岬のレストランを舞台にした「癒し」と「再生」の物語。 それは一枚のTシャツから始まった・・・。

2003年/日本/カラー/105分/ 配給:東宝

2003年12月25日よりDVD発売開始 2003年11月21日よりビデオレンタル開始 2003年6月7日より東宝系にてロードショー

©2003 「マナに抱かれて」製作委員会

公開初日 2003/06/07

配給会社名 0001

解説

この物語のテーマは”癒しと再生”である。ストレスの多い現代社会の中で、各々がそのことを自覚しつつも、どうしたらいいのかわからない。世の中は加速し、よりいっそう複雑化している。そんな私たちそれぞれに、一体何ができるのだろうか? 大いなる自然が売り物のハワイ島を舞台に人と人との出逢いが拡がっていき、その人々とのふれあいを通して、主人公・渚は大切なことに気づいていく。それは渚ばかりでなく、渚が出逢っていく全ての人たちの心の中にも、新しい自分を見つけることになるのだった。

 渚には、デビュー作『キッチン』(89 森田芳光)依頼の主役出演となる川原亜矢子。『キッチン』で数々の新人賞を受賞しながら、日本を離れ単身渡仏。パリでモデルとして一流の地位を得た後、98年帰国し、モデルとして活躍しつつ、TVドラマ等にも出演している。その端正な顔立ちとスタイルからは想像出来ないが、なんと本人は「コメディエンヌになりたい!」との事だ。相手役の潤には、『Dolls』(02 北野武)で異色の世界の寡黙な青年を好演した西島秀俊。昨秋から年頭にかけて立て続けに4本もの出演映画が公開され映画づいている。他にハワイ島の由来を渚に教え、自然に親しみ生きるヒントを与える少女エミー役に『バトルロワイアル』(00 深作欣二)の美波。エミーの母親に宮崎美子。レストラン兼ホテルを営むカイ役に蟹江敬三。 監督は、東大野球部の経歴を活かし、長嶋一茂主演『ミスター・ルーキー』(02)を撮った井坂聡。サザンオールスターズの松田弘が初めて映画音楽を担当している。又、大ヒット曲「TSUNAMI」をカバーしているのは、ハワイの有名プロデューサー、ケネス・マクアカネとのコラボレーションでデビューした有里知花。デビュー曲「I cry」はハワイのFMラジオ曲・ダ・ボンブでリクエスト第1位になったことがある。 海中撮影に関しては、より透明度を求めてサイパン島でロケしている。

ストーリー

情熱とプライドを持って仕事に打ち込んできた30才の独身OL・渚(川原亜矢子)。しかし渚の「本物志向」の信念は会社には理解を得られずに挫折。恋人の明にも裏切られた渚は、自分を見限った全てを見返さんとばかりに、傷ついた心を癒す間もなくハワイに飛ぶ。目的は「本物の」パレオ(ポリネシアの民族衣装。主に約90×180センチほどの色とりどりに着色された綿の布)の輸入を自分一人の力で成功させること。

 ハワイ島コナ空港に降り立った早々転んでスーツを汚してしまった渚は、居合せた現地の少女から、着替え用のTシャツをもらう。渚は、そのTシャツのプリントを見てハッとなった。そこには自分が日本からもってきたパレオと同じ、真っ赤な夕陽と海辺に立つコテージ風の建物が描かれていたのだった。
 Tシャツに描かれた建物…そこは、カイ(蟹江敬三)という中年男がひとりで営む、レストラン兼ホテルだった。そのメニューのないレストランで、渚に「神の贈り物」と名づけられた飲物が振舞われる。その美味しさたるや、渚の疲れきった心と身体を優しく癒し、思わず微笑みを浮かべずにはいさせないほどの甘美な味だった。渚のハワイ島第一日は、そんな風に幸せに始まったのだった。
 そのホテルに長逗留している客に潤(西島秀俊)がいた。潤は父親の経営するリゾート開発会社から派遣され、ハワイ島の調査に来ていた。彼にとって、それは父から任された初仕事だったが、認められたい一心で、気ばかりが焦っている潤が送る報告書はことごとく却下され、腐ってる状態だった。渚は浜辺で、空港で出会った少女・エミー(美波)と再会した。エミーは、渚の着ているパレオを見て驚く。そのパレオはエミーの母・ユミ(宮崎美子)が作った『特別なもの』だったからだ。エミーは、渚を母・ユミに引き会わせる。エミー自身は母に渚の仕事をやって欲しいと願っていた。しかし、ユミは一年前の衝撃的な出来事から、もはやパレオを作る気力をなくしたままだった。 ——
 一年前のユミの誕生日、レストランでは、カイがスペシャルディナーを作ろうと張り切っていた。その料理の名は「夢と希望のスープ」。その料理に欠かせない貝を採りに出かけて、エミーの兄ジョージがハワイの海で帰らぬ人となったという。 ジョージを失ったユミのショックは今なお生々しい。これまで彼が愛した海とハワイを描き続けていたユミには、どうしてもパレオ制作に取りかかれない。渚の持っているパレオは最後の作品であり、カイの妻への贈り物でもあった。そのパレオを受け取るはずだったカイの妻も、奇しくも同じ頃病気で亡くなってしまい、カイは、そのパレオを手元に置いておくのが辛くなり手放してしまったというのだ。大好きな兄・ジョージを失ったことはエミーにとっても悲しいことだけれど、私たちは生きている。エミーは一年前のままになっている工房を掃除し、自分がパレオを作るとユミに宣言する。
手始めに、自らが着るTシャツをデザインした。それには”Be Alive”のロゴが。

 カイの作る料理は、本当に不思議だった。カイはやってきた客に合わせハワイ先住民のペトログリフ(絵文字)から読み取ったレシピで料理を作り、スペシャルフードを提供していた。それを食べた客たちは、大いにお腹を満足させるのは勿論、不思議に今までにない元気と活力を取り戻して帰って行くのだった。島で出会った様々な人たちや雄大な自然との触れ合いの中で、「マナとともに生きる」ことの大切さに気づき始めた渚は、自然の力を確実に感じていった。それは、人間本来の喜びに満ちあふれた生き方だった。自分の歩幅で一からやり直そう。そう思い動き始めた渚自身に宿ったマナが、今度は渚の周囲の人たち − 潤、カイ、ユミ−たちにまで生きる力を与え始める…。

スタッフ

企画・制作:ゼネラル・エンタテイメント
監督:井坂 聡
脚本:鈴木律子、井坂 聡
音楽監督:松田 弘(サザンオールスターズ)
製作:「マナに抱かれて」製作委員会(クリムゾン/ADK)
製作協力:東宝映画

キャスト

川原亜矢子
西島秀俊
宮崎美子
美波
蟹江敬三

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