は追って指示すると、解放直前に城山に言い含めた、その際、城山は一枚の写真を手渡されたが、そこには城山の姪、佳子がくっきりと写っていた。佳子は城山社長の実弟で日之出ビールの取締役本部長、城山武郎の娘だった。
犯人の真意はいったい何なのか。解放された城山社長を迎えて役員室は困惑の色を深めた。脅迫の対象は会社なのか、城山個人か。重役陣は一昨年に10億の手切れ金で絶縁した岡田経友会の影にも怯えていたが、城山は一刻も早く20億を支払い、事を収拾したいと重役陣に頭を下げた。

一方、捜査本部は犯行グループ〈レディ・ジョーカー〉と城山社長の裏取引に疑念を抱き、合田刑事に城山の身辺警護と監視のため当分の間、社長付きを命じた。
その数日後、社長宅の郵便受けに送り主不明の封筒が投げ込まれていた。中には携帯電話が入っており、城山は合田刑事の目を盗んで犯人側との連絡を取った。携帯から洩れる『予定通り、明日、実行する』との声。捜査陣はこの身代金授受に人海戦術を取って当たったが、遂に犯行グループが姿を現わすことはなかった。はぐらかされた捜査陣。必死に犯人を追う合田を挑発し、半田がせせら笑った。

羽田のとある小さな工場で、鮮やかな赤い液体に変色した日之出ビールを物井、高、陽吉が囲んでいた。やがて最初の一本が江東区の食堂でさらにもう一本の赤いビールが多摩のファミリーレストランで発見され、それは全国に拡がる危機感を否応もなく募らせた。ビールは見事に人質となった。遂に起きた異物混入事件の脅威。城山社長が犯人と密通さえしていなければ、と合田刑事は鋭く城山を難詰した。
日之出ビール役員室−−そこでは〈レディ・ジョーカー〉から届いた指示に従い、20億円を支払う議決がなされていた。そしてその直後のこと、事業本部長の城山武郎が品川駅のホームから飛び込み自殺を遂げた。さらに捜査陣の一人、土肥刑事課長代理がピストル自殺するという事件が加わった。合田が深い疑惑を抱く半田の任意事情聴取が行われることになったとき、半田の元上司は死を選んだ。警察の内部から容疑者を出すことを畏れる組織の思惑。こうして半田の聴取は見送られたが、合田刑事の執念は変わることなく半田とその周辺を追い続けた。

物井らが敢えて社会を震憾させる犯罪に手を染めたのは何故か。被害を受けた企業と首脳陣のその後は。そして合田ら捜査陣は。
……男たちの背中が語る、守るべきものとはなにか。全ての恩讐を超えて辿り着く先とは……。

スタッフ

原作:高村 薫(毎日新聞社刊)
監督:平山秀幸
脚本:鄭 義信
製作:「レディ・ジョーカー」製作委員会
   日活
   東映
   毎日新聞社
   テレビ朝日
   葵プロモーション
   スポーツニッポン
   日本出版販売
企画・製作:日活
特別協力:石原プロモーション

キャスト

渡 哲也

徳重 聡
吉川晃司

国村 隼
大杉 漣
吹越 満
加藤晴彦
菅野美穂
岸部一徳

長塚京三

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