原題:INTACTO

“運”を奪って、生き残れ。

2001年/スペイン/カラー/108分/ドルビーデジタル/シネマスコープ 配給:日本ヘラルド映画、クロックワークス

2003年9月20日より、シネセゾン渋谷にてロードショー 2004年05月21日よりビデオリリース 2004年05月21日よりDVDリリース

公開初日 2003/09/20

配給会社名 0058/0033

解説


飛行機の墜落事故で237人中たった1人生き残った男トマス。入院している彼の前に、謎の男フェデリコが現れカードを差し出した。ハートのエースを引いたトマスは、ある“ゲーム”にエントリーされてしまう。それは他人の“運”を奪って戦い、最後に勝ち残った者には「世界一の強運」を持つ老人、30年間負けた事の無いサミュエルとの命をかけた対決が待っているというものだった…
2002年サンダンス国際映画祭正式出品を皮切りに2002年カンヌ国際映画祭批評家週間、2002年トロント国際映画祭ほか世界各国の映画祭で絶賛され、2002年スペイン最高峰の第16回ゴヤ賞では7部門にノミネート、最優秀新人監督賞・最優秀新人男優賞を受賞した「10億分の1の男」は、1997年第69回アカデミー賞短編映画部門にデビュー作『Eposados』(96)がノミネートされ一躍スペイン映画界期待の星となったファン・カルロス・フレスナディージョの第1回長編作品である。注目すべきは「オープン・ユア・アイズ」(97)を経て「アザーズ」(01)を監督しスペインだけでなくハリウッドでも大成功をおさめたアレハンドロ・アメナバール作品をプロデュースして新人監督の発掘に定評があるフェルナンド・ボヴァイラが本作のエグゼクティブ・プロデューサーを務めている事である。さらにブエナビスタ社がリメイク権を取得。ボヴァイラが「オープン・ユア・アイズ」だけでなく「バニラ・スカイ」(01)でもエグゼクティブ・プロデューサーを務めた事は記憶に新しい。斬新なストーリーと巧みな演出で“運”という抽象的な存在を見事に映像化し高い評価を受けたフレスナディージョはヴァラエティ誌による本年の「将来を注目すべき10人の監督」にも選ばれ、ハリウッド進出が今最も期待される逸材である。

ストーリー


フェデリコはカジノで勝ち続ける客がいると、さりげなく身体に触れて相手の“運”を奪い勝てなくする事ができる。彼は幼い頃大地震で生き埋めになっていたところをサムに助けられ、その能力を授けられた。フェデリコ以外の人間には顔を見せないサムはカジノを経営するだけでなく、秘密の地下室である“ゲーム”をおこなっていた。自分の財産もゲームで得たものも、いずれはすべてフェデリコに与えるつもりだった。しかしフェデリコはサムのもとから黙って出て行こうとした。するとサムが現れ「黙って行ってしまうのか、抱擁もせず?」そう言ってフェデリコを抱きしめた。その瞬間フェデリコは、サムに与えられた“運”を奪う能力をサムによって奪われ、荒涼とした砂漠の真中に1人放り出された。
7年後——。
飛行機の墜落事故が起こり乗っていた237人中たった1人トマス・サンスだけが生き残った。意識不明の彼を病院に運ぶと服の下に大量の札束を隠しており、1ヶ月前に銀行強盗をして逃走していた事がわかる。意識が戻ると女刑事サラの監視下で入院させられ、恋人と写したポラロイド写真1枚だけ所持を許された。その頃フェデリコは強運な男を捜しており、飛行機事故の事を知って保険のエージェントを装いトマスの病室に入りこんだ。「エースがでたら逃がしてやる」とカードを差し出すと、戸惑いながらトマスが引いたのはハートのエースだった。その夜フェデリコと共に病院を抜け出したトマスはプレーすれば自由と大金を得る約束で“ゲーム”にエントリーする。参加資格は強運である事、そして現金以外のものを賭ける事だった。賭けた証はポラロイド写真に記録され、第1のゲームが始まった。参加者は頭に糖蜜を塗り目隠しをしてテーブルに座る。明かりが消えると巨大な昆虫が放たれて飛びまわり、静かになって明かりがつくと昆虫はトマスの頭に止まっていた。勝った2人はスポーツカーと別荘を手に入れた。別荘で安心したフェデリコが眠っている間に、トマスは公衆電話から一緒に飛行機に乗るはずだった恋人のアナに電話した。留守番電話にメッセージを残し別荘に戻ると、すぐに警官が駆けつけてきた。写真に写っていたアナの家にはサラの部下が逆探知器をしかけて張り込んでいたのだ。2人は何とか逃げ延びたが、別荘の持ち主アレハンドロのところにサラがやって来る。アレハンドロは現役時代一度も怪我した事のない元闘牛士で、2人が忍び込んだように細工したが、サラに見抜かれゲームの事を知られてしまった。サラはトマスを逮捕するため、アレハンドロの邪魔をしない約束でゲームにエントリーする。家族全員が乗った自動車で事故に遭い、夫と子供を亡くして自分1人が助かった強運なサラには参加資格があった。第2のゲームは用意された数人の中から1人を選びポラロイドで写す=人間を賭けるゲームだった。指示に従ってサラは1人の男を選んで写真を撮り、次に目隠しをして“運”を奪う為に抱擁した—。第3のゲームに向かいながらフェデリコはこのゲームに勝ったら30年負けた事の無いサムに挑戦し、「世界一の強運」を手に入れる事ができると熱く語った。今度のゲームは目隠しをして森の中を全速力で走り、一度でもぶつかったり転んだりした者は負けとなる。トマスが準備している間にフェデリコは盗みだした写真でアナを賭けた。写真(所有する人間)が多いほど、奪った“運”は強大になるからだ。そしてゲームが始まり、参加者は次々と脱落していった。ついにトマスはアレハンドロと2人だけになり勝利を確信した瞬間、木に顔をしたたか打って倒れた。まさかの敗北に呆然としているトマスを放ったままフェデリコは去っていった。アレハンドロはとうとうゲームの頂点サムに挑戦する為ウカンカの地に向かった。最後となる第4のゲームは、弾を6発すべて詰めてある銃から一発だけ抜き、銃創を回転させて相手を撃つという特別なロシアンルーレットだった。“運”を自由に操り30年勝ち続けてきたサムにアレハンドロも敗れ、アナの写真はサムの手に渡った。その頃アナを取り戻そうとトマスは、必死で探し出したフェデリコと共にウカンカにやって来た。時を同じくしてサラも、病院に来た男がフェデリコただと気付き2人を追ってウカンカのカジノに潜入した。勝者は“運”を自由に操る男サムなのか、それとも愛の為に戦うトマスなのか。サム、トマス、フェデリコそしてサラ、全員が自分の“運”を賭け聖地ウカンカに集合した。世界一の強運を手に入れるのは誰なのか。秘密の地下室ではゲームが始められようとしていた…。

スタッフ

監督:フアン・カルロス・フレスナディージョ
脚本:フアン・カルロス・フレスナディージョ、アンドレス・M・コッペル
製作総指揮:フェルナンド・ボヴァイラ、エンリケ・ロペス・ラビニュ
プロデューサー:サバスチャン・アルバレス
撮影監督:ハビエ・ヒメネス
美術監督:セサール・マカロン
音楽:ルシオ・ゴドイ
編集:ナチョ・ルイス・カピリァス
録音:アイトール・ベレンゲール
録音編集:ポロ・アレド
メイク:ホルゲ・ヘルナンデス
衣装:タチアナ・エルナンデス
キャスティング:サラ・ビルバトゥア

キャスト

トマス:レオナルド・スバラグリア
フェデリコ:ユウセビオ・ポンセラ
サラ:モニカ・ロペス
アレハンドロ:アントニオ・デチェント
サム:マックス・フォン・シドー

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