原題:TAIZO

1973年11月タイゾーはアンコールワットへ単独潜入。 その後消息を絶つ。

2003年/日本/ 配給:チームオクヤマ

2005年6月7日(火)〜16日(木)20時ファンタスティックシアターにてロードショー 2003年11月29日より渋谷シネ・ラ・セットにてロードショー

(C)映画「TAIZO」製作委員会

公開初日 2003/11/29

配給会社名 0153

解説



「もう1度自分を信じ、もう1度人を信じ、もう1度挑戦しよう
・・・あなたは真っ直ぐに生きていますか」
「うまく地雷を踏んだら、サヨウナラ!」1973年11月、友人にこう宛てた手紙を残し消息を絶った若者がいる。一ノ瀬泰造、26歳 アンコールワットへ単独潜入を試みた9年後、両親により遺骨が確認された。
幼い頃より父の影響でカメラを手にした少年は、何よりも写真を撮ることが大好きだった。青年となりインドシナに渡り、戦場カメラマンとなってからも変わらずシャッターを切り続けた。戦いを、戦禍の暮らしを、負傷者を、子供たちの澄んだ瞳を、亡骸を、美しいカンボジアの風景を・・・レンズの先にあるすべてを、彼はまっすぐに捉えファインダーを覗いた。そんな泰造がどうしても撮りたいと願ったアンコールワット遺跡は、当時、反政府軍であるカンボジア解放勢力の聖域だった。危険を冒して何度も潜入を試み、何とかフィルムに収めたいと日に日にその想いを強くしていった泰造。
なぜそこまでして・・・?友人・知人は謎を抱えたまま、それぞれの歳月を重ねた。現地の人々の記憶にはいつまでも彼の思い出が色あせず輝いていた。残された父と母は、遺品 2万コマのネガを焼き続け、浮かびあがる被写体を通して息子に語り続けた。
時代は激動し人も世界もは変わった・・・30年近く経た現代、彼の生き様に惹かれカメラを廻した1人の女性がいる。当時を知る友人・知人や仕事を共にした仲間の証言、息子の写真集を制作しようとする母の信子さんの姿、彼の愛したカンボジアの人々・風景・・・3年間の緻密な取材から生まれたのが、ドキュメンタリー映画「TAIZO」である。
そこには英雄というより、時代に立ち続けようとする等身大の若者の姿があり、名誉や金を求める貪欲さや戦場カメラマンとしての葛藤があった。まっすぐに夢を追い、その夢に命を賭けて精一杯生きようとした思いがあった。彼はなにを見て、なにを求めたのか。そして、わたしたちは今、彼を通して何を感じ、なにを求めているのだろう・・・2005年、一ノ瀬泰造を通して伝えたい物語がある。

「想いは永遠に・・・」
2003年11月29日、一ノ瀬泰造30周忌記念上映として「TAIZO」は渋谷の小さな映画館で上映された。戦場カメラマンをテーマにしたドキュメンタリー映画にもかかわらず、会場は多くの人々であふれ、映画は大きな反響を呼んだ。熱いまなざしの若者、仕事帰りのOL、同世代を生きたサラリーマン、当時の泰造と同じ年の子供をもつであろう中年女性・・・年代も世代も様々な人々が映画「TAIZO」を通してつながっていた。
 今回初めて映画の世界に携わり、監督を果たした中島多圭子は、かつてテレビのキャスターという華やかな世界にいた。一ノ瀬泰造の存在を知ったのは、あるテレビ番組を担当一年で降板という挫折を味わった頃。彼の生き様がどうしょうもなくまぶしかった。それから彼女はカメラを片手に、カンボジアやベトナム、泰造の故郷、佐賀県武雄市と3年もの間ただ一人で飛び回った。彼を追いかけることで自分の人生をもう1度信じようするかのように。そんな彼女の姿に共感し音楽を手がけたのは、日本におけるシンセサイザーの権威 深町純。彼のピアノソロは泰造の朴訥さから破天荒っぷりを適確にとらえ、泰造の心境にぴったり寄り添っている。
 小さな映画館の大きな賛同の声と連動して著名人の間にも、この映画をサポートしようとする動きが始まった。 賛同著名人のサインという形で始まった活動が、2004年、「TAIZO」を100万人に伝える会として発足した。会では「もっと多くの人にこの映画を観てほしい」という上映拡大の要望を受け、一部再編集を加えた35mmフィルム映画「TAIZO」完成版が生まれた。映画の主題歌を願い出てくれたのは森山良子。彼女も「TAIZO」に心を打たれた1人、優しく映像を包み込むような歌声が、この映画のもう1つのテーマとも言える母の愛を鮮やかに想起させる。
そして今、「TAIZO」を100万人に伝える会では、将来的に泰造の愛したカンボジア、シェムリアップの小学校を再建しようという動きも始まっている。
人の命は永遠ではない。だが想いは世代を超え、場所を越え、永遠に生き続けることができるのではないだろうか。一ノ瀬泰造と出会った1人1人の想いがこの映画に存在するように・・・。

ストーリー

スタッフ

監督・撮影:中島多圭子
製作:奥山和由
音楽:深町純
主題歌:森山良子
編集:山田宏司
配給:チームオクヤマ

キャスト

声の出演
一ノ瀬泰造:坂口憲二
一ノ瀬清二:川津祐介

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