原題:Over the Rainbow

あの虹の彼方 青く澄んだ空 そこは、あなたの夢がかなう場所…

コリアン・シネマ・ウィーク2002上映作品(2002年10月27日〜11月01日) 第6回(2002)富川国際ファンタスティック映画祭メイド・イン・コリア部門

2002年/韓国/109分/35mmカラー 配給:タキコーポレーション、リベロ

2005年03月04日よりビデオレンタル開始 2004年11月6日(土)より、キネカ大森、池袋シネマ・ロサにてロードショー!

公開初日 2004/11/06

配給会社名 0101/0223

解説


 交通事故で、ここ数年の記憶の一部を失ってしまったジンス。彼の心の奥には、大学時代からずっと誰かを死ぬほど愛していた、という切ない気持ちの痕跡だけが残っていた。彼は、愛する人の記憶を探すため、大学の同級生ヨニに協力を頼む。共に過ごした青春の日々がヨニの語る言葉で輝き出す。
ジンスは、会うたびに、今ここにいる現在のヨニに惹かれてゆき、ヨニもジンスを愛している自分に気づく。そんな時、「愛する人」に関するある手がかりがふたりの前に現れた…。
愛する人の記憶を探す男は、天気予報士。彼を助け、過去の出来事を語る女は、地下鉄忘れ物センターの職員。未来を予報する男と、忘れられたもの達を大切に保管する女…。本作は、主人公ふたりの職業も寓意的な、独創的なストーリーのファンタジー・ラブストーリーだ。
映画は、大学時代の日々を生き生きと見せながら、現在の日常や職場でのディテールを重ね、ふたりの心の揺れを丁寧に描いてゆく。
誰しも心をさぐれば思い当たる青春時代の光と影。そして、人を愛する時の切ない想いや新しい恋を見つけた時のときめき。過去の記憶を再構築しながら、現在の愛を見つめようとする二人の物語に、きっと誰もが共感することだろう。
主人公ジンスを演じるのは、韓国を代表する若手演技派スター、『情事』(98/02)、『イルマーレ』(00/01)、『ラスト・プレゼント』(O1/02)、『黒水仙』(01/03)のイ・ジョンジエ。緻密な役づくりや演技力で定評のある彼だが、本作では、カッコいいけれど自己表現の苦手な、物静かで心優しい男を演じ、記憶を失った男の孤独感や、愛する心の強さをも繊細に表現。時折見せる包み込むような笑顔には、ファンならずとも心奪われるに違いない。
ジンスを助けるヨニには、『反則王』(00/01)、ファンタスポルト映画祭主演女優賞受賞『鳥肌』(01/未)、『菊花の香り』(03/04)のチャン・ジニョン・ジンスの愛した人探しに協力することは、ヨニにとっても、大切なものを見つける心の旅となる。次第にジンスを愛していることに気づく彼女の心の陰影を、ジニョンは、自然にさり気なく表現する。
ほかに、『ラスト・プレゼント』(01/02)、『パイラン』(01/03)のコン・ヒョンジンが、ふたりの大学時代の仲間ヨンミン役で出演。
監督は、この作品が劇場長編映画監督デビュー作となる、アン・ジヌ。メガ・ヒット作『シュリ』(99/00)、『ブラザーフッド』(04/04)を作ったカン・ジェギュ・フィルムが製作した。『接続ザ・コンタクト』(97/未)のチョ・ミュンジュが脚本を担当、撮影は『情事』(98/02)、『燃ゆる月』(00/02)、『パイラン』(Ol/03)のキム・ヨンチョル。
みずみずしく、それでいて味わい深い愛の物語が誕生した。映画を見終わったら、雨の日を、きっと愛おしく思えるようになるだろう。

ストーリー

 天気キャスターのイ・ジンス(イ・ジョンジェ)は、雨の夜、交通事故に遭う。しばらくして職場復帰した彼は、自分の状態に不安を抱く。逆光で顔の見えない髪の長い女性の幻覚がフラッシュバックしたり、ここ数年の記憶が一部抜け落ちていたり、さらに、部屋の電話に覚えのない女性からのメッセージが入っていたり…。大学時代からの大切な仲間、ヨンミン(コン・ヒョンジン)の恋人が数年前に亡くなったことすら記憶から消えている。
そんな時、現像ミスで顔の見えない幻覚そっくりの女性の写真が出てくる。写真の裏には、8年前の日付と「日差しの跡」という文字。ジンスが大学時代に撮ったものらしい。
病院で、彼は部分記憶喪失と診断された。「失われた重要な記憶を夢や幻覚によって蘇らせようとしているのです」と医師は語る。彼の心の奥底には、誰かを死ぬ程愛していた切ない感情の痕跡だけが残っていたのだ。
ジンスは留守電の女性と会う。その女性は、大学の写真サークルの同級生、カン・ヨニ(チャン・ジニョン)だった。ジンスの部屋には、以前、彼の親友で同じくサークルの仲間だったサンインが住んでいた。ヨニは、恋人だったサンインが既に引っ越してしまったことを知らずにメッセージを残していたのだ。
ジンスは、愛し続けた女性の記憶を取り戻すため、ヨこに助けを求める。大学時代の記憶をさぐることは、サンインに去られたばかりのヨニには辛いことだった。だが、彼女は、ジンスの頼みを聞き入れ、髪の長い女性の記憶をたどる。
ヨニの記憶に浮上した女性にジンスが会い、その女性ではないことがわかると、そこで手に入れた新たな情報をヨニに話し、当てはまる女性を絞り込んでゆくという、ふたりの共同作業が始まった。
レストランで、夜景を臨む遊覧船で、屋台で、ふたりは、何度も会い、記憶を再構築していく。ヨニやサンインやヨンミンがたむろするサークル部室にジンスが初めて入ってきた日のこと、英詩の授業でジンスが作った、虹を意味する「The Trace of Sunshine(日差しの跡)』という詩が、愛する人を想って書いたものだとばれてしまったこと、誰も知らないジンスの愛する人を皆で「虹」と呼んでからかったこと、ジンスにしつこく迫る新入部員とヨニとジンスで行った映画館で「僕には愛する人がいる」
と怒ったようにジンスが宣言したこと…。求める女性はまだ見つからず、記憶も戻らないけれど、甘酸っばい青春の日々がヨニの語る言葉で輝き出す。そしてジンスは、会うたびに目の前にいる現在のヨニに惹かれてゆく。「卒業以来、何を忙しくしてたんだろう…」ヨニにとっても、ジンスとの時間は、穏やかな心癒される時間になっていた。
愛する人探しが壁に突き当たり、振り出しに戻ってしまったとき、ジンスは、探す事を止めようとヨニに言う。「聞いた記憶で愛する人を見つけたとしても、あの時の純粋な気持ちはわからない。自分で思い出さなければ、僕には何の意味もない」と。
ジンスは、今の自分が愛しているのは、過去の「恋人」ではなく、目の前にいるヨニだということを確信する。「君のこと、何も知らない気がして…」と言うジンスに、「これから知ればいいわ。少し時間はかかるけど」とヨニは微笑む。未来を語る天気予報士のジンスと、忘れ去られたものを大切に保管する地下鉄忘れ物センターで働くヨニ。ジンスが失った過去をヨニが蘇らせる、という時間を過ごし、ふたりは互いの存在をかけがえのないものと感じながら、現在から未来へ、ゆっくりと一歩を踏み出そうとしていた。
そんな時、かつてジンスが愛する人と最後の夜を一緒に過ごすために、軍隊に向かう列車から飛び下りて町へ駈け戻ったという話を、ヨニは人づてに聞いてしまう。彼女は、ジンスの激しい愛に心を乱す。同時に、ジンスがそれほどまでに愛した人なら、探し続けることが彼にとって最善のことと信じ、身を引こうと辛い決心をする。ヨニヘの溢れんばかりの思いを胸に、ジンスは呆然と立ち尽くす。
その頃、落とし物センターには、ある手がかりが届けられていた…。

スタッフ

監督:アン・ジヌ
脚本:アン・ジヌ、チョ・ミンジュ、チャン・ヒョクリン
製作:チェ・ジンファ、カン・ジェギュ・フィルム
撮影:キム・ヨンチョル
音楽:パク・ホジュン
編集:パク・コッチ

キャスト

イ・ジョンジェ(『イルマーレ』『ラスト・プレゼント』)
チャン・ジニョン(『菊花の香り』『反則王』)

チョン・チャン
オム・ジウォン
コン・ヒョンジン
チェ・ギュファン
キム・ソヒョン

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