原題:RUNAWAY JURY

全米公開:2003年10月17日

2003年/アメリカ映画/スコープサイズ/SRD/SDDS/7巻、3.494m/上映時間:2時間8分 配給:東宝東和

2004年07月23日よりビデオレンタル開始 2004年07月23日よりDVD発売開始 2004年1月31日(土)日比谷映画ほか東宝洋画系にてロードショー

公開初日 2004/01/31

配給会社名 0002

解説


ニューオーリンズの証券会社で銃の乱射事一件が勃発。犯人は11人を殺害し、5人に重傷を負わせたのち自殺を遂げた。それから2年後、犯行に使われた銃の製造と販売責任をめぐり、犠牲者の未亡人のひとりが民事訴訟を起こした。訴えられたのは、大手の銃器メーカー。もしも彼らがこの裁判に負ければ、全米中で同様の訴訟の嵐が巻き起こるのは必至だ。絶対に勝たねばならない闘いを前に、被告側は伝説の陪審コンサルタントを雇い、評決の鍵を握る陪審員に対して裏工作を進める。その渦中で、暗躍を始める9番目の陪審員ニック・イースター。謎めいた過去を持つ彼は、ある目的を持って、今回の陪審団に潜り込んでいた。果たして、その目的とは何なのか?そして、原告・被告の双方に「陪審員売ります」のメモを送りつけたマーリーの正体とは?全米中のマスコミが固唾を呑んで見守る中、いよいよ法廷を舞台にした熱いバトルの幕が上がる!
銃社会と訴訟社会。アメリカという国を象徴的に物語るふたつの問題を切り口に、裁判の裏と表でデッドヒートする激烈な頭脳戦を、疾走感あふれるタッチで描写したリーガル・エンタテインメントが登場した。CIAさながらのハイテク機器を駆使して、陪審員工作をはかる被告側のコンサルタント。彼との勝負に劣勢を強いられ、評決を金で買う誘惑に負けそうになる原告側の弁護士。そして、陪審団の内部から、評決の行方を操作しようとする9番目の陪審員。巨額の金がからんだ裁判の主導権をめぐり、彼らが演じる三つ巴の闘いをダイナミックに描き出した本作は、「評決の奪い合い」というまったく新しい角度から、法廷闘争のスリリングな内幕に迫った知的エンタテインメントだ。
原作者は、リーガルエンタテインメントの第一人者として、『ザ・ファーム/法律事務所」『評決のとき』『依頼人』『ペリカン文書』などのヒット作を世に送り出したジョン・グリシャム。彼の1996年のベストセラー『陪審評決』を元にした物語は、オリジナルのタバコ訴訟を銃訴訟に置き換えて映画化されている。これは、『ボウリング・フォー・コロンパイン』がアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞した例からもわかるとおり、銃という題材が、アメリカにとってより切実な社会問題になっている点を反映してのこと。そのタイムリーな設定に加え、見る者の興味をかきたてずにはおかないのが、陪審員工作のエスカレートぶりを物語るエピソードだ。弁護士よりも強大な権力を持ち、収賄や恐喝もいとわず評決を奪い取ろうとする陪審コンサルタントの驚くべき手口。法廷での闘いよりも法廷外での裏工作のほうが意味を持つアメリカの裁判の実態を赤裸々に描き、陪審制度の盲点を指摘する視点を備えた骨太のドラマは、日本でも法案化が進行しつつある裁判員制度の導入とからみ、大きな話題を呼ぶことだろう。
作品をめぐるもうひとつの話題は、ハリウッドを代表する演技派スターによるゴージャスなアンサンブルだ。裁判全体を牛耳るほどのパワーを持つ被告側の陪審コンサルタント、ランキン・フィッチに扮するのは、『フレンチ・コネクション』『許されざる者』で2度のアカデミー賞に輝く名優ジーン・ハックマン。彼に追
いつめられていく原告側のベテラン弁護士ウェンドール・ローアに扮するのは、やはり『クレイマー、クレイマー』と『レインマン』でアカデミー賞を受賞しているダスティン・ホフマン。劇中、裁判所のトイレを舞台にしたシーンで、息詰まる直接対決を見せるふたりは、映画界入りする以前の新人時代にルームメイトだったこともある親友同士。本作は、彼らにとって、30数年ごしの共演の夢をかなえる記念すべき作品となった。そんな大ベテランのふたりを相手に、一歩も引けをとらない熱演を見せるのが、『アイデンティティー』を全米ナンバー1のヒットに導いたジョン・キューザックだ。彼が演じるニックは、陪審団に紛れ込んで評決の行方をかき乱すという善玉とも悪玉ともつかないキャラクターだが、これをキューザックは、持ち前
のチャーミングな個性を光らせて好演。映画全体を通して観客をグイグイ物語に引き込む役目を担いながら、原作ファンをも捻らせる驚きが待ち受けたラストに、爽快な感動を呼び起こす。さらに、このキューザックとコンビを組む謎めいた女マーリーの役どころで、『ハムナプトラ』
シリーズのレイテェル・ワイズが出演。ハックマン&ホフマンを相手に白熱した駆け引きを演じ、ドラマの緊迫感を大いに盛り上げる。
脇を固めるキャストもベテラン揃いだ。フィッチの操り人形と化した被告側弁護士を演じるのは、『ロングタイム・コンパニオン』でオスカー候補にあがったブルース・デイビソ
ン。ニックに昼食をおごらされるハーキン判事を演じるのは、『マッチスティック・メン』での好演ぶりが記憶に新しいブルース`マッギル。原告側の陪審コンサルタントとしてローアと二人三脚の道を歩むローレンス・グリーンには、『セレンディピティ』のジェレミー・ピーブン。また、陪審団のメンバーには、『クジラの島の少女』のタリフ・カーティス、『トラフィック』のルイス・ガスマン、『スパイダーマン』のビル・ナン、『フラッシュダンス』のジ
ェニファー・ビールスといった個性派が結集し、力強いサポートぶりを見せている。
頭脳アクションと呼ぶべき快テンポのストーリーテリングに冴えを見せる監督は、『コレクター』『サウンド・オブ・サイレンス』の2作を大成功に導き、ハリウッド・サスペンス
の新しい旗手として脚光を浴びるデイリー・フレダー。彼と共同で製作にあたるのは、グリシャム原作の『依頼人』『評決のとき』を手がけた
アーノン・ミルチャンと、ヒッチコックのリメイク作『ダイヤルM』をヒットさせたクリストファー・マンキーウィッツ。彼らサスペンスの達人のもと、集結したスタッフにも一流どころが揃った。ニューオーリンズの街のクラシカルな表情を、シャープなストーリー展開の中にいかす映像を作り上げた撮影監督は、『パンチドランク・ラブ』をはじめとするポール・トーマス・アンダーソン作品で知られるロバート・エルスウィット。切れ味のいい編集は、『トッツィー』『愛と哀しみの果て』『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』で3度オスカー候補にあがったウィリアム・スタインカンプ。ドラマの興奮と緊張を盛りヒげる音楽は、『ソードフィッシュ』『シッビング・ニュース』のクリストファー・ヤングが手がけている。

ストーリー

事件は、月曜日の朝に起こった。ニューオーリンズの証芥会社に、リストラされた元社員が乱入。銃を乱射して11人を殺害し、5人に重傷を負わせたすえ、自らの命を絶ったのだ。この2分たらずの犯行によって、セレステ・ウッド(ジョァンナ`ゴーイング)は最愛の夫ジェイコブ(ディラン・マクダーモット)を失った。やり場のない悲しみと怒りを抱えた彼女は、凶器として使われた銃メーカーの責任を問う民事訴訟を起こそうと決意。地元のベテラン弁護士ウェンドール・ローア(ダスティン・ホフマン)に、代理人を依頼する。
2年後。全米中が事の成り行きに注目する中、いよいよセレステの訴訟が地裁にかけられることになった。被告のヴィックスバーグ社にとって、これは絶対に負けられない闘いだった。もしもこの裁判に負ければ、全国で同様の訴訟が起こり、想像を絶するほど巨額の賠償金を支払うハメに陥るからだ。そして、その脅威は、ヴィックスバーグ社のみならず、武器業界全体に及ぶものとなる。この非常事態に際し、連合軍を組んだ銃器メーカーの経営者たちは、ひとりの男を自分たちの陣営に雇い入れた。その名も、ランキン・フィッチ
(ジーン・ハックマン)。彼は、あらゆる手段を駆使して陪審員の評決を勝ち取ることで知られる伝説の陪審コンサルタントだ。早速ニューオーリンズに乗り込んできたフィッチ
は、フレンチ・クォーターの倉庫にハイテク装備の司令室を設営。尾行、張り込み、盗聴といった手を使い、陪審員候補者をフルイにかける作業を開始する。
フィッチの調査ターゲットにされた陪審員候補のひとりに、ニックーイースター(ジョン・キューザック)がいた。ゲーム販売店に勤める彼は、フィッチが客として送り込んだスパイに、過激なシューティング・ゲームを嬉々としてすすめる。その模様を盗撮した映像が司令室で流されたとき、フィッチのスタッフは、ニックこそ理想の陪審員だと確信した。だが、当のフィッチは、前歴が謎に包まれたニックに何か危険なものを感じる。
陪審員選出の日。フィッチの勝負は、9割方、ここで決まるはずだった。司令室に陣取った彼は、法延のライブ映像と手元のデータを付け合わせながら、次々と自分たちに不利な陪審員候補に却下の判断を下していく。その指示をイヤー・プラグの無線で聞きながら、実際に法廷に立つ被告側弁護士のダーウッド・ケーブル(ブルース・デイビソン)は、フィッチの単なる操り人形にすぎなかった。
午後に入り、いよいよニックの審査が始まった。フィッチのリストによれば、この候補者は「要注意」。しかし、彼が判定を下す前に、陪審員義務を軽んじる発言をしてハーキ
ン判事(ブルース・マッギル)の大目玉をくらったニックは、なかば強制的に陪審員団に加えられることになった。このニックの参加が、フィッチ陣営に最初の番狂わせをもたらした。彼らの目論見では、陪審長には元軍人のフランクー・ヘレーラ(タ
リフ・カーティス)が選ばれるはずだった。だが、実際に選ばれたのは、ニッタが推薦した盲目のハーマン・グライムズ(ゲーリー・バマン)だった。銃に肯定的な意見を持つヘレーラの先導で、評決をリードしょうと考えていたフィッチたちは、ここで大きく当てが外れてしまう。彼らにとって、陪審員の弱味をみつけ出して圧力をかける作業が、にわかに重要性を帯びてきた。
そして迎えた冒頭陳述の日。原告、被告双方の席に、一通の封筒が届けられた。中に入っていたのは、12人の陪審員の写真の上に、「陪審員売ります」の文字を記した1枚のメモ。
その夜、フィッチとローアは、マーリー(レイテェル・ワイズ)と名乗るメモの差出人から電話連絡を受ける。「値段次第で、評決はどちらにも転がる」。マーリーの言葉を聞いたフィッチは、その日の昼、判事のおごりで陪審員全員に高級レストランのランチをふるまうスタンド・プレーを働いたニックが、マーリーと組んで評決を誘導する役目を担っていると睨み、彼の身辺を徹底的に洗い出すよう、部下に指示を与える。
フィッチの読みは当たっていた。ニックとマーリーは、全米中の銃訴訟を追いかけ、陪審団に紛れ込むチャンスを狙っていたのだ。いま、百戦錬磨のフィッチとローアを相子に、危険な駆け引きに乗り出したふたり。彼らは、自分たちが「本気」であることを証明するために、フィッチのお気に入りの陪審員の飲酒を暴き、法廷から追放する作戦を実行に移す。裁判のコントロール権を奪われ、焦りを覚えるフィッチ。いっぽう、フィッチのたくらみによって重要証人を失ったローアは、マーリーの申し出を受けるかどうかで揺れ動く。マーリーが、フィッチとローアに提示した評決の売値は、1000万ドル。だが、果たして彼らの日的は、その金だけなのだろうか?形成がどちらに傾くかまったく予断を許さないまま、裁判は、ついに評決のときを迎える一。

スタッフ

監督:ゲイリー・フレダー
製作:ゲイリー・フレダー、クリストファー・マンキウィッツ、アーノン・ミルチャン
製作総指揮:ジェフリー・ダウナー
原作:ジョン・グリシャム
脚本:ブライアン・コッペルマン、デヴィッド・レヴィーン、
   マシュー・チャップマン、リック・クリーヴランド
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:ウィリアム・スタインカンプ
音楽:クリストファー・ヤング 

キャスト

ジョン・キューザック
ジーン・ハックマン
ダスティン・ホフマン
レイチェル・ワイズ
ブルース・デイヴィソン
ブルース・マッギル
ジェレミー・ピヴェン 
ニック・サーシー
スタンリー・アンダーソン
クリフ・カーティス
ジェニファー・ビールス
ネストール・セラノ
リーランド・オーサー
ジョアンナ・ゴーイング
ビル・ナン 

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