原題:PTU

香港ネオ・ノワールの旗手、ジョニー・トーの傑作ノワール登場!

第4回東京フィルメックス2003特別招待作品::http://www.filmex.net/ 香港アカデミー賞 最優秀監督賞受賞 金馬奨 最優秀脚本賞受賞 シアトル国際映画祭 アジアントレイドウィンズ賞 金紫荊賞(ゴールデン・バウヒニア賞) 最優秀作品賞受賞/最優秀監督賞受賞 最優秀主演男優賞受賞/最優秀助演男優賞受賞 最優秀助演女優賞受賞/最優秀脚本賞受賞

2003年/香港/88分/1:1.85 提供:キングレコード パンドラ 配給:パンドラ

中国映画の全貌 2007にて上映::http://www.ks-cinema.com/schedule.html 2005年10月05日よりビデオリリース 2005年10月05日よりDVDリリース 2005年4月23日、ユーロスペースにてロードショー

公開初日 2005/04/23

配給会社名 0063

解説


香港きっての繁華街である尖沙咀(チムサァチョイ)。その昼間の賑やかな喧騒とは裏腹に、夜になるとそこは不気味な静寂が包み込み闇の迷宮と化す。深夜未明、犯罪が横行する雨上がりの路上で、それぞれが事件を追う警察チームたち⋯黒社会対策課の刑事、特捜課のCID、そして機動隊であるPTU。闇のパズルを繋ぎ合わせるかの様に事件の核心へと迫っていく彼らだが、全てのピースが埋められた午前4時⋯それぞれに起きていた出来事は絡まり合い、偶然は必然となって彼らへと襲い掛かってくる。夜明けまでまもなく⋯そして事件の真相が明かされる⋯。

真夜中を舞台に、事件を追うそれぞれの香港警察チームたちの困惑し葛藤する姿を、スタイリッシュな映像と圧倒的な演出力で見事に描いた香港ネオ・ノワールの傑作。独創的なストーリーを軸に作品全篇を包み込む闇を生かした独創的なライティングと、実際に深夜の街で敢行されたロケーション、そして徹底したリアルな警察描写は、ドラマに緊迫感を持たせる事に成功し、今までに無かった衝撃と体験を我々に与えてくれる。

1980年代、香港ノワールというべきジャンルを生み出したジョン・ウー監督の『男たちの挽歌』(86)以降、その流れを受け継いだと言われているジョニー・トー監督が作り上げるサスペンス・アクション作品は、現在、香港ネオ・ノワールの旗手として世界中の映画人、ファンから高く評価されている。本作『PTU』はまさに彼の集大成とも言うべき作品で、撮影から完成までに何と2年の歳月をかけて作り上げた渾身の作品である。

ジョニー・トー監督は70年代末に香港ニュー・シネマの立役者として監督デビューし、80年代はTVドラマ界の旋風児にして映画界ではヒット・メーカーとして高い評価を受ける。そして90年代になってからは、従来の香港映画とは違った着眼点を持って作品製作を開始し、これにより独特の作風と斬新な発想の作品を発表し続ける事となり現在に至る。『PTU』を「本当に撮りたかった作品⋯」と自ら言うだけあって、製作にあたっては根気強く妥協を許さぬ姿勢が貫かれた。

元々エンターテイメント主義の香港映画界に於いて、『PTU』の様な作品はマーケットからすると地味な印象を拭えず、出資を集うのは困難だった。その為にトー監督は『痩身男女』(01)や『アンディ・ラウの麻雀大将』(02)などのヒット作を撮り上げ資金を確保。その合間を縫って撮影を続けた。自作の『ザ・ミッション 非情の掟』(99)でも見受けられる様に、あえてビッグ・ネームのスターを起用せず、出演した実力派や若手俳優たちの熱演も手伝って作品は遂に完成。その結果、香港のアカデミー賞である第23回香港電影金像奨では最優秀作品賞を勝ち取った(予断だが作品、脚本、主演男優賞はトー監督の『マッスル・モンク』が受賞している所が興味深い⋯)。

出演は『ワイルド・ブリット』(90)、『トゥームレイダー2』など多数の作品で知られる香港きっての実力派俳優、サイモン・ヤムを筆頭に、ジョニー・トー作品常連俳優で『ザ・ミッション 非情の掟』(99)、『フルタイム・キラー』(01)のラム・シュー、『黒薔薇vs黒薔薇』(92)、『ロンゲストナイト』(98)のマギー・シュウ、『暗戦 デッド・エンド』(99)、『ダブルタップ』(00)のルビー・ウォン、『ニーディング・ユー』(00)、『ヒロイックデュオ 英雄捜査線』(03)のレイモンド・ウォンらが集い、ドラマを更に盛り上げている。

また本作がベルリン国際映画祭で上映されたのを皮切りに現在、世界各国でもジョニー・トー作品の評価は更に高まり続けている。まさにこれからの香港、そしてアジア映画界で最も注目すべき監督の一人である。

ストーリー


●2000年9月14日深夜未明、尖沙咀(チムサァチョイ)
香港九龍(カゥルン)半島・尖沙咀。夜の繁華街に今朝起きた強盗事件のニュースが流れている。犯人は武装した4名で警官1名を射殺し、現在も市内を逃走中である。事件を聞いた機動隊(通称:PTU)の第二連小隊は、マイク・ホー(サイモン・ヤム)隊長の指揮の元、夜の繁華街に降り立ちパトロールを開始する。隊長以下、隊員たち(マギー・シュウ、レイモンド・ウォン)のモットーは「制服を着ているのは仲間だ」そして「重要なのは無事に家に帰る事」だった⋯。

●方榮記レストラン
黒社会構成員幹部・ポニーテールが4名の部下と共に食事中の所へ、その日、たまたま非番だった黒社会対策課(通称:反黒組)のロー・サァ(ラム・シュー)刑事が来店し偶然に遭遇。店内には不穏な空気が流れる。ポニーテールは部下達に指令を出し全員が退店。またロー刑事も急遽、上司の呼び出しを受け退店し事無きを得る。その後、一人で食事を続けるポニーテールだったが、店内で客を装っていた若い男に突如、鋭利な刃物で背部から刺され傷は胸部を貫通。ポニーテールは自力で病院へと向かうが、多量の出血により死亡する。

一方、店外へ出たローは自分の車をポニーテールの部下が傷つけているのを発見。逃走する犯人を追跡する⋯。

●利群ビルディング裏
犯人を物陰へと追い詰めたローは、うっかりとバナナの皮で足を滑らせ失神。犯人は逃走してしまう。付近をパトロール中のPTUは情報を聞きつけ現場へと急行。受傷したローの手当てをし状況を確認。するとローは携帯していた拳銃を紛失していた。事件を重く見たマイクは隊員たちと共に勤務交代時間の朝までに拳銃を探す事を決定。ローは上司の呼び出しへと向かう⋯。

●ゲームセンター
ローの証言によれば拳銃を盗んだのはポニーテールの部下らしい。PTUはポニーテールの従兄弟で、黒社会構成員幹部・マットたちが屯しているゲームセンターに於いて彼らを執拗に尋問するが、成果は得られなかった⋯。

●路上
その頃、ローは事件現場へと急行。そこでは鑑識によってポニーテールの検死がされていた。拳銃を紛失し焦るローは偶然、現場にあったポニーテールの携帯電話を勝手に持ち出してしまう。また、そこへ別の事件を追っていた特捜課(通称:CID)のチョン・ライグァ(ルビー・ウォン)警部らが到着。事件との関連性を調べるがその時、挙動不審なローの行動を見たチョンは、彼を疑い追跡を開始する。

●同・路上
ローの拳銃を探しながらPTUはパトロールを続ける内に、多発する車両盗難事件に遭遇、そして出会った売人からポニーテールたちのアジトの情報を得る⋯。

●尖沙咀東(チムサァチョイ・イースト)・路上
その頃、ローは尖沙咀の顔役と接触。ポニーテールの父でボスのバルヘッドが犯人を捜していることを知る。バルヘッドは犯人を対抗組織のボス、アイボールであると断言。だが、彼は無実でローに助けを求めているらしい。そこへCIDが到着、ローは監視の目が光っている事を知る⋯。

●雑居ビル
ビルへと潜入したPTUは突入するが、部下達の姿はどこにも無く、残っていた女性達の証言により連れさらわれた事が発覚する⋯。

●別の雑居ビル
その頃、拳銃の行方を求めて今度はバルヘッドと接触したローは、逆に彼からアイボールを呼び出せと脅され、それが出来れば拳銃を返してやると提案される。崖っぷちに立たされ苦悩するロー⋯。

●中国氷室レストラン
閉店間際のレストラン。小休止と夜食を取るPTUの元にローが合流⋯問いただすマイクに彼は「午前4時に広東道(カントンロード)には近づくな⋯」と謎めいた言葉を告げる。そこへチョンらCIDが突入。ローは店外へと逃走する⋯。

●2000年9月15日午前4時、尖沙咀・広東道
静まり返ったカントンロード。謎の男が1人で走り回り、ローがそこで何かを待っていた。PTUは再びパトロール中に車両盗難事件に遭遇。それを追う内にそこへとやって来る。そしてやって来たアイボールとバルヘッド、バルヘッドを監視していたCID、そして謎の男とタクシーから降り立った3人の男。全てが揃った時、迷宮の様な闇夜の謎は一つへと繋がる明かされる⋯果たして事件の真相とは?⋯。

スタッフ

監督:ジョニー・トー
製作:ジョニー・トー/パトリック・トン
脚本:パトリック・ヤウ/アウ・キンイー
撮影:チェン・シウキョン
音楽:チュン・チーウィン
配給:パンドラ

キャスト

サイモン・ヤム
ラム・シュー
ルビー・ウォン
マギー・シュウ
レイモンド・ウォン
エディ・コー

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