原題:The Company

幕が上がる。人生が始まる。

2003年/アメリカ・ドイツ/カラー/112分/ 配給:エスピーオー

2004年12月23日よりビデオレンタル開始 2004年12月23日よりDVD発売開始 2004年7月24日、日比谷シャンテシネ、bunkamuraル・シネマにてロードショー

公開初日 2004/07/24

配給会社名 0116

解説


監督ロバート・アルトマンが39作目にして繰り広げる<究極の美>の世界一2002年アカデミー賞7部門ノミネート、最優秀脚本賞の栄誉に輝いた『ゴスフォード・パーク』の次に巨匠アルトマンが選んだ新たな題材は“バレエ”だった。
シャーリーズ・セロン、パトリック・スウェイジなどの才能を輩出した、アメリカ・シカゴを本拠地とする名門バレエ・カンパニー“ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ”。
そのトップ・ダンサーたちとロバート・アルトマンによる夢のコラボレーションが実現した。
躍動感溢れる華麗なるステージワーク、ダンサーたちの素顔、そして贅沢な感動99光、音、さらに繊細で表情豊かな肉体が奏でる究極の美<バレエ>を追求する人々がアルトマンの創作意欲を大いに刺激し、待望の最新作を完成させた。

本作に出演するバレエ・ダンサーたちはネーヴ・キャンベルを除き、すべて“ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ”の現役メンバーだ。レッスンシーンにはラー・ルボヴィッチ(「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」)、ロベール・デロジエ(「青い蛇」)など国際的な振付家自身が出演し、臨場感あふれるドキュメンタリー感覚の作劇が展開されている。またアルトマンは、ジョフリー・バレエの魅力を完壁にカメラにおさめるために、初のHDビデオカメラでの撮影に挑み、従来のバレエ映画では見られない迫力あるダンスシーンを撮ることに成功。舞台上で展開されるステージを、ライブ感、立体感に満ちた“原色の生き物”のようにとらえ、舞台の緊張感をスクリーンに映し出した。
これまでハリウッド映画界の内幕を描いた『ザ・プレイヤー』(92)、パリ・コレクションの裏側にカメラを持ち込んだ『プレタポルテ』(94)などショー・ビジネスをモチーフにいくつかの作品を手がけてきたアルトマン。本作では、“ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ”というアメリカでもっとも愛されているバレエ・カンパニーとダンサーの姿を、自ら得意とする群像劇というかたちをとりつつ、映像におさめたのは稽古に励むダンサーたちのきわめて自然な日常であった。妥協を許さない厳しいレッスン、振付家との葛藤、華麗なるステージ、怪我との闘い、そして舞台を離れてみせる若者としての素顔、恋人との時間、家族の対話、アルバイト、友達との語らい…、ありふれた日常の一コマを生き生きと切り取った、これまで誰も目にすることのなかった<真実のバレエ・ワールド>がここにある。

ダンサーとしてひたむきに生きるライ役をダンスシーンでも代役をたてることなく演じた女優、ネーヴ・キャンベル。映画女優としてハリウッドで着実にキャリアを重ねてきた彼女は、<バレエ>を確固たる視点でとらえた作品を自らの手で創り上げたいと考えていた。それが『バレエ・カンパニー』の出発点である。6歳の時からダンサーとして活動し、女優としてデビューする以前にはナショナル・バレエ・オブ・カナダの一員としてステージに立っていた経験を基に企画、ジョフリーのメンバーと2年にわたる交流を経て、9年ぶりにトゥシューズを履き、メンバーとともにレッスンを受け、代役なしですべてのダンスシーンをこなす熱演ぶりであった。
主役を目指しバレエに情熱を注ぐダンサー・ライは、もうひとつの彼女の姿でもあったのだ。
また、俳優から絶大なる信頼を得ているアルトマンらしく、脇役陣の顔ぶれも豪華だ。ライの疲れた心を癒しつつ彼女を見守る恋人役ジョシュを『スパイダーマン2』『ソニー』などで今最も旬な俳優ジェームズ・フランコが好演。また、カンパニーの要、芸術監督でありカリスマ振付家でもある“ミスターA”に『時計じかけのオレンジ』『ギャングスター・ナンバー1』のマルコム・マクダウェルが扮し、独特な存在感と優しさで物語を支えている。

アルトマン映画といえば、個性的なサウンドも魅力のひとつ。ライがキャリアを獲得する重要なチャンスとなった野外劇場での作品は「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」。映画全編でこの「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」はエルヴィス・コステロ、リー・ライリー、チェット・ベイカー、クロノス・クァルテットといった、当代きってのプレイヤーによって個性豊かに演奏され、さらにヨーヨー・マによるバッハの「無伴奏チェロ組曲」、ヴァン・ダイク・パークスの曲など、バラエティに富んだラインナップで構成されている。

ストーリー


ライ(ネーヴ・キャンベル)はジョフリー・バレエ・オブ・シカゴの一員として、順調にキャリアを積み上げてきた。
今年のシーズンは、私生活でもバレエでもパ一トナーであったフランキーの裏切りによって幕を開けた。ノエルとの浮気が発覚したフランキーは、芸術監督であるミスターAことアルベルト・アントネッリ(マルコム・マクダウェル)に、ライと一緒に踊りたくないと申し入れる
ダンサーの一日は、そしてダンサーのキャリアは、バーレッスンから始まる。どんな一日、どんなベテランでも、バーレッスンからは逃れられない。
ダンサーの生活は、9月に始まり6月に終わるシーズンによって決められている。シーズンことにプログラムが組まれ、キャスティングが決まる。それによってギャランティも決まる。
多くの主役を踊ってきているデボラは、シーズン冒頭の話し合いではあまり好意的な評価を受けられない。
新人のジョンは、ロッカーの空きも見つけられず、レッスンではバーの場所もなく、ダンサーたちが共同生活をしているアパ一トヘころがりこむが、キッチンの床に寝袋でころかるスペースしかあたえられない。
ジョフリー・バレエではこのシーズンに、著名な振付家ラー・ルボヴィッチの、演目をレパートリーに入れることになった。代役としてレッスンしていたライは、マイラの怪我によって主役のチャンスを手にいれる。パートナーはドミンゴ。
ライが踊った「マイ・ファニーヴァレンタイン」は野外劇場で上演され、途中から降りだした雷雨にもかかわらず、スタンディング・オベレーションを受けるほどの大きな反響を呼んだ。振付家も絶賛、ミスターAからも高い評価を受ける。
しかし、華やかな打ち上げパ一ティーからひとり自宅へもとったライは、満たされない気持ちを隠せない。
ダンサーの毎日はレッスンに縛られている。バーレッスン、振りうつし、新作のレッスン、旧作のレッスン、リ八一サル、ゲネプロ、本番……。それらは繰り返され、交錯し、ダンサーを拘束し、肉体を痛めつける。
プロのダンサーであるということは、細切れのタイムワークに肉体をささげるアーティストになることなのだ。
常にベストを、極限までの美を、もてる限りの感動を、与え続けることを求められる毎日。クリスマスも新年も、結婚も恋愛も、家族関係もトラブルも、あらゆるできことは、すべては踊りのなかにある。
タンサーとして大きく飛躍する局面にさしかかったライは、一層レッスンに集中しようと、生活のためのアルバイト、ナイトクラブ「ゴス」でのカクテル・ウエイトレスの仕事も滅らすように努めた。ナイトクラブでの仕事はバレエとは違った世界をみせてくれたが、ダンサーとしては負担だった。
やがてライは、レストランのシェフであるジョシュ(ジェームズ・フランコ)と知り合う。そのやさしさと存在は、ライの心に一筋の光のように射しこみ、ハードな生活を支えるようになっていく……。
バレエ・カンパニー、とくにジョフリー・バレエのような国からの捕助を受けられないカンパニーにとっては、いかに出資者を募り予算をかき集めるかがいつでも重要な問題であり常に芸術監督を悩ませる。
経営、そのためにはダンサー個人の事情より、公演やプログラムが優先される。ダンサーに余分なギャランティを支払う予算があれば、新しいレパートリーや舞台美術にまわされるのだ。
作品において振付師が“神”であるように、カンパニーにとっては予算が“神”なのだ。「予算、予算、予算……。」独裁者ミスターAであっても、そのまえにはひざまずくしかない。
そして、何があっても公演は行われる。公演成功のためには、どれほどの我慢も犠牲もいとわず、あらゆる障害は取り除かなければならない。
結婚したばかりのスザンヌはリハーサル中にアキレス腱を切る。ジャスティンは、公演一週間前にキャストからはずされる。
ミスターAに認められた作品を振り付けたアレックスでさえ、我が儘は許されない。
華やかで非日常で祝祭的空問であるステージは、振付家、芸術監督、バレエ・マスターやバレエ・ミストレス、事務局長、経理担当者、照明マネージャー、美術スタッフ、音響スタッフ、衣装係、トレーナー、そしてなによりもダンサーたちのあくなき挑戦と献身的な努力によって成り立っている。
ひとつの作品の成功は、必ずしも次の成功を意味しない。繰り返される毎日は、同時にスリリングな緊張に満ちている。
そうしたなかで、それぞれが人間らしさ、自分らしさを求め、悩み、泣き、笑い、遊び、喧嘩をし、愛し合い、生きているのだ。
それゆえに、観客はステージに魅せられ、熱狂し、劇場へ通う。
シーズン最後を飾る意欲的な作品「青い蛇」で、ライはソロをもらった。客席では義父と母、父と義母が見守っている。
踊り終わる直前、ライは転倒して舞台に倒れこむ。大急ぎで衣装を脱がされ、代役だったマイヤは見事に踊りきった。公演は大成功だが、カーテンコールの歓声を、ライは舞台袖からただ眺めているだけだった…。

スタッフ

監督:ロバート・アルトマン
脚本:バーバラ・ターナー
原案:ネーヴ・キャンベル、バーバラ・ターナー
製作:デヴィッド・レヴィ、ジョシュア・アストラチャン、
   ネーヴ・キャンベル、ロバート・アルトマン、
   クリスティーン・ヴァション、パメラ・コフラー
製作総指揮:ジェーン・バークレイ、シャロン・ハレル、
   ハンナ・レーダー、ジョン・ウェルズ、ローランド・ペレグリノ
   ディーター・メイヤー
アソシエイトプロデューサー:ジョセリン・ヘイズ
撮影:アンドリュ−・ダン
編集:ジェラルディン・ベローニ

キャスト

ネーブ・キャンベル
ジェームズ・フランコ
マルコム・マクダウェル
バーバラ・ロバートソン
ウィリアム・ディック
スージー・キューザック
マリリン・ドッズ・フランク
ジョン・ローダン
マリアン・メイベリー
リック・ピープルズ
ヤセン・ペヤンコフ

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